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梅雨【6月長編】
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まだ夜明けに程遠い空の下、ぼくとご主人はお外に出ました。いったいどこに行くのでしょう。ご主人は、ひとりで出かけることはほとんどありません。たまにさかぐちさんのお家に行くことはあります。
でも、そういう時はいつもりょうたさんが見送ってくれていました。今日はぼくたちだけ。なんだか不思議な感じです。
「むにゃー……ねむむ……」
そうですよね、まだねむたいですよね。だっていつもならお布団ですやすやしている時間です。こんなにも早く、しかもおひとりでお出かけだなんて。
なんだか心配です。ぼくだけだと、ご主人をお守りできません。他に誰かいてくれたらいいのに。
「にゃあーん」
「みぃ?」
「んにゃん」
ふと足元から声が聞こえてきました。この声はまさか。
「ちびちゃー!」
「にゃー!」
「いたたたた」
なんとびっくり、ちびちゃんがぼくたちの後ろを歩いていました! ぴょんと飛び上がって、ご主人の背中に抱えられていたぼくにしがみついてきます。
そうか、おうちの外では直接ご主人には触れないんでした。だからぼくにしがみついたんですね。
「ちびちゃもきてくれるの?」
「にゃん」
「やさしーね」
「にゃー?」
「うーんと、どうしよっかな」
ごそごそ、着物の懐を探していたご主人が一枚の風呂敷を取り出しました。そこにちびちゃんを入れるんですね?
とっても素敵な考えです!
「ちびちゃ、ここにおいで」
「みゃん」
「しらたきもいっしょ」
なんと、ぼくもですか! ちびちゃんと一緒なのは嬉しいです。ふわふわで小さなちびちゃんは、いつもぼくをぎゅーっとしてくれます。ご主人とおなじように、ぼくを大切にしてくれるのです。
そんなわけで、ぼくはちびちゃんといっしょな風呂敷に入ることになりました。さっそくちびちゃんがぼくに抱きつきます。うーん、きょうもふわふわであったかいですね。
「こうして、だっこしたらだいじょぶだよね」
首から風呂敷を下げてぼくたちをだっこしてくれます。強い味方が出来ましたね、ご主人!
「おみ、かんがるになったきぶん」
「みゃーあ」
「かんがるさんも、ままといっしょなんだよね……」
うーん、どうやらご主人は「ぱぱとまま」のことが頭からはなれないようです。このお出かけも、もしかしたらそのことについてしらべるためでしょうか。
そんなことを考えている間に、ご主人はぽてぽて歩き始めました。ゆらゆらと気持ち良く風呂敷が揺れています。ちびちゃんも楽しそうにしっぽを振っていました。
よーし、みんなで頑張りましょう!
どこに行くかはわかりませんが!
ぼくたちがいれば大丈夫ですよ、ご主人!
でも、そういう時はいつもりょうたさんが見送ってくれていました。今日はぼくたちだけ。なんだか不思議な感じです。
「むにゃー……ねむむ……」
そうですよね、まだねむたいですよね。だっていつもならお布団ですやすやしている時間です。こんなにも早く、しかもおひとりでお出かけだなんて。
なんだか心配です。ぼくだけだと、ご主人をお守りできません。他に誰かいてくれたらいいのに。
「にゃあーん」
「みぃ?」
「んにゃん」
ふと足元から声が聞こえてきました。この声はまさか。
「ちびちゃー!」
「にゃー!」
「いたたたた」
なんとびっくり、ちびちゃんがぼくたちの後ろを歩いていました! ぴょんと飛び上がって、ご主人の背中に抱えられていたぼくにしがみついてきます。
そうか、おうちの外では直接ご主人には触れないんでした。だからぼくにしがみついたんですね。
「ちびちゃもきてくれるの?」
「にゃん」
「やさしーね」
「にゃー?」
「うーんと、どうしよっかな」
ごそごそ、着物の懐を探していたご主人が一枚の風呂敷を取り出しました。そこにちびちゃんを入れるんですね?
とっても素敵な考えです!
「ちびちゃ、ここにおいで」
「みゃん」
「しらたきもいっしょ」
なんと、ぼくもですか! ちびちゃんと一緒なのは嬉しいです。ふわふわで小さなちびちゃんは、いつもぼくをぎゅーっとしてくれます。ご主人とおなじように、ぼくを大切にしてくれるのです。
そんなわけで、ぼくはちびちゃんといっしょな風呂敷に入ることになりました。さっそくちびちゃんがぼくに抱きつきます。うーん、きょうもふわふわであったかいですね。
「こうして、だっこしたらだいじょぶだよね」
首から風呂敷を下げてぼくたちをだっこしてくれます。強い味方が出来ましたね、ご主人!
「おみ、かんがるになったきぶん」
「みゃーあ」
「かんがるさんも、ままといっしょなんだよね……」
うーん、どうやらご主人は「ぱぱとまま」のことが頭からはなれないようです。このお出かけも、もしかしたらそのことについてしらべるためでしょうか。
そんなことを考えている間に、ご主人はぽてぽて歩き始めました。ゆらゆらと気持ち良く風呂敷が揺れています。ちびちゃんも楽しそうにしっぽを振っていました。
よーし、みんなで頑張りましょう!
どこに行くかはわかりませんが!
ぼくたちがいれば大丈夫ですよ、ご主人!
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