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朝時雨【12月特別編】
【クリスマス】1
しおりを挟む冬至が終わるともう年末は目の前だ。この時期はみっしりと行事が詰まっているような気がする。次から次へとイベントが押し寄せて、気づいたら年が明けていたりする。
こうして俺も年を重ねていくのか。
怖いな。
「りょーた、どう? どう?」
「うん。似合ってるよ」
「しらたきは?」
「思いのほか似合ってる」
織田さんにお願いして作ってもらった赤い服に、お揃いの真っ赤な帽子。それから大きくて白い袋を背負ったおみがぴょんぴょん飛び跳ねていた。
ちなみに、しらたきは茶色の着ぐるみを着ている。頭には立派な角が生えていて、どこからどう見てもトナカイさんだ。
「おみ、さんたさん!」
「もらうほうじゃないのか」
「さんたさんなの!」
「そうか」
よく分からないが、これでいいらしい。おみが良いならそれでいいか。ずれ落ちた帽子を被り直しつつ、袋に入れたプレゼントを確認し始める。
どうやら今日はサンタ業に徹するみたいだ。
「これは、さかぐちのぶん」
「ふむふむ」
「あと、おだしゃ、いねとまい」
「たくさんだな」
「しらたきトナカイに乗って届けにいくの」
「気をつけていくんだぞ」
「うぃ!」
昨日の夜、何かゴソゴソしていると思ったらみんなへとプレゼントを用意していたのか。真っ白の袋には丁寧に色違いのリボンが結ばれている。
坂口さんは青、織田さんはピンク、イネは黄色、マイはオレンジ。念の為にちびすけのためにも何かを用意しているようだ。緑色のリボンが結ばれている。なんとなく分かるな、その配色。
「りょーたもくる?」
「じゃあ、お供させてもらいましょう」
「よーし、おみさんた、しゅっぱーつ!」
寒空の下、元気な声が響き渡った。
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