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心霊写真 ※ホラー、グロ表現あり
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私は小学2年生になっていた。
友人:ミワの家に、初めて遊びに行く事になった。彼女の家はとても大きく古く、そして立派な屋敷だった。
印象的だったのは、広いせいか家人が見当たらないこと。所詮、大人はやる事がいっぱいあるので、私達子供の相手などしてられない。
私は子供だが、そういう事はよく分かっていた。
長く広い縁側から、立派な庭の池を眺めていると、ミワは飽きたのかこんな事を言い出した。
「向こうの廊下に昔の古い写真があるんだ。見に行こ!」
促され向かった先は、奥の間に面しているだろう、分厚い木戸で区切られた廊下。
(おいおい、この配置はおじいちゃんおばあちゃんの部屋のすぐ前じゃん。こんなとこ来たら怒られない?)
区切られたその廊下の空間には、温泉宿の様に外を眺め寛げられる、向かい合わせの座椅子と小さなテーブルがあった。
彼女は奥の突き当りにある、ぎっしりと詰められた本棚から、アルバムを幾つも引っ張り出し、テーブルの上に広げていく。
「これ、あたしが生まれた時のやつ」
ミワはそう言うと、上質な台紙で加工された冊子の、お宮参りと思しき写真を見せてきた。
「これはオクイゾメで、ハツセックで…」
私の様な中流家庭でも、七五三ぐらいは台紙加工になっているが、ミワの場合はイベントごと事細かに写真屋で撮ってもらっているのか、立派な台紙に写真が付けられていた。
(やっぱいいとこのお嬢さんは違うんだな。いちいち写真屋使って冊子にするのか)
言われるまま眺めていた私に、彼女はある大判の写真を見せてきた。
「これ、シンレイシャシンなの」
その写真は誰かの結婚式のもののようで、高砂に座る和装の新郎新婦を囲む様に披露宴の参加者達が集っている写真だった。
同時に、私の意識がその写真の撮影時に転送される。
『では、○○家の皆様、新郎新婦様の周りにお並び下さい!』
写真屋の合図に、大人達が序列順に並び出す。
『ミワもならぶのー!』
幼い子供の声。全員が並び終わり、写真屋が撮影。ところが。
『…これは!』
完成したものには、有り得ない場所に居る顔だけの人物がハッキリと映り込んで居た。その顔は。
『あー、ミワこれだね』
『何言ってるの、これはあなたなんかじゃない!』
声を震わせる母親と思しき声。
意識を戻した私が、問題の箇所に目をやろうとすると、皺のある手がその部分を隠す。
ハッとして顔を上げると、そこには上品そうな老婆が居た。
「あの子はね、映り込んだ霊を間違えて自分だなんて言ってしまったの」
ミワの姿は、何処にも無い。老婆は続けた。
「それからすぐ、あの子は映り込んだ霊と同じ顔になって、死んでしまった。溺れ死んだのよ」
老婆は写真を伏せると、私を廊下の向こうへ連れ出した。
優しく、だが力のこもった手で、私の頭が動かないように固定していた。
(これは、何かを見せないようにしている…?)
老婆は言った。
「写真の霊を、これは自分だなんて言ってはいけないよ。同じ顔にされて連れていかれるからね」
戸を老婆が閉める直前、私は見てしまった。
本棚の前に佇む、顔が半分歪んで膨れている、少女の姿を。
友人:ミワの家に、初めて遊びに行く事になった。彼女の家はとても大きく古く、そして立派な屋敷だった。
印象的だったのは、広いせいか家人が見当たらないこと。所詮、大人はやる事がいっぱいあるので、私達子供の相手などしてられない。
私は子供だが、そういう事はよく分かっていた。
長く広い縁側から、立派な庭の池を眺めていると、ミワは飽きたのかこんな事を言い出した。
「向こうの廊下に昔の古い写真があるんだ。見に行こ!」
促され向かった先は、奥の間に面しているだろう、分厚い木戸で区切られた廊下。
(おいおい、この配置はおじいちゃんおばあちゃんの部屋のすぐ前じゃん。こんなとこ来たら怒られない?)
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「これ、あたしが生まれた時のやつ」
ミワはそう言うと、上質な台紙で加工された冊子の、お宮参りと思しき写真を見せてきた。
「これはオクイゾメで、ハツセックで…」
私の様な中流家庭でも、七五三ぐらいは台紙加工になっているが、ミワの場合はイベントごと事細かに写真屋で撮ってもらっているのか、立派な台紙に写真が付けられていた。
(やっぱいいとこのお嬢さんは違うんだな。いちいち写真屋使って冊子にするのか)
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「これ、シンレイシャシンなの」
その写真は誰かの結婚式のもののようで、高砂に座る和装の新郎新婦を囲む様に披露宴の参加者達が集っている写真だった。
同時に、私の意識がその写真の撮影時に転送される。
『では、○○家の皆様、新郎新婦様の周りにお並び下さい!』
写真屋の合図に、大人達が序列順に並び出す。
『ミワもならぶのー!』
幼い子供の声。全員が並び終わり、写真屋が撮影。ところが。
『…これは!』
完成したものには、有り得ない場所に居る顔だけの人物がハッキリと映り込んで居た。その顔は。
『あー、ミワこれだね』
『何言ってるの、これはあなたなんかじゃない!』
声を震わせる母親と思しき声。
意識を戻した私が、問題の箇所に目をやろうとすると、皺のある手がその部分を隠す。
ハッとして顔を上げると、そこには上品そうな老婆が居た。
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「それからすぐ、あの子は映り込んだ霊と同じ顔になって、死んでしまった。溺れ死んだのよ」
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優しく、だが力のこもった手で、私の頭が動かないように固定していた。
(これは、何かを見せないようにしている…?)
老婆は言った。
「写真の霊を、これは自分だなんて言ってはいけないよ。同じ顔にされて連れていかれるからね」
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