翡翠の欠片

りんご

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運命の翡翠

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ユーリアside



「ねえ、なんでオーウェンは旅してるの?」

昨日から旅を始めた。この男と。

村をおわれてぶつかってしまった。

まあ着いてきたのはこの男。


オーウェン「3つの光って知ってるか?」

ユーリア「知ってる。」

オーウェン「即答だな。」

ヒスイ     アオ    クレナイ
翡翠と碧と繎。
その聖なる古のひとつに、私の髪色が入っているのだからなおのこと覚えやすい。

緑と青と赤は縁起がいい色だと称えられてきた。


称え方が極端なんだ。大人は。


オーウェン「その古の謎を解いて、実際にこの目で見てみたいんだ。」

ユーリア「…ほお。」

オーウェン「あんたは?」

ユーリア「私追われてるじゃない?逃げたい。」

オーウェン「それはさっき聞いた。」

ユーリア「他特にないわ。」

オーウェン「じゃあなんで追われてたか聞いてもいいか。」

ユーリア「…。」


痛いところをつかれてしまった。

オーウェン「答えたくないなら─

ユーリア「言うよ。これから一緒に旅をする仲間でしょ。」


これくらい。別にどうってことないから。


ユーリア「…私の髪はその3つの光のひとつ。
珍しい髪色で生まれてきたってだけの理由で幼い頃から称えられた。
神の子だの天の恵みだの面倒くさい。

大人達の思いもわかるけどね、私は魔術すら使わしてもらえないし、外に出させてもくれない。
友達が出来ても引き離される。
…私、お姫様でもなんでもないのに。
私は極端な大人達に疲れて屋敷を出たの。
あーゆうのは嫌。贅沢は嫌。
みんな名前すら呼んでくれない。親も…。
…まあ。あの母はたまに呼んでくれたけど。」

オーウェン「なるほどなぁ…難しい世界に生まれたな。」

ユーリア「…なんとも思わないの?我儘だとか身の程をわきまえろとか。」


おかしい。
村の大人はみんな言う。私がお願いをすると我儘だとか自分勝手だとか。

神の子らしくしていなさいと。

オーウェン「なんで?」

ユーリア「え」

オーウェン「あんたは人形じゃない。別にいいだろそんなの。」

ユーリア「へぇ…面白いねやっぱり。」

オーウェン「当たり前だろそんなこと。大人達はおかしい。あんたは別に悪いことしてないな。」

ユーリア「そうなのよ。何もしてないのに。
髪色が古の色にあっただけのことじゃない。
それでチヤホヤされるのは嬉しくない。」


だって…まるで私のことは見えてないんだから。
髪だけを見て、髪だけを大切にしている。
そんな気がする。

ユーリア「…私を見てほしかった。」

オーウェン「………。」


やばい、こんな顔この男に見られるなんて。


オーウェン「…名前。」

ユーリア「…え」

オーウェン「なんて呼べばいい?」

ユーリア「え、な、名前…か…。翡翠様って呼ばれてた。別に君もそうやって呼べばいいんじゃないの。」


あーあまたこんな憎まれ口を叩いちゃう。


オーウェン「…俺はあんたの名前呼ぶよ。」

ユーリア「…え?」

オーウェン「確かーユーリア・ヴィオラ・バーバラ・ブレーデフェルトだったよな。」

ユーリア「え、あ、うん。よく覚えてるわね。」

オーウェン「ユーリア…ヴィオラ……バーバラ…

んー…。」

ユーリア「…長いでしょ。そんな全部呼ぶの。」

オーウェン「名前を呼んでもらえなかったんだろ。
今は俺がちゃんと呼ぶ。


俺はちゃんとあんたを見るよ。」


ユーリア「……。」

オーウェン「あんたの髪は本当に綺麗だ。それは本当だが、髪だけを見る奴らとは違う。

あんた自身をちゃんとみるよ。」

ユーリア「っ…」


溢れ出る感情を抑えることは出来なかった。


オーウェン「…なぁ。ユーリアって呼んでもいいか?」

ユーリア「そのままでいいの?」

オーウェン「今まで呼んでくれなかった本当の名前、1番呼ばれるはずだった名前だろ。

だったら今まで呼ばれなかったぶんを埋め尽くすようにたくさん呼んでやる。

ユーリア。ユーリアって1番呼ばれたかったんだろ?」

ユーリア「っ…うん…!」


溢れた感情はもう一度塞がることは出来なかった


オーウェン「…嬉しいか。」

ユーリア「そりゃ十分すぎるくらい!」

オーウェン「そうか。ならいい。」


微笑むオーウェンをわたしはただひたすらに嬉しく思う。


オーウェン「よし!行くか!」

ユーリア「うん!」



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ユーリア「ねえオーウェン?今からどこへ行く?」

オーウェン「そうだな。とりあえず食料の調達をしないとだから、近くの森に行く。」

ユーリア「森?森は危ないと聞いたけど。
私は魔術使えないし…。」

オーウェン「近くの森は比較的安全だから大丈夫だ。」

ユーリア「わかったわ。」


逞しい背中。あまり歳に差は感じられない。

ユーリア「オーウェンっていくつ?」

オーウェン「あー…確か18。」

ユーリア「あら、私より1つ上ね。」

オーウェン「は?あんたそんな上なのか?
14くらいに見えたが。」

ユーリア「失礼ね?これでも身長はそこそこあるわよ。」

オーウェン「あーいや違う。身長はあると思う。
そうじゃなくて雰囲気がな?なんつーか幼い。」

ユーリア「そうよだって世間知らずの箱入り娘だもの。何も知らないわ。」

オーウェン「そうだろうな。まあ俺が色々教えてやるよ。」

ユーリア「うん!頼むね!」


なんだかんだで優しいオーウェンと私は度をしていく。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ユーリア「わお…森ってこんなに綺麗なのね!」

