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人形には魂が宿るとよく言われているが、『何かが入ってしまったもの』の話。
旧知の友人:モモコの同居する祖母が脳梗塞にかかり、半身麻痺の後遺症が出てしまった。
そこで自宅で介護しつつ、デイサービスを利用する事になったという。
ある時、デイサービス先の施設でクリスマス会があり、祖母さんはプレゼントにクマのぬいぐるみをもらった。
利用者に配られたプレゼントの品は、秋祭りで集めたバザーの余り物が中心らしく、他の利用者も中古品や安価な粗品だったようだ。
貰ったクマのぬいぐるみは少々くたびれていたが、祖母さんはとても可愛がっていたという。
「…おばあちゃんのクマのぬいぐるみさあ、怖くない?」
初めに言ったのはモモコの母だった。
「分かる! 何か視線感じるよね」
同意したのは、モモコの妹。オカルトを信じないモモコは尋ねた。
「視線? そりゃあ、ぬいぐるみには目があるでしょう?」
「そうじゃない。こないだも、おばあちゃんの部屋に来た訪問看護師さんが、問診中に振り返って『…何だ、ぬいぐるみか。誰か居たかと思った』なんて、クマから謎の気配感じてたんだよ!」
客人ですら感じるという、『クマ』の視線。だが、その時点でモモコや父親さんは何も感じなかったという。
数か月後、風邪を拗らせ祖母さんが入院する事になり、クマは祖母さんの部屋で留守番となった。
着替えや消耗品を病院に持って行くなど、所用でモモコが入る時は、いつも『クマの居場所当て』をしていたという。
部屋に入る。視線を感じるか探る。その場所を見る。だいたいクマがその辺りに居る…。モモコ曰く、面白いほど当たったそうだ。
「あれ? クマは…、押し入れ?」
母親さんと部屋に行った際に、モモコがいつもの要領で言うと、母親さんは悲鳴を上げた。
「何で知ってんの⁈ あんた、あたしがしまった時、居なかったよね!!」
モモコは知らずに言い当ててしまった。
とは言え、クマに関してそれ以上の事は何も起こらなかった。ただ、何故か『クマからの視線』を感じるだけ。
祖母さんが長い介護生活の末に亡くなった時、棺に一緒に入れる事を提案したのは、モモコの父親だった。
「後で個別に供養が必要になったら、大変じゃん?」
1番信じて無かった筈の父親さんも、何か感じるものがあったのか。こうしてクマは、主と共に荼毘にふされた。
ここで、以前の職場の上司の話も1つ。
上司の実家宅には、古い大きなオルゴールがあった。経年劣化か、震災での落下が原因か、音楽が鳴らなくなってしまった。
ゴミ回収業者に不要な家具の引き取りを頼んだ際に、ついでに持って行ってもらおうとすると、オルゴールは音楽を奏で始めた。
「使うあては無いけど、壊れてないなら処分を辞めよう」
上司の父親さんの判断で、オルゴールの処分は取りやめた。
それからまたしばらくして、オルゴールが鳴らなくなった。今度こそ寿命だと思い、粗大ゴミに出すべく、玄関先まで運んだ。
靴を履くため下に置いた瞬間、またオルゴールが鳴り始めたという。
「何かさ『まだ鳴ります、捨てないで!』って、訴えられた感じがしてさ。可哀想になっちゃって、捨てるの辞めたわ」
オルゴールは朽ち果てるまで、実家に置いておく予定だという。不思議な事に、そのオルゴールがどういう経緯で上司の実家宅に来たのか、誰も覚えてないらしい。
人からの贈り物だったのか、お土産だったのか。
案外、家にまつわる何者かの化身なのかも、なんて。
旧知の友人:モモコの同居する祖母が脳梗塞にかかり、半身麻痺の後遺症が出てしまった。
そこで自宅で介護しつつ、デイサービスを利用する事になったという。
ある時、デイサービス先の施設でクリスマス会があり、祖母さんはプレゼントにクマのぬいぐるみをもらった。
利用者に配られたプレゼントの品は、秋祭りで集めたバザーの余り物が中心らしく、他の利用者も中古品や安価な粗品だったようだ。
貰ったクマのぬいぐるみは少々くたびれていたが、祖母さんはとても可愛がっていたという。
「…おばあちゃんのクマのぬいぐるみさあ、怖くない?」
初めに言ったのはモモコの母だった。
「分かる! 何か視線感じるよね」
同意したのは、モモコの妹。オカルトを信じないモモコは尋ねた。
「視線? そりゃあ、ぬいぐるみには目があるでしょう?」
「そうじゃない。こないだも、おばあちゃんの部屋に来た訪問看護師さんが、問診中に振り返って『…何だ、ぬいぐるみか。誰か居たかと思った』なんて、クマから謎の気配感じてたんだよ!」
客人ですら感じるという、『クマ』の視線。だが、その時点でモモコや父親さんは何も感じなかったという。
数か月後、風邪を拗らせ祖母さんが入院する事になり、クマは祖母さんの部屋で留守番となった。
着替えや消耗品を病院に持って行くなど、所用でモモコが入る時は、いつも『クマの居場所当て』をしていたという。
部屋に入る。視線を感じるか探る。その場所を見る。だいたいクマがその辺りに居る…。モモコ曰く、面白いほど当たったそうだ。
「あれ? クマは…、押し入れ?」
母親さんと部屋に行った際に、モモコがいつもの要領で言うと、母親さんは悲鳴を上げた。
「何で知ってんの⁈ あんた、あたしがしまった時、居なかったよね!!」
モモコは知らずに言い当ててしまった。
とは言え、クマに関してそれ以上の事は何も起こらなかった。ただ、何故か『クマからの視線』を感じるだけ。
祖母さんが長い介護生活の末に亡くなった時、棺に一緒に入れる事を提案したのは、モモコの父親だった。
「後で個別に供養が必要になったら、大変じゃん?」
1番信じて無かった筈の父親さんも、何か感じるものがあったのか。こうしてクマは、主と共に荼毘にふされた。
ここで、以前の職場の上司の話も1つ。
上司の実家宅には、古い大きなオルゴールがあった。経年劣化か、震災での落下が原因か、音楽が鳴らなくなってしまった。
ゴミ回収業者に不要な家具の引き取りを頼んだ際に、ついでに持って行ってもらおうとすると、オルゴールは音楽を奏で始めた。
「使うあては無いけど、壊れてないなら処分を辞めよう」
上司の父親さんの判断で、オルゴールの処分は取りやめた。
それからまたしばらくして、オルゴールが鳴らなくなった。今度こそ寿命だと思い、粗大ゴミに出すべく、玄関先まで運んだ。
靴を履くため下に置いた瞬間、またオルゴールが鳴り始めたという。
「何かさ『まだ鳴ります、捨てないで!』って、訴えられた感じがしてさ。可哀想になっちゃって、捨てるの辞めたわ」
オルゴールは朽ち果てるまで、実家に置いておく予定だという。不思議な事に、そのオルゴールがどういう経緯で上司の実家宅に来たのか、誰も覚えてないらしい。
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案外、家にまつわる何者かの化身なのかも、なんて。
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