我ガ奇ナル日常譚 〜夢とリアルと日々ホラー〜

羽瀬川璃紗

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77 体質

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 私が好きでよく読むホラー漫画に、『人の半数は、生霊を送ったり送られてきた事を感知出来る呪詛体質』という記述があった。
 実際は不明だが、生霊を誰かに送る事が出来るのは一種の才能らしい。そこで私は考える。

 私の場合これまでに『羨望』や『リンク』、『じゃんけん』、『唇』など、生霊を送られた&むしろ自分が送ってしまった話を、思い返すと沢山投稿している。

 私は『呪詛体質』なのか。

 そこでもう1つ、『生霊?』で繋がってしまった事があったので、その話を。



 以前私が勤めていた職場の同期に、シンゴという男性従業員が居た。気さくで趣味も似ていたので仲良くなったが、3年目に転機が訪れた。

 当時勤めていた会社、並びに当時の社会情勢はまだまだ『男尊女卑』的な部分が強かった。
 女子ばかりの同期の中で、唯一の男子だったシンゴは期待の男子だから、と異例の『役職(と言っても毛が生えた程度のだが)』に昇格した。

 当初は素直に喜んでいた私だったが、シンゴは上司になったら変わってしまった。
 今だから分かるが、自分の実力で昇格した=自分は仕事が出来る!と、若さゆえ勘違いしてしまったのだ。

 ある時。会社で使っているマシンの故障を私が発見した。早い段階で手を打てば、本格的に壊れるまでは行かないだろう。
 故障を指摘したが、シンゴは一笑にふした。

「そんなのすぐ壊れないだろう? 大袈裟だ!」

 シンゴは上長に報告せず放置、そしてマシンが壊れてしまった。

「何でこんな事になる前に言わないんだ! おたくらの怠慢だ!」

 よくある八つ当たりだ。でも私は怒り心頭だった。

(自分のミスを人のせいにしたな!そもそも大して仕事も出来やしないのに、威張りやがって!!)

 翌日。右腕が何故か筋肉痛になった私に、パートのおばちゃんが話しかけてきた。

「何かねえ、シンゴくんしゃっくりが朝から止まんないんだって。もう3時間になるのにね」

 シンゴは謎の『しゃっくり病』になった。
 しゃっくりなんて、段々と発生タイミングがずれて来て、長くとも数十分で止まるものだが、シンゴのは全然止まらないのだという。

 1日経っても、2日経っても止まらない。最初の内は『100回出ると○んじゃうから気を付けて』などと軽口を叩いてたが、皆いよいよ真剣に心配になってきた。

「こんな、3日も止まらない人なんて、今まで会った事ないよ」

「ねえ大丈夫? 病院行ったら?」

 とうの本人はしゃっくりで散々弄られたので、イライラしていた。

「ほっといてよ」


 一方、私の筋肉痛も治らなかった。

(寝違えてこんなに続くってあるかな?首なら未だしも、二の腕だけなんだよね)

 そして壊れていたマシンが帰還した。その時、ふと私は思った。

(もしや私、『生霊』ってやつ、飛ばしてる?)

 その夜、私は『飛ばすの終了!』と念じ、床に着いた。

 翌日、私の筋肉痛とシンゴのしゃっくりは、収まっていた。
 その後も、シンゴに対しすごく怒る事があると、私は筋肉痛、シンゴはしゃっくりの症状が発現した。

(『人を呪わば穴二つ』ってやつだな。私が筋肉痛になる事で、彼に苦痛を与えてるのね)

 送れた所で楽しくもないので、なるべく穏やかに過ごす事を心がけた。


 時は流れ、その職場から転職し数年が過ぎた頃。私は夢を見た。

 夢の中で、私はシンゴの居る以前の職場に勤めていた。
 仕事をしている夢だったり、休憩を取っている夢だったり、働きつつ『あれ、今の仕事、何時からだっけ?そろそろ上がらないと間に合わない!』と焦る夢だったり。
 気づくと、ひと月に4回も夢を見ていたりした。

(何だろう。こんなに見るなんて)

 それから数か月後、仲の良かった元同期と一緒に飲んだ時のこと。

「最近、前の職場の夢ばかり見てさ。何か懐かしいわ」

「ああ、そう言えば。シンゴくん辞めたらしいよ」

「そうなの? いつ?」

「7月くらいかな? 急に辞めたみたいで、理由は知らない」

 丁度、私はその頃に夢をよく見ていた。

 それ以降は夢にシンゴが出て来る事も、ひと月に何回も元職場の夢を見る事も無くなった。

 私が気になるのは、見た夢の中での私の心情だ。
 『ああ、こんな仕事している場合じゃないのに』、『あたし、あと何年この仕事続けるんだろう?』、『何か、何の味もしない。このご飯、今の仕事みたいだな』…。
 そしてよぎるのは、急に辞めたという彼。


 シンゴがいま何をしてるのかは知らないが、新しい職場で活躍してる事を、心の片隅で願っている。

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感想 1

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