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第22話 シャロットの壮絶なエルフ事情を知る
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「レッドくんっ!」
イザベラとの戦闘が終わり、待合室に戻った時だった。
彼女が俺の方に飛んできたのだ。
1年ぶりに会った恋人、みたいな雰囲気を醸し出しながら。
「──ひゃああああ!」
準備ができていなかったので悲鳴を上げてしまう。
ジャンプで飛び込んできた衝撃を、シャロットの胸にある柔らかいものが吸収して事なきを得た。
「結婚してください」
「断ります」
またすぐにプロポーズされる。
好き好き系美女にありがちなことなのか、付き合うをすっ飛ばして結婚まで持っていっている。
もしシャロットと結婚したら……ラブラブ甘々な生活と、一生他の人間と関わり合えない束縛の強い人生が待っていることだろう。
「あのエルフの男の人、レッドくんではなくてあのエルフの女に賭けていたんですが……もう彼はパーティから追放するということでいいですか?」
「いや待て待て」
ていうか、追放云々の前に、またラメセスは敵に賭けたというのか!?
エルフの身分とか神聖さとかにはこだわらないスタンスを強調しておきながら、とことん同族贔屓する奴だな。
賭けに負けてくれて何よりだ。
「追放しないって」
「どうしてです? あのコンスタスという小人はまだ許します。レッドくんのことを必死で応援していましたから。ですが、あのエルフは追放です」
碧眼が前よりも暗くなり、ハイライトが消えているような気がする。
これだから狂気系美女は……。
清純なメインヒロインをここまで狂わせてしまった男は誰だ? 一発殴ってやりたい。
あ、それ、俺だ。
俺は自分を軽く殴った後、改まった様子でシャロットに向き直った。
「ていうか、どうしてそこまでエルフを嫌うんだ? 何かあったのか?」
これは物語として楽しんでいた頃からの疑問。
シャロットに何か辛い過去のようなものがあり──例えばエルフに両親を殺されたとか──それがトラウマになっていて……とかいうのであれば、少しは納得できる。
いろいろ気を遣って聞かないようにしていたけど、ここまで来たら聞いた方がいいだろう。
俺の質問に、シャロットは暗い表情になった。
ヤンデレモードの時とは異なる、壮絶な過去を思わせるような意味深な顔。
やっぱり、俺は辛い過去を呼び起こしてしまったのか……!?
「実は……」
ゴクリ。
「私の両親が……」
まさか──。
「幼い頃エルフに財布を盗まれたらしくて……」
ん?
「それで、エルフには関わるな、って。お金のことになるとエルフはうるさいんだ、って……シクシク……」
うん?
「ちなみに、財布の中に入ってた額っていくらくらいだった?」
「100ベニくらいだったそうです」
おや?
この世界でのベニというのは、ほぼ円と同じ価値を示す。
てことは、たった100円盗られたくらいで、根に持ったのか!? シャロットの両親も彼女に負けず劣らずおかしいということだ。
「いやー、なんかいろいろ心配して損したような」
「そうですか? 私は絶対に許せないです。あのエルフが賭けをするって言い出した時、私、やっぱりエルフってお金のことしか考えてないんだ、って思いました」
んー、確かにそれはラメセスが悪い。
とはいえ、彼は絶対に人の物を盗むようなエルフではない。
100ベニ盗まれたくらいで偏見が凄い。
「とりあえず、闘技場で賭けることは特段悪いことでもないけど……ラメセスには言っておくから、エルフに関する偏見はやめてくれ」
「私のこと、嫌いになりましたか? 幻滅、しましたか?」
うるうるした目で、可哀想なウサギのように俺を見つめてくる。
罪な女だ、シャロットは。
「嫌いにはならないだろ」
「なら、大好き結婚しよう、って言ってください。言わなければ自殺します」
「いやいや簡単に自殺するとか言わないで! 好きだから。友達として。決して異性としてじゃなく」
「好き、だけでは駄目です。大好き結婚しようって言ってもらわないと」
「大好き結婚しよう。友達として。決して異性としてじゃなく」
友達として結婚する、っていうことがいまいちよくわからない。
でも、そう言わないとシャロットが死ぬんだろ?
彼女の怖いところは、冗談っぽいことも平気でしそうなところだ。
俺の一言に、シャロットは頬を赤く染めた。
そのまま優しく俺の手を握ったかと思うと、頬にふわっと、温かくて柔らかい唇を当てる。
それはキスだった。
予想外……なのかはわからないけど、とにかく唐突の行動に、思わず俺まで赤くなる。
恥ずかしい。
「私、本気ですから。先ほどの戦いも、レッドくんが勝つって、信じてましたから」
「そうか」
それしか言えなかった。
ありがとう、とでも言っておけばよかったのか?
