上司と部下の溺愛事情。

桐嶋いろは

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第一章

代償(峯岸雅)

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ーーー東京都内のクラブにて

私は今とてもイライラしている。今ふかしているタバコは何本目だろうか・・・
お酒にも酔うことができなくなってきた。
酔って嫌なことを忘れられればいいのに。
この飲み代を支払うお金が本当はそれぞれの家族のために使われるべきお金であって、私の体内の中に消えていくものではないのだと心の奥で罪悪感を抱いている。
そんな風に考えながら飲む酒は、美味しくもない。

自分を煌びやかに飾ってくれるブランド物のバッグも、アクセサリーも本当は私へのプレゼントではなく、自分の子供たちに何かを買ってあげればいいのにと思いながらも
美容にブランド物に、SNSへの見栄に散財していく私に「都合よく利用できる男」の存在は絶対だった。

私は今日も無理している。今の毎日が身の丈にあっていないことぐらいわかってる。
こんな風に、自分の体と心を引き換えに自分の欲しいものを手に入れている。

それなのに、本当に欲しいものはいくら手を伸ばしても届かない。
あの人の視線・体・心・・・・



「てか、なんであの二人別れないわけ?あんた使え無さすぎ」
私は、自分の身長よりも高く体格のいい男を罵倒する。


「まあまあ」とその場をなだめるのは、顔はまあまあ良くて、黒髪をホストがやっているようなエム字バングにして耳には複数のピアスと、髭を生やしている少し痩せ型の恭太(きょうた)
彼は、元週刊誌のカメラマンをしていて現在はフリーで写真家をしている。
元彼であり現在はただのセフレ。エッチは普通。

「でも、まあここまで脱がせたなら俺は強引にでもやっちゃうけどね~~~」と気持ちの悪いことを言い出すので私は恭太の足を15センチのヒールで踏みつける。
痛がっているのを横目に、申し訳なさそうな顔をする男を睨みつける。


彼は、司と言って恭太の大学時代の友人の一人であり、あろうことか宇月琴音の先輩にあたるという。
なんて好都合な男を見つけてきたのだろう。
久しぶりに恭太を使える男だと思った。

「でも、まあいいわ。面白い写真が撮れたし」
二人には、袋に入ったお金を手渡す。

所詮、この二人の男はお金に目をくらませて私に協力をしたのだ。
司という男が琴音を裏切るには意外だったが、彼は相当お金に困っていたらしい。
子供の頃離婚した母親が、父親の貯金を全部持ち出して男と駆け落ち。
それでもと男手ひとつで息子を育てて水泳の才能があったために水泳選手になることを大いに期待した父親は水泳の強豪校へ行かせるが結局怪我で選手生命を閉ざされる。

残ったのは借金だけ・・・

現在は、実の父親が病気で、スイミングスクールも経営難。
私だったら関わりたくない。一生苦労しそう。
課長を捨ててその男とくっついたらよかったのにと思う。

でもこの男、顔と体はいいんだよね。一回くらいやっておけばよかったかな?
なんて頭の中で考える。


この二人にお金を渡したあと、私はタクシーで『パパ』の元へ向かう。
実の父親ではない。私にお金とプレゼントと美味しいご飯を提供してくれる男。

いつから私は、こんなにも空っぽになってしまったのだろう。
こんな生活を続けながらも、私はただ一人の男のことを思っている・・・・

だから、あの男に抱かれて、愛されるあの女が憎い。
もう私は、嫌われていることは分かっている。
課長が私に振り向かないのくらい分かっている。

でも、あの二人が幸せになることだけは絶対に許されない・・・・


だから、私は邪魔をする。
そう決めたの・・・・・





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