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全テハ俺ノ物

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幼い頃から全てが手に入った。



さして誰かを好きになったことはない。好きになるまでもなく、私には完璧な許嫁がいたし完璧な周囲がいた。



だが全てがあれば、貰えるだけ全てが欲しくなる。



許嫁と取り巻きがそれぞれ持っている気持ちには気付いていたが、どちらも俺のもの。別にあいつらの思い通りにさせてやる必要はない。



何事もなく入学した学校でも、私は全ての支配者だった。常に私の周りには友達を名乗る取り巻き達がいたし、それ以外のやつらもヘコヘコしてくる。

身分は関係無いなんて校則も、私の前では無力だ。



だから欲しくなった彼女を、俺が手に入れるのも当然のこと。

ナギが思っているであろう取り巻きその1。名前は…… そうそう、ラダマスだ。奴が居ない間に少し話してやれば、簡単にコロッと落ちてきた。女子、いや臣民なんてみんなそんなものだ。



帰って来た時の奴の顔といったらもう……



いい娯楽だったぞ。



「どうした? 浮かない顔をして」

「はっ、いや…… なんでもないです。」



あぁ、お前は優秀な臣下だよ。私が王になった暁には無限の名声と富をやろう。



だからものものだ。



そして運命の昨日。私のものは私の命で壊れてしまった。

だがまぁいいだろう。まだナギが居る。

それにナギが居なくたって、俺には国民の女がいるからな。



そんな私の予想は悉く裏切られた。



1つ目に私は思った以上にナギに執着していたらしい。愚かにも臣下の身分で私の物を奪いやがった阿呆と、2つ目にそれに飛びかかる私。



そうして私は捕まり、牢の中へまっしぐら。

全てが私の手から落ちる。

それもこれも全て……



   暗い牢で考える。逆転の一手と私を裏切ったヤツらへの復讐を。



    その時聞こえてくる報告が、私の復活を知らせる声。



「大量の血痕を残し、ラダマス邸がもぬけの殻になった」



あぁ、神は私を見放さない。



「さぁ、私を出せ! 被害者が居なくなれば加害者もいなくなる! そうして私のものを…… 再び私の手に。探せぇ!!!」



待っててくれお前ら。また、可愛がってやるからな。
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みんなの感想(1件)

スパークノークス

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