我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

羽瀬川璃紗

文字の大きさ
36 / 153

36 地震

しおりを挟む
 私が実家で暮らしていた頃の話。 


 時は遡り…、同居する祖母が倒れ、介護が必要になったのは私が21の頃だった。施設へ短期入所したり自宅で介護をしたりして、約10年後、祖母は老衰で亡くなった。 

 母がメインで介護をしていたが、祖母が就寝中にベッドから落ちた時の為に、私と妹は隣室で就寝していた。 

  そして、祖母亡き後も、引き続き寝室として隣室を使っていた。 


 ある夜。私は夜中に目を覚ました。元々眠りが浅い方なので(だからこそ夢をよく見るのだろうけど)、いつもの事だから寝直そうとした。
 すると。 

 妹も目覚めたのか、もぞもぞ動く気配がした。彼女は熟睡型なのに珍しいな、と思った。
 その時。 

 部屋の襖の辺りが『カタカタ』と小さな音を立てた。 

(あ、地震の始まりだ) 

 と言うのも、その3年ほど前にあった大地震で、そこの襖は少しの揺れで軋みやすくなっていたのだ。 

 だいたい震度3くらいの揺れならば、最初に襖の所がカタカタ言ってから『ズン!』と揺れる。震度がそれより小さければ、襖だけが音を立てて終わる。 

 寝たまま揺れの程度を見計らうと、音だけで終わった。 

(震度1くらいかな?) 

 妹が枕元のスマホを覗いて何かを確認していたが、私は構わずそのまま眠りについた。 


 翌日。夕食時、私はふと地震の事を思い出し、妹に問うた。 

「そう言えばあんた、夜中の地震で起きたよね?」 

「…姉ちゃんも気付いたよね、あの音。…あのさ、これ見て」 

 妹がスマホで見せて来たのは、気象庁のサイトだった。24時間以内の国内の地震が、一覧になって表示されている。
 妹は言った。 

「地震の少し前に起きてさ。で、襖の揺れる音止んでから時間確認したら午前3時前なのね。でもその時間、国内のどこでも地震は起きてないのよ」 

 確かにその時間に、該当する記録がない。私は首を傾げた。 

「本当だ。何だったんだろ。トラック通っても揺れないのに。震度1未満だったのかな?」 

 話を聞いていた弟が口を挟んだ。 

「なんかさ、寝てて夜中に地震あったりする時って、その寸前に何故か目覚めるよね。ネットとかでも見かけるよ」 

 第六感的なものが反応したのか。 


 だが後日。 

 洗濯物の部屋干しをする為に、私は祖母が使っていた部屋に入って作業していた。ある地点に立つと、襖がカタカタと音を立てた。 

(へえ、ここに立つと地震の時みたいに襖揺れるんだ。知らなかった) 

 つまりは地震が無くても、そこに立てば音が出る。でもあの時は夜中なので、誰もここに立ってる訳が無いのは明白である。 

 ところがある事に気付いた。 

 よく考えてみるとそこは、臨終を迎えた祖母が北枕で寝かされていた場所だったのだ。 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...