【完結】私を醜い豚と罵り婚約破棄したあなたへ。痩せて綺麗になった私を見て今更慌てて復縁を申し出てきても、こちらからお断りです。

復讐

「あのときは、本当に申し訳なかった。
心から謝罪する、だからやり直させてほしい」


舞踏会が終わった後。


アレクは私にそのように告げてきた。


頭を下げて、リエと呼ばれていた
女性とも本当に分かれたとの事なため、
反省しているように見える。


でも私は知っていた。


この姿が偽りであるという事を。


この人は子どもなのだ。


おそらくだが痩せた私を見た両親から、
きつく叱られたのだろう。


だから反省したふりをして、
やり直そうなどというきれい事を
口から吐くのだ。



でも心の中では、そんなことは思っていない。


簡単に意見を変える人ほど信用はできない。


どうせしばらく立てば、今回の出来事など簡単に
忘れ、新しい女性に手を出すのだろう。


そんな男を誰が信用してやるモノか。


だから笑顔で言ってやる。


「お断りさせていただきます。
もう私は、あなたがいなくても幸せですので」


アレクは顔を歪め、何かを言うとしていたが、
諦めてそのまま帰っていった。


いい気味だ。


そしてこれでお終いだと思わないでほしい。


これからあなたはずっと苦しむことになるのだ。
あのとき、私を豚と罵り、婚約破棄をしてしまったことを。


そして私は、あなたがずっと後悔して
生きていけるように、ずっと幸せな
毎日を送ってやろうと思う。


「エレオノーラ様、いつものです」


お昼になると、郵便屋さんが
いつものように手紙を届けてくれる。


騎士団の団長になったウィルからの手紙だ。


どうやら来週、帰って来るとのことだ。


数ヶ月先には彼との婚姻も控えている。


私の人生は、これから始まるのだ。


もう下を見るのはやめた。
過去を見るのも。


まっすぐ前を見て、ウィルとともに
歩いて行こうと思う。