上司と部下の溺愛事情。

桐嶋いろは

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第一章

体だけの関係に不安になる私(宇月琴音)

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飛び起きてすぐに、「きゃー」という声を出して布団で体を隠し、恐る恐る隣で眠る男の顔を確認しようとすると、
体がピクッと動き、長いまつげに、キリッとした目がゆっくり開いた。
少し寝癖がついているがこの黒髪はまさしく。

「課長!!!!!!!!なんで?どうして?」私は、裏声に近い声で、動揺してすぐに布団に顔を埋めた。

「やっと、起きたか・・・昨日の俺たちのこと忘れちゃったの?」
課長は、ニヤニヤしながら私の耳元で囁いた。

思わず私は顔が真っ赤になり、身体中から変な汗が吹き出した。

課長は、昨日の出来事を事細かに話した。
私が泥水をしたこと彼氏に浮気されて別れたことなどを課長は全部知っていて、私が話した記憶は一切なかった。
もう、お酒に飲まれるのはやめようと後悔した瞬間だった。

それでいて、飲んだお金も課長に負担してもらっているという罪悪感が二倍に膨れ上がっていた。

「本当に、すみません・・・・」
私は、布団から出てベッドに頭をつけて土下座した。

「気にしないで、むしろ宇月が無事でよかったよ。それにそんな格好でそんな体勢したら俺襲うよ。
俺、驚いたよ。大人しそうな割りには、結構下着エロいの着てるんだね。」

私は、よりにもよって普段ローテーションをしている下着の中でも、祥が選んで購入してきた黒の少し際どいブラに、紐パンのパンツで一番派手で普段自分が選んで買わないようなものを身につけていた。
課長は、にっこり笑いながら琴音にバスローブをかけた。

「シャワー浴びて落ち着いて来なよ。」

言われるがまま、シャワーを浴びたが、これが落ち着いていられるだろうか。

大声で叫びたいぐらいに恥ずかしい。

しかも、彼氏と別れたその日に、二人っきりでラブホテルにいるだなんて。
このシャワーと一緒に嫌なことも洗い流されればいいのに。

シャワーを浴び終え髪を乾かし終えると、課長は仕事の電話をしていた。
音を立てないようにこっそりとベッドに腰をかけた。
電話が終わった課長が、少しだけ距離を置いて隣に座った。

「驚かせてごめんね。」
私はブンブンと頭を振った。
「私の方こそすみません。飲み慣れてないのにハイペースでお酒のんだ自分がいけないんです。」

「そんなに彼氏のこと好きだった?」
課長がまっすぐな目で私を見つめて、思わず目を逸らす。

「もう好きじゃないです。二度と会いたくない・・・でも、もう自信がないんです・・・恋に関しても仕事に関しても・・・・」

昨日の出来事が映画のようにフラッシュバックする。

彼氏が知らない女子高生とセックス。
取引先の怒った顔、上司たちの怒鳴り声。
私は、思わず体育座りをして顔を埋めた。

昨日きたばかりの上司がこんな頼りなく情けない部下を見て幻滅するだろうか。
ましてや場所はラブホテル。
私の第一印象は最悪以外ない。

すると、私の体を課長が優しく包み込んだ。
なぜだろう、安心する。嫌なことも全て忘れられそうだ。
引き締まって鍛えられた体から、心臓の鼓動が聞こえた。
徐々に抱きしめる力が強くなる・・・

目と目があって唇が重なりそうになる。

「嫌なら抵抗して・・・抵抗しないなら続けるよ・・・・」
甘い声で、課長は囁いた。


二人の時間を邪魔するように、チェックアウトまでラスト10分の電話が鳴り響く。

それと同時に、課長は私の上に覆いかぶさり唇を重ねた。

「もう俺、無理・・・かわいすぎ・・・」

「そんな・・・いきなり・・・・だって課長のこと何も知らないし。」

「今から知ってよ・・・俺が全部嫌なこと忘れさせてあげるから・・・」

引き続き電話が鳴り響く。

「どうする?」と優しく低い声でささやかれると体がゾクゾクとする。
唇から首筋に甘い音を立てながらキスを繰り返す。

「嫌ならそう言って・・・」

もう拒否権などなかった。課長は、鳴り響く電話口の相手に、『延長希望』を告げると静寂に包まれた部屋に二人の心臓の鼓動が響き合う。

優しく身体中に触れていく指先と、まるで私の体を知り尽くしているかのように感じるところをピンポイントに舐め回していき、思わず声が漏れそうになる。

「声、我慢しなくていいよ・・・聞かせて・・・・」

ブラのホックを外し、胸があらわになる。
膨らみを優しく撫でていき、乳首に優しく触れていく。

強くて痛くて胸を触られるのが嫌だったのに、どうしてこんなに気持ちいいのだろう。

「まあ、こんないやらしい体してれば、すぐに挿れたくなる元カレの気持ちもわかるけどね・・・でも、こんな表情みたことないなんて、バカな男だな。」

胸をいじめると、次第に下へ下へと手が触れていく。
もうその頃にはパンツがびしょびしょになっていた。
入り口に優しく触れて、次第に指を出し入れしていく。

「マグロなんかじゃないじゃん・・・」

同時に、胸に吸い付きながら、局部を愛撫する。
この上ない快楽に今までに出したことのないような甘い声が響く。

「かわいい声・・・胸舐められながらココ触られるのが好きなんだ・・・」
課長は、慣れた手つきで紐をほどいてのパンツを脱がせると、汁の溢れ出た割れ目をいやらしい音を立てながら舐めていく。

