我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

羽瀬川璃紗

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65 母と夢

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 就寝中に夢を見やすい体質は、遺伝するのだろうか。

 4歳になる私の娘もよく夢を見るらしく、起床時に見た夢の話をしてくれる。もし遺伝だとすれば、その体質は私の母から受け継がれたと思う。


 母は夢に関する迷信や、夢占いもそこそこ詳しかった。恐らくそのせいもあり、私も夢に関してこのようにどっぷりと、沼にハマったのだろう。



 私が小学生の頃、高熱と腹痛で病院へ行った。
 貰った薬を飲んでもあまり効き目が無く、医師に相談するも『ちゃんと消化の良い物を食べさせなさい』と一蹴された。

 その夜、母はこんな夢を見た。


 夢の中なのに、母は同じ部屋で眠る私の姿が見えた。いつもと変わらず、よく見知った布団に包まる姿は、起きている状態で眺めているかのようだったそうだ。
 ふと私の腹部を見やった瞬間、腹部から大人の腕の様なものが私の顔を掴もうと、勢いよく伸びたのが見えたので、驚いた母は目を覚ました。


 起きた母が眠る私の元へ確認に来たが、見間違うようなものは無かった。夢うつつに目を開けていて、そう見えたかと思ったのだ。
 私自身の手だったとしても、体勢的に無理があるし、何より大きさが違っていた。

(もしかすると、誤診かもしれない…?)

 そんな気がして、私を別の病院へ連れていくと、風邪を拗らせ別の病を併発している事が判明した。
 入院沙汰にはなったが、無事に事なきを得た(その入院中の不可解体験が【ループ】という話に紹介してある…)。

 『母の勘』がそういう夢を見させたのか、はたまた『警告夢』だったのか。



 そしてある時、母はこんな夢を見た。


 無声映画の様な夢だったという。自宅の玄関前に母は立ち、外をジッと眺めていた。
 何かを待つとか、何かをしているではなく、まるで自分が定点カメラになったか、の様な感じだったらしい。

 自宅敷地から外の車道までは、途中に物置や車庫があるので、L字型になっているのだが、その突き当りの景色をひたすら眺めていたそうだ。

 すると、出し抜けに音も無く救急車が入ってきた。厳密には『白い大型のワゴン車』な雰囲気の車で、入って来た瞬間に夢から覚めたという。


 その翌日、息子である私の弟が入院した。

 弟が腹痛で病院へ行ったところ、『急性虫垂炎』と診断されたのだ。幸いにも4,5日で完治し後遺症も無かったが、母は『あの夢は警告夢だったのかも』と考えたそうだ。



 その後のある時、同居する祖母が体調を崩した。年末年始の時期でかかりつけがやっておらず、祖母は『以前に貰った薬があるからそれを飲む』と、受診を見送る判断をした。

 ところがその夜、母は夢を見た。


 また自宅の玄関前に立ち、外へ繋がる突き当りを眺めていた。人の気配は無いが、突き当りから何かがやって来るような異様なざわつきを感じた。

『もしかして、また救急車が来るかも…!』

 ハッとした母は、すぐに強制的に目を開けて覚醒した。


 翌日、祖母を説得し休日当番医に連れて行くと、初期の肺炎と診断された。総合病院に1泊して点滴治療を受け、祖母は帰宅した。

「肺炎て、老人の死因1位か2位のやつでしょ? 酷くなって手遅れになる前に、行けて良かった~」

 母は、夢で家族の危機を感知し、未然に防いだのだ。ある意味、『家の中』を守る重要な人物である。


 母は夢に関して、こんな事も言っている。

「悪い夢とか嫌な夢(警告夢)ってのは、人に教えてシェアするとその分、実現しても分散されて軽く済むものなの。だから言いなさい、聞くから。そして、みんなで注意して過ごせば何とかなるから!」


 私の中で、家族が集まり食事をする時間は『自分の見た夢の話をしたり家族の見た夢の話を傾聴する時間』である。
 それは我が家だけの特殊な習慣なのだろうが、何物にも代えがたい家族団欒なのだ。


 この日本の何処かにある、オカルト好きな家族の話。

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