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運命に身を委ねてみろと
しおりを挟むオーウェンside
「オーウェン、もう行くのかい?」
「おう。そろそろ出ていかないと体がなまっちまうだろう?」
「ご立派だこと。がんばりなよ!」
「おばさんも風邪ひくなよ!」
この村には長い時間居すぎた。
別れが少々寂しくなるのだ。
いつもどうりまたどこかをフラフラしようと思っていた。
あの女に会う前は─
「どいて!!」
「!!」
突然突っ走ってきた。
深く布を被った女だ。
咄嗟のことで避けきれなかった俺は
その女とぶつかった。
布が落ちて女の髪が露わになった。
「…翡翠…」
「いってて…あーもうやばいやばい」
何やら焦っている女、布を被り直して立つ。
「ごめんなさいお兄さん。立てる?」
「いや立てるけど。なにをそんなに焦ってるんだ。」
聞いた途端、後ろから馬と村人の驚いた声が聞こえた。
「!!!来た!逃げるが勝ち!」
なにか追われてるのかと思っていたら、いつの間にか走っていた。
「わおお兄さんどうしたの!なんで走ってるの!」
「えっいやこれは癖で…」
旅人として旅をしていると山賊に襲われたりするもんだから、つい走ってしまった。
「ああそう!とりあえず走って!!!」
全速力で走る。女は俺の前を走るほどの体力があるようだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「はぁっはぁ…助かった…」
「はぁっ…なんなんだあんた。」
「いやこっちが聞きたいわって。なんで着いてきたの?」
「いやだから癖。」
「あれ本気で言ってたの?!」
変わった女。髪色も変わってる。
「あんた、名前は?」
「ん?私かー…んー若葉の女神っ!とか?」
「は?」
「初対面の人間に教えると思う?」
「ぶつかってきて良く言えるな。」
「それは悪かったわ。」
名前を言おうとしない女に呆れた俺は、もういいやと背を向けた。
「あ、お兄さんって何してるの?」
「俺は旅人。」
「…ふーん。1人で旅なんてできるのね。」
「まぁ…大変なこともあるけどな。」
「…ねえ。連れてってくれない?」
「…は?」
俺は一瞬この女が何を言っているのか分からなかった。
「…追われてるの。あいつらから逃げないと私は終わっちゃう。私はこう見えて体力あるから、面倒はかけないと思うわよ。」
確かに体力はある。でも旅人っていうのは体力だけじゃ成り立たない。
「あのなぁ…女がそんな─」
息を飲んだ。
絶対にひかないという目をしていたから。
鋭く光る茶色の目。
「お願い。」
「………途中でくたばっても知らないからな。」
「ありがとう!!」
無邪気に笑う女は髪を揺らした。
翡翠
翡翠は
俺の全て。
「私の名前、教えようか。」
「おう。」
「ユーリア・ヴィオラ・バーバラ・ブレーデフェルト。よろしく。」
「オーウェン。名字なんてどうせ使わない。」
「ええ、よろしくオーウェン。」
これが俺の運命を変える女。
ユーリア・ヴィオラ・バーバラ・ブレーデフェルト
との出会いだった。
to be continued…
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