【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

文字の大きさ
35 / 103
魔王セト襲来編

その35 魔王襲来

しおりを挟む
 アリアからの生徒会への勧誘。

 それは、俺の実力が認められ、学園に必要不可欠な存在として働かされることを意味する。ほとんどの生徒にとって、生徒会長から直々に勧誘を受けるのは名誉なことだ。
 だが、西園寺さいおんじオスカーがここで素直に頷くはずがない。

「俺の生徒会入りを望まない者も多数いるだろう。生徒会長としては、ここで俺を〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉の一員メンバーとして迎え入れることは最善ではないはずだ」

 白竜はくりゅうに視線を送りながら、アリアの勧誘に答える。

 この言葉に即座に反応したのは副会長の白竜だった。
 陽気に微笑みながら、大きく両腕を広げる。

「確かにそうかもしれないねぇ。でも、ボクとしては、きみのような面白い新人が入ってくるのはサイコーなんだけど、きみはそれを望まないだろう?」

「よくわかっているな」

「よっ、お褒めの言葉いただきました!」

 彼の話し方からして、副会長としては、俺が生徒会に入ろうが入るまいがどうでもいいらしい。
 
 俺を入れたいという必死さはなく、事態がどちらに転がったとしても、彼に大きなダメージはない、ということか。
 それとは裏腹に、生徒会長アリアの瞳からは熱意が伝わってくる。どうしても西園寺オスカーをここで仲間にしておきたい――そういう風に俺は捉えた。

「オスカーさん、わたくしもアレクと同じく、優秀な人材が今の生徒会に欲しいと考えております。規格外の実力を持っていると推定できるオスカーさんは、学園の脅威となりかねません。わたくしは〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉幹部の席を、貴方様のために用意してもいいと考えておりますの」

 アリアのこの台詞セリフに、白竜が目を丸くする。

「おっ、アリア君? それは初耳だね。彼をいきなり幹部にしたら、エイダン君や幹部を希望している生徒からかなりの反感を買うことになるよ」

「ですが、こうでもしないと、オスカーさんは入ってくださいませんよね?」

 アリアが透き通った笑みを浮かべ、いたずらな瞳で俺を見た。
 今も異質な光を放っている魔眼。魔力量だけでなく、対象の性格まで見通すことができるのだろうか。

「確かに、幹部というのは悪くない響きだ」

 かつて何か大きな組織に所属していたかのように、過去を思い出すような目をして言う。

 正直に言えば、今のアリアの提案は魅力的だ。
 〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉の幹部、というだけで「かっこよさそう」だし、この学園で絶対的な肩書きを手にすることになる。

 誰がこの甘い提案を断ろうか。

 この話を断る愚か者は俺以外・・にいないだろう。

「魅力的だが、断らせてもらおう」

 もうすでに、俺は彼らに背を向けていた。

 学園のトップ二人に向けられる最強の生徒の背中。
 たとえ二人が実力者であったとしても、俺の実力には及ばない。この背中は、誰にも届かない、遥か彼方に存在する背中だ。

 神を殺し、その力を奪う。

 どんなに体を鍛え、心を清め、人間を超越した存在になろうとも、俺の目指す頂はさらにその向こう側にある。一生かけてその高みを追い続けるのなら、俺の進化についていくことのできる者は、この世界に存在しない。

「やっぱりきみは面白いなぁ。それじゃあ、きみは生徒会を完全に・・・敵に回すことになるよ。それでもいいのかな?」

「人間は自らの力で制御できないものは破壊してしまおうとする。確かに、誰も俺の手綱を握ることはできない。だが、それで俺を破壊しようとすることは、まだ君達が世界を理解できていない、ということだ」

 脅し文句に対し、意味深な発言を返す。

 とうとう白竜が腹を抱えて笑い出した。

「その通り! 世界を理解する、なんてできっこないよ! でも、本当に大丈夫かな? ガブリエル君はほんの序の口だ。エイダン君やアリア君、ルーナ君、そしてボク! この学園でも指折りの生徒と戦うことになるんだよ?」

「なに、俺はそもそもエイダンという生徒を知らない。仮に生徒会が束になって戦いを申し込んでこようと、俺はそれを圧倒的な力で叩き潰すだけだ」

 黄金色の瞳が発光する。

 その光はアリアの魔眼から放たれる光と交じり合い、かつてない黄金ゴールドの光彩を作り出す。ファンタジックな空間が二人を魅了した。

「オスカーさん、貴方様は、一体……」

 うっとりとした表情のまま、アリアが問いかける。彼女と俺の放つ輝きが生み出したハーモニーは、この世界にずっと残り続けるだろう。

 だが――。

「――ッ!」「――ッ」

 この瞬間、白竜が身構え、アリアが瞠目した。

 世界がうめき声を上げている。
 想像を絶するほどの魔力の波がゼルトル王国全土に広がり、国民の恐怖を引き起こす。ここにいる俺達だけではない。どんなに魔力感知に疎い者でも、これだけの魔力エネルギーを無視することはできないだろう。

「魔王だ」

 俺は動かなかった。

 ふたりに背を向けたまま、仁王立ちの姿勢を維持し、ただ一言、はっきりと断言する。そのまま眉に手を添え、軽く微笑んだ。

「遂に来たか。待ちわびたぞ、魔王よ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...