漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~

羽瀬川璃紗

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SDGs ※グロ、犯罪行為表現あり

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 私は大きな荷物を抱え、町を彷徨っていた。

(早く捨てないと…)

 人間誰しも、人に見られたくないゴミの1つや2つがあるものだ。
 悪い点数のテスト、元恋人と撮った写真、黒歴史時代の日記や愛用品など。普通に家庭ごみに混ぜて出す人も居れば、可燃物なら燃やす人も居るだろう。
 私の荷物は、どちらも不可能な代物だった。

 スーパー内のフードコートで、私は荷物を降ろし、アイスコーヒーを飲んだ。

(どうしよう。どこに捨てたらいいだろう)

 フードコート内には、ゴミ箱が設置されている。でもそれは軽食やスーパーで買った弁当の空容器用で、さほど大きくない。

(車で少し行った先にショッピングセンターがあるけど、そこだって似たような大きさだしな…)

 私が捨てようとしているのは、『ボウリングの球』である。しかも3個。ゴミ箱に入れようとしてもつっかえてしまう。

(このサイズと質量だと、完全に粗大ごみ扱いなんだよな。でも『捨てたのが私』であることを、知られてはいけないし)

 私はコーヒーを飲み干すと、立ち上がった。

 山中や海中に不法投棄、だっていくらでも出来る。でも誰が見てるかも分からないし、バレれば余計な罪を背負う事にもなる。

(そういう意味では公共施設のゴミ箱に入れるのも、犯罪なんだけど)

 私はスーパーを出て、駅裏にある高架橋の下に居た。この付近はこの町の暗部、1番治安が悪い区画となっている。

 殺人事件があっても警察が出動しない、日本の法律が通用しないなどとネット上で噂があるが、実際は生活困窮者が古い公営住宅に住んでいるだけだ。

 高架橋のせいで昼間でも薄暗く陰気、けれどもどこからか子供達の元気な声がする。声に誘われるよう歩いて行くと、空き地で子供が鬼ごっこをして遊んでいた。
 私が荷物を置くと、子供は遊びを止めて近づいてきた。

「ねえ、これなあに?」

「これねえ、ボウリングってスポーツのボールだよ」

 私がそう言い球を転がすと、子供達は目を丸くした。

「何か、空き瓶とか空き缶並べてさ。遠くから転がして倒すんだ」

「いいなぁ、やってみたい」

「3個あるからあげるよ。みんなで仲良く遊んでね」

 私はそう言い、首尾よく子供達にプレゼントした。


 車に戻った私は、電話を掛けた。相手は取引先だ。

「あ、今ようやく処分したとこ。固めるの今回限りにしてね? マジ大変だったから」

『いやぁ、すいません。気を付けます』

「うん。次は従来通りでよろしく」

 電話を終わらせた私は、車を発進させる。


 私は『処分屋』だった。取引先は、社会のゴミを抹殺する『殺し屋』だ。

(『プロではなく精神異常者の仕業にみせるため、首だけ持ってきた』って、樹脂で固めたもの持ち込まれても困るのよ。埋めれないし燃やせないし、別の何かに加工しないといけないじゃん)

 社会のゴミは子供達の遊び道具に。これぞ、本当のエコってやつだ。

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