泣き虫龍神様

一花みえる

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木の芽雨【5月長編】

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「うみちゃーおみだよー」
「あぶぶ」
「すいません、今日一日よろしくお願いします」
「いいのよォ、のんびりしておいで」
    次の日、おみを織田さんの家に預けに行くと、さっそく宇海がニコニコ笑い始めた。どうやら眷属の子供でも、おみが龍神様であることが分かるらしい。もしくはおみが近くにいる人を笑顔にしてくれるのか。
    なんにしても、今日の宇海はご機嫌のようだった。
「おみちゃんが居てくれると、宇海も楽しそうね」
「おみもうれしー」
「仲良くしてあげて、おみちゃん」
「うぃ」
    大好きなウカさんにそう言われ、おみはピシッと尻尾を伸ばして返事をしている。本当、美人に弱いよなぁ、お前。
    この様子から俺も思う存分調べることができる。
    おみの、両親について。
「りょーた、いってらっしゃーい」
「うん。いってきます」
「おみ、いいこでまってるね」
「よしよし」
    頭を撫でて、織田さんの家を後にする。向かう先は山の奥。普段は誰も立ち寄らない場所だ。木々がうっそうと生い茂っているものの、不思議と薄暗くない。
    そこには一本の木が立っている。一年中、銀色の花が咲く、不思議な木。困った時はここに来なさいと言われている場所だ。
「子育てに困った、なんて言ったら笑われそうだな」
    随分と久しぶりに会う「師匠」のことを思い、足をひたすら前に進めた。
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