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第一章
淡い期待(新谷司)
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ずっと片思いをしてきた女を抱いたのに罪悪感で押しつぶされるものだろうか・・・
「あの女に隠れてお酒の中に睡眠薬を流し込み、眠りについたらをホテルへ連れこんで証拠の写真を撮ったら50万円。」
「は?そんなの犯罪だろ」
「お金欲しいんだよね?じゃないとまたコワ~~い取立ての人来てボコボコにされちゃうよ?
水泳のコーチが体に痣をたくさん作ってたら子供達怖がるよ~~~?それにうまくやればあの女と付き合えるんじゃない?」
お金のためだけに、大好きなあの子を傷つけた。
本当は、琴音と「普通」の恋人になりたかった。
でも、お互いの親同士が愛し合っていた過去を知った上で「普通」の恋愛感情なんて抱けない。
本当は、泣き顔も怖がる顔も見たくなかった。
優しく抱きしめて、キスをして愛の言葉を囁き合って大切に大切に・・・
宝物みたいに抱きたかった。
手にした50万円で明日生きることができる。
でもその代償に俺は許されないことをした。
琴音には何も罪がないのに・・・
でも「金」のためだと思って割り切るしかないのだ。
ごめんね・・・琴音・・・
数ヶ月後ーーーーー
父親は手術をしてどうにか生き延びている。
俺自身も、スイミングスクール以外にバイトを掛け持ちしてなんとか借金を返している。
琴音を傷つけたあの日から、峯岸雅と一切関わることをやめた。
そんなある日俺は、ショッピングモールで琴音の母親に会った。
赤ちゃん服売り場で、楽しそうに服を見ていたため思わず話しかけてしまった。
「こんにちは。誰か赤ちゃん産まれるんですか?あ・・・もしかして4人目ですか?」
あの日俺や母親が、逢瀬を目撃していたことを彼女は知らないのでいつも何事もなかったかのようにお互いに話をするし、俺自身も、可愛がっている後輩のお母さんとして慣れ慣れしく話をする。
「もうそんなわけないでしょ。私が幾つだと思ってるの?違うの・・・うん・・・まあ結局知ることになると思うから・・・・あ・・・まだ周りの人にはあまり言わないでね。琴音なの・・・」
俺は思わず時が止まった。
「もう始めに聞いた時はびっくりしちゃったよ。それに相手の人と籍入れずに一人で育てるとか言い出すし・・・
でも、私はすごく嬉しかったんだよね。孫ができるんだって・・・」
琴音の母親は、愛おしそうに新生児用の服を手に取る。
「そうなんですか?おめでとうございます。若いおばあちゃんっすね。予定日はいつなんですか?」
「今年の8月頃だって・・・若いって嬉しいこと言ってくれすじゃない。それより私はてっきり司くんと琴音がくっつくと思ってたのにね。」
そう言いながら、高笑いをする。俺も愛想笑いで返す。
俺と琴音がくっついたことを知ったら俺の母親がどう思うかもこの女は知らないと思うと腹立たしい。
「お父さんは大丈夫?」
心配そうな眼差しで俺を見る。
「ええ、この前の手術でなんとかまた生き延びそうです。」
「そっか・・・・」
昔愛した男が、癌で余命宣告まで受けているとあればそんな顔をするのも無理はない。
でも、そんな顔をされても罪滅ぼしになどならないよ。
それから俺たちは、世間話をして各々の買い物に戻った。
自宅へ帰りふと冷静になった俺は、琴音が「一人で育てる」という言葉に違和感を覚えた。
うまくはいってないといっていたがあんなに仕事のできそうなイケメンの彼氏が責任を持たないことなどあるのだろうか。
それとも、あの男とは終わっていたのか?
あの男には家庭があったのだろうか?
俺は、単純に嬉しかった。
もしかしたら、俺が父親になれるかもしれない・・・
そんなお金もないのにね。
「あの女に隠れてお酒の中に睡眠薬を流し込み、眠りについたらをホテルへ連れこんで証拠の写真を撮ったら50万円。」
「は?そんなの犯罪だろ」
「お金欲しいんだよね?じゃないとまたコワ~~い取立ての人来てボコボコにされちゃうよ?
水泳のコーチが体に痣をたくさん作ってたら子供達怖がるよ~~~?それにうまくやればあの女と付き合えるんじゃない?」
お金のためだけに、大好きなあの子を傷つけた。
本当は、琴音と「普通」の恋人になりたかった。
でも、お互いの親同士が愛し合っていた過去を知った上で「普通」の恋愛感情なんて抱けない。
本当は、泣き顔も怖がる顔も見たくなかった。
優しく抱きしめて、キスをして愛の言葉を囁き合って大切に大切に・・・
宝物みたいに抱きたかった。
手にした50万円で明日生きることができる。
でもその代償に俺は許されないことをした。
琴音には何も罪がないのに・・・
でも「金」のためだと思って割り切るしかないのだ。
ごめんね・・・琴音・・・
数ヶ月後ーーーーー
父親は手術をしてどうにか生き延びている。
俺自身も、スイミングスクール以外にバイトを掛け持ちしてなんとか借金を返している。
琴音を傷つけたあの日から、峯岸雅と一切関わることをやめた。
そんなある日俺は、ショッピングモールで琴音の母親に会った。
赤ちゃん服売り場で、楽しそうに服を見ていたため思わず話しかけてしまった。
「こんにちは。誰か赤ちゃん産まれるんですか?あ・・・もしかして4人目ですか?」
あの日俺や母親が、逢瀬を目撃していたことを彼女は知らないのでいつも何事もなかったかのようにお互いに話をするし、俺自身も、可愛がっている後輩のお母さんとして慣れ慣れしく話をする。
「もうそんなわけないでしょ。私が幾つだと思ってるの?違うの・・・うん・・・まあ結局知ることになると思うから・・・・あ・・・まだ周りの人にはあまり言わないでね。琴音なの・・・」
俺は思わず時が止まった。
「もう始めに聞いた時はびっくりしちゃったよ。それに相手の人と籍入れずに一人で育てるとか言い出すし・・・
でも、私はすごく嬉しかったんだよね。孫ができるんだって・・・」
琴音の母親は、愛おしそうに新生児用の服を手に取る。
「そうなんですか?おめでとうございます。若いおばあちゃんっすね。予定日はいつなんですか?」
「今年の8月頃だって・・・若いって嬉しいこと言ってくれすじゃない。それより私はてっきり司くんと琴音がくっつくと思ってたのにね。」
そう言いながら、高笑いをする。俺も愛想笑いで返す。
俺と琴音がくっついたことを知ったら俺の母親がどう思うかもこの女は知らないと思うと腹立たしい。
「お父さんは大丈夫?」
心配そうな眼差しで俺を見る。
「ええ、この前の手術でなんとかまた生き延びそうです。」
「そっか・・・・」
昔愛した男が、癌で余命宣告まで受けているとあればそんな顔をするのも無理はない。
でも、そんな顔をされても罪滅ぼしになどならないよ。
それから俺たちは、世間話をして各々の買い物に戻った。
自宅へ帰りふと冷静になった俺は、琴音が「一人で育てる」という言葉に違和感を覚えた。
うまくはいってないといっていたがあんなに仕事のできそうなイケメンの彼氏が責任を持たないことなどあるのだろうか。
それとも、あの男とは終わっていたのか?