「私も頑張りますね。準々決勝に残って、レッドくんと結婚できるように」
「そこはせめて優勝にして」
肝心な俺の言葉は無視された。
決意したような表情のシャロットは、自分の戦いに向かっていく。
シャロットの初戦。
彼女も相当な実力者だ。
準々決勝には行かないくらいに、勝ち進んで欲しい。
《次回23話 エルフ美女とお友達から始める》
イザベラとの戦闘が終わり、待合室に戻った時だった。
彼女が俺の方に飛んできたのだ。
1年ぶりに会った恋人、みたいな雰囲気を醸し出しながら。
「──ひゃああああ!」
準備ができていなかったので悲鳴を上げてしまう。
ジャンプで飛び込んできた衝撃を、シャロットの胸にある柔らかいものが吸収して事なきを得た。
「結婚してください」
「断ります」
またすぐにプロポーズされる。
好き好き系美女にありがちなことなのか、付き合うをすっ飛ばして結婚まで持っていっている。
もしシャロットと結婚したら……ラブラブ甘々な生活と、一生他の人間と関わり合えない束縛の強い人生が待っていることだろう。
「あのエルフの男の人、レッドくんではなくてあのエルフの女に賭けていたんですが……もう彼はパーティから追放するということでいいですか?」
「いや待て待て」
ていうか、追放云々の前に、またラメセスは敵に賭けたというのか!?
エルフの身分とか神聖さとかにはこだわらないスタンスを強調しておきながら、とことん同族贔屓する奴だな。
賭けに負けてくれて何よりだ。
「追放しないって」
「どうしてです? あのコンスタスという小人はまだ許します。レッドくんのことを必死で応援していましたから。ですが、あのエルフは追放です」
碧眼が前よりも暗くなり、ハイライトが消えているような気がする。
これだから狂気系美女は……。
清純なメインヒロインをここまで狂わせてしまった男は誰だ? 一発殴ってやりたい。
あ、それ、俺だ。
俺は自分を軽く殴った後、改まった様子でシャロットに向き直った。
「ていうか、どうしてそこまでエルフを嫌うんだ? 何かあったのか?」
これは物語として楽しんでいた頃からの疑問。
シャロットに何か辛い過去のようなものがあり──例えばエルフに両親を殺されたとか──それがトラウマになっていて……とかいうのであれば、少しは納得できる。
いろいろ気を遣って聞かないようにしていたけど、ここまで来たら聞いた方がいいだろう。
俺の質問に、シャロットは暗い表情になった。
ヤンデレモードの時とは異なる、壮絶な過去を思わせるような意味深な顔。
やっぱり、俺は辛い過去を呼び起こしてしまったのか……!?
「実は……」
ゴクリ。
「私の両親が……」
まさか──。
「幼い頃エルフに財布を盗まれたらしくて……」
ん?
「それで、エルフには関わるな、って。お金のことになるとエルフはうるさいんだ、って……シクシク……」
うん?
「ちなみに、財布の中に入ってた額っていくらくらいだった?」
「100ベニくらいだったそうです」
おや?
この世界でのベニというのは、ほぼ円と同じ価値を示す。
てことは、たった100円盗られたくらいで、根に持ったのか!? シャロットの両親も彼女に負けず劣らずおかしいということだ。
「いやー、なんかいろいろ心配して損したような」
「そうですか? 私は絶対に許せないです。あのエルフが賭けをするって言い出した時、私、やっぱりエルフってお金のことしか考えてないんだ、って思いました」
んー、確かにそれはラメセスが悪い。
とはいえ、彼は絶対に人の物を盗むようなエルフではない。
100ベニ盗まれたくらいで偏見が凄い。
「とりあえず、闘技場で賭けることは特段悪いことでもないけど……ラメセスには言っておくから、エルフに関する偏見はやめてくれ」
「私のこと、嫌いになりましたか? 幻滅、しましたか?」
うるうるした目で、可哀想なウサギのように俺を見つめてくる。
罪な女だ、シャロットは。
「嫌いにはならないだろ」
「なら、大好き結婚しよう、って言ってください。言わなければ自殺します」
「いやいや簡単に自殺するとか言わないで! 好きだから。友達として。決して異性としてじゃなく」
「好き、だけでは駄目です。大好き結婚しようって言ってもらわないと」
「大好き結婚しよう。友達として。決して異性としてじゃなく」
友達として結婚する、っていうことがいまいちよくわからない。
でも、そう言わないとシャロットが死ぬんだろ?
彼女の怖いところは、冗談っぽいことも平気でしそうなところだ。
俺の一言に、シャロットは頬を赤く染めた。
そのまま優しく俺の手を握ったかと思うと、頬にふわっと、温かくて柔らかい唇を当てる。
それはキスだった。
予想外……なのかはわからないけど、とにかく唐突の行動に、思わず俺まで赤くなる。
恥ずかしい。
「私、本気ですから。先ほどの戦いも、レッドくんが勝つって、信じてましたから」
「そうか」
それしか言えなかった。
ありがとう、とでも言っておけばよかったのか?
「私も頑張りますね。準々決勝に残って、レッドくんと結婚できるように」
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肝心な俺の言葉は無視された。
決意したような表情のシャロットは、自分の戦いに向かっていく。
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