「やめて・・・こんなの恥ずかしい・・・こんなの知らない。」
抵抗をして足を閉じるが課長は、私の手を振りほどき舐め続ける。

「課長・・・もうだめ・・・それ以上したら・・・私、おかしくなっちゃう・・・・あ・・」

「いいよ。おかしくなって。」


ピクッと体が動いた瞬間に、ドクドクと脈を打つ。
生まれて初めての感覚に、頭がぼーっとする。

「イっちゃったね。」

課長が、満足げに言った。
私は、恥ずかしさのあまり顔を隠した。

「どうして隠すの?もっと見せて・・・・てか、俺ももう限界だわ。かわいすぎて無理・・・・挿れてもいい?」

私は、頷いた。

課長のモノをどんどん迎え入れる。
敏感になっているせいか、いつもの感覚と全然違う。

「きつっ・・・やばい・・・超、気持ちい・・・・動かすよ」

お互いのモノが擦れ合い、ベッドの軋む音と、私の喘ぐ声が部屋中に響く。
お互いに体が汗ばんで、もう何もかも忘れるぐらいに夢中になった。

「課長・・・私、もうダメ・・・」

「一緒にイこう・・・・・」

心臓とから全身がビリビリと脈を打つ。
お互いに乱れた呼吸を整えて長くて甘いキスをした。

「ごめん・・・ちょっと激しくしちゃって・・・大丈夫?」
私は、朦朧とした意識の中、「大丈夫です。」と答えた。

「じゃあ、もう一回しようか?」
「え????」
「だって、今日休みじゃん?時間はまだあるし、ねっ」



課長に流されるまま第二ラウンドが終了した。

大袈裟かもしれないが私は、生まれて初めて女としての喜びを知ったのだと思う。
こんな風に自分が乱れて、体全身で快楽を得て、余計なことを考えられなくなった。
この男の腕の中に一生一緒にいたいとさえ思った。

再度、延長時間の終了の電話が鳴る。

「ごめん・・・もうちょっと延長したいけど会社から呼ばれちゃって」
課長はいたずらな笑みを浮かべた。

身支度を整えていると、急に寂しさが襲う。
このままここを出たら課長は今日のことなかったことにしそうだな。
課長はきっとこういう一晩だけの付き合いに慣れていて、こういう相手は私だけではないんだろうな・・・と心の中で考えていた。


「暗い顔してどうしたの?体辛い?」
課長は、私の顔を覗き込むようにして見つめた。

「大丈夫です。」

それから、二人は言葉を交わさずにホテルを後にした。
外を出ると、暑い夏の日差しが突き刺さる。


「課長、本当にご迷惑おかけしてすみませんでした。」
私は頭を下げた。

「ううん。こちらこそごめん。いきなりこんなことしちゃって・・・」

まだ、一緒にいたい気持ちが高鳴るのに課長の電話がなり、急いで会社へ向かっていった。

私たちが体を重ねたことが会社中に知れ渡ったらどうしようなどと考えながらも、「好き」だと一度も言われていないことが引っかかる。
罪悪感で胸が苦しくなる。
これを「体だけの関係」というのだろうか。
しかし、今まで感じたことのない絶頂と快楽を思い出し胸がドキドキする。

あの感覚を今度はいつ味わえるのだろう。

自宅に戻ると、家の前で祥が待っていて謝ってくれるのではないかと期待していた。

もし、今謝ってくれたなら自分も悪いことをしたのだから、許してあげようと思っていた。

でも、家の前には誰もいないし、家の中にも当然誰もいないし、メールも電話もない。
こんなにもあっけなく、きっぱりと関係が終わってしまったことが逆に寂しい。
漫画や小説の世界なら、もう少しダラダラとしている気がするのに。

やはり、自分は愛されていなかったのだろうか・・・

まだシーツを新調していない硬いベッドの上に寝そべった。
毎日、嫌々ながら天井を見て行為が終わるのを待っていた。

でも、今日の課長との行為は天井を見ている余裕なんてなかった。終始頭の中が真っ白だった。
思い出しただけで、ジュワッと割れ目から汁が溢れ出す。

もう一度抱いてほしい。もう一度愛してほしい。
あの手に触れて、あの鍛えられた体に包まれたい。思い切り壊してほしい・・・・

「ピンポーン」というチャイムとともに、ふと我に帰り自分の胸を触っていたことに気がついて恥ずかしくなった。すぐに身支度を整えてドアの方に向かう。
注文していたシーツを宅配業者が届けに来たのだ。

今までは、全部祥の好みに合わせてきたけれど、初めて自分で使いたいものを選んだ。
もう、祥のこともあの日の女のことも思い出さないように・・・



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