漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~

羽瀬川璃紗

文字の大きさ
70 / 132

心霊写真 ※ホラー、グロ表現あり

しおりを挟む
 私は小学2年生になっていた。


 友人:ミワの家に、初めて遊びに行く事になった。彼女の家はとても大きく古く、そして立派な屋敷だった。

 印象的だったのは、広いせいか家人が見当たらないこと。所詮、大人はやる事がいっぱいあるので、私達子供の相手などしてられない。
 私は子供だが、そういう事はよく分かっていた。

 長く広い縁側から、立派な庭の池を眺めていると、ミワは飽きたのかこんな事を言い出した。

「向こうの廊下に昔の古い写真があるんだ。見に行こ!」

 促され向かった先は、奥の間に面しているだろう、分厚い木戸で区切られた廊下。

(おいおい、この配置はおじいちゃんおばあちゃんの部屋のすぐ前じゃん。こんなとこ来たら怒られない?)

 区切られたその廊下の空間には、温泉宿の様に外を眺め寛げられる、向かい合わせの座椅子と小さなテーブルがあった。
 彼女は奥の突き当りにある、ぎっしりと詰められた本棚から、アルバムを幾つも引っ張り出し、テーブルの上に広げていく。

「これ、あたしが生まれた時のやつ」

 ミワはそう言うと、上質な台紙で加工された冊子の、お宮参りと思しき写真を見せてきた。

「これはオクイゾメで、ハツセックで…」

 私の様な中流家庭でも、七五三ぐらいは台紙加工になっているが、ミワの場合はイベントごと事細かに写真屋で撮ってもらっているのか、立派な台紙に写真が付けられていた。

(やっぱいいとこのお嬢さんは違うんだな。いちいち写真屋使って冊子にするのか)

 言われるまま眺めていた私に、彼女はある大判の写真を見せてきた。

「これ、シンレイシャシンなの」

 その写真は誰かの結婚式のもののようで、高砂に座る和装の新郎新婦を囲む様に披露宴の参加者達が集っている写真だった。

 同時に、私の意識がその写真の撮影時に転送される。



『では、○○家の皆様、新郎新婦様の周りにお並び下さい!』

 写真屋の合図に、大人達が序列順に並び出す。

『ミワもならぶのー!』

 幼い子供の声。全員が並び終わり、写真屋が撮影。ところが。

『…これは!』

 完成したものには、有り得ない場所に居る顔だけの人物がハッキリと映り込んで居た。その顔は。

『あー、ミワこれだね』

『何言ってるの、これはあなたなんかじゃない!』

 声を震わせる母親と思しき声。



 意識を戻した私が、問題の箇所に目をやろうとすると、皺のある手がその部分を隠す。
 ハッとして顔を上げると、そこには上品そうな老婆が居た。

「あの子はね、映り込んだ霊を間違えて自分だなんて言ってしまったの」

 ミワの姿は、何処にも無い。老婆は続けた。

「それからすぐ、あの子は映り込んだ霊と同じ顔になって、死んでしまった。溺れ死んだのよ」

 老婆は写真を伏せると、私を廊下の向こうへ連れ出した。
 優しく、だが力のこもった手で、私の頭が動かないように固定していた。

(これは、何かを見せないようにしている…?)

 老婆は言った。

「写真の霊を、これは自分だなんて言ってはいけないよ。同じ顔にされて連れていかれるからね」

 戸を老婆が閉める直前、私は見てしまった。

 本棚の前に佇む、顔が半分歪んで膨れている、少女の姿を。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

鳴瀬ゆず子の社外秘備忘録 〜掃除のおばさんは見た~

羽瀬川璃紗
経済・企業
清掃員:鳴瀬ゆず子(68)が目の当たりにした、色んな職場の裏事情や騒動の記録。 ※この物語はフィクションです。登場する団体・人物は架空のものであり、実在のものとは何の関係もありません。 ※ストーリー展開上、個人情報や機密の漏洩など就業規則違反の描写がありますが、正当化や教唆の意図はありません。 注意事項はタイトル欄併記。続き物もありますが、基本的に1話完結、どの話からお読み頂いても大丈夫です。 26年1月限定で毎週金曜22時更新。 次回の限定更新は26年3月を予定しております。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...