漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~

羽瀬川璃紗

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旅 ※動物の死亡表現あり

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 私達は旅をしていた。

 何かから逃げていたのかもしれない。楽しい旅という意識は皆無だった。 


 着の身着のまま、最低限の荷物だけを持ち、ひたすらに移動。そして、海を渡らないといけなくなった。移動手段は泳ぎ。 

 ワイヤーの様な釣り糸の様な細い綱に掴まり、4~5列に並んで海を泳ぐ。泳ぐというか、遥か向こうにある船に牽引してもらうといった感じか。
 綱にさえ掴まっていれば移動できるので、泳ぐ必要はない。 


 だが、ある地点はかなりの難所だった。すごく水深が深く波が高く、綱に掴まっていても浮く事が出来なくなるらしい。
 その地点を『死神のスポット』と言うらしい。 

 対処法は慌てず騒がず、掴まっている場所を数センチ移動させる。するとまた、浮上可能になるという。 


(そんな事言っても、急に身体が沈んで水を飲んだらパニクって何も出来なくなるって) 

 警戒していた通り、ある地点で沈みかけた。一瞬慌てたが、拳2つ分だけ前に進んで何とか事無きを得た。 


 ふと隣の隊列を見ると、綱を掴んだ子供の様に小さな手だけが水面に出ていて、沈んでる誰かが居た。 

(えっ!!子供?いや、でもその割に皺々で毛深い…) 

 岸に着いた時に見ると、そこに居たのは溺死した猿だった。飼い主と思しき男が、タオルに包んで砂浜に埋葬する。 

(猿なりに綱を掴んでいれば何とかなると考えたのか…。頭の良い子だったんだ) 


 たき火で少しだけ身体を温めた後、髪も乾かぬ内に私達は空港へ向かった。
 私達を支援する団体からチケットと救援物資を受け取り、搭乗手続きをしなくてはならない。 

(だいぶ、人数が減った) 

 弱い者、運の悪かった者から脱落していったのか。或いは、生に対する執念が凄まじい者だけが残ったのか。

 終着はどこなのか。

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