オーウェン「あぁ。綺麗だろう?」


緑が生い茂っており、木漏れ日がとても神秘的な光景を生み出している。

オーウェン「だが虫もそこそこいるから気をつけろー。」

ユーリア「ん、虫か……。」

オーウェン「苦手か?」

ユーリア「好きではないけどそんなことより…
さっきから足が痒いっ!」


駄々をこねだすユーリア。
幼いな。


オーウェン「おお、勝手にかいてろよー行くぞー。」

ユーリア「待ってよ。マジで痒い。」

オーウェン「…虫刺されか?ちょっと見るぞ?」


ユーリアのふくらはぎあたりをのぞき込む。


オーウェン「…赤いな。いつ刺されたかわかるか?」

ユーリア「ううん。気がついたら痒かった。」

オーウェン「…時間が経つと気づく…他に異常はあるか…?」

ユーリア「ううん。なんも。」


見たところ腫れてるだけ…蚊…か。


オーウェン「多分蚊だ。大丈夫。そこまで腫れてないからすぐ引くだろう。」

ユーリア「わかったわ。」

オーウェン「よし、じゃあ小枝を集めるから手伝ってくれるか?」

ユーリア「ええ!拾ってくる!」


とてとてと歩き回り小枝を拾うユーリア。

本当に一つ下なのかと疑ってしまう。


ユーリア「……オーウェンこれくらいで─


ユーリアが何か言いかけた途端。

ユーリア「おっ………。」


ふらっと顔を歪めてもたついた。


オーウェン「ユーリア?大丈夫か?」

ユーリア「大丈夫。少しめまいが…。お腹すいたのかも。」

オーウェン「じゃあ少ししたら昼飯にするか。まだ一応食料は残ってるからな。」

ユーリア「やったー!」


両手を上げ喜ぶ姿も、また幼い。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ユーリア「オーウェン、これどうする?」

オーウェン「ああ、それは今から煮るからこっちに持ってきてくれるか?」

ユーリア「ええ。」


ユーリアがこっちに足を踏み入れた刹那


ユーリア「うっ……!」


顔をまた歪めてガクッと膝を着いてしまった。


オーウェン「ユーリア!!」


慌てて駆け寄りユーリアの肩を背中をさする。

オーウェン「どうしたユーリア!」

ユーリア「うっ……。」


顔を真っ青にしはぁはぁと荒く息をする。


オーウェン「どうした…!」

ユーリア「…うっ…はぁっ……頭、がっ………」

オーウェン「頭か、…外部からの損傷はないな。となると内側からか。」

ユーリア「ううっ…!」


ユーリアが肩をびくっと震わせる。


オーウェン「ユーリア…!………!吐きそうなのか?」

ユーリア「はぁっはぁっ…ううっ…」


静かに頷く。


オーウェン「…猛毒虫だ。治療すれば治るから安心しろユーリア。
…そこの川で少し戻すといいから、俺は離れとくからな?」

ユーリア「はぁっ…ううっ。」


ユーリアを川まで運び、離れる。

大丈夫か…



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ユーリア「ううっ…!っうえっ……ゴホッゴホッ」


はぁはぁと肩で息をする。
気持ち悪い。
吐き気が止まらない。

オーウェンに川まで連れてきてもらって溜まっていたものを吐き出した。

ユーリア「ううっ…うえぇ…。」


オーウェン…ごめんね。

川を少し上り、そこで顔を洗う。草に水がバシャバシャと垂れる。

つかれた私はそのまま倒れ込んでしまった。

ユーリア「おー…うぇん…。」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

度を初めてそうそうユーリアは毒に侵された。
可哀想な奴だ。


「おー…うぇん…。」


声がかすかにした。

オーウェン「ユーリア…!」


急いで走った。


ユーリア「…オーウェン…ごめん…。」


ぐったりと横たわり、白い顔をしていた。


オーウェン「だいぶ良くなったか?」

ユーリア「うん…。」


よいしょとユーリアを持ち上げ布の上にころがせる。

ユーリア「あーあ…しくじったなぁ…。」

オーウェン「まだ顔色が悪い、これ飲んでゆっくり寝な。」

ユーリア「なに、これ?」

オーウェン「ハチスオレンジと夕刻草を混ぜて溶かした。毒消し効果がある。」


ユーリアはそれを手に取り飲み干した。


ユーリア「!!」


ばっと体を起き上がらせて毒消しを見つめる。


オーウェン「…!どうした!」


ユーリア「お、おいしい!!」

オーウェン「あー…そうか…。」


びっくりしたわ…。



ユーリア「はぁー!からだがすっーとなるよ!」

オーウェン「それは良かった。毒消し効果倍増の魔術をかけてある。」

ユーリア「…魔術か。」


しばらくユーリアは考え込んだまま動けなくなった。

オーウェン「…ユーリアー…おーい…。」

ユーリア「!オーウェン!」

オーウェン「な、なんだよ!」

ユーリア「わたし、魔術使いたい!!」





オーウェン「は…」



to be continued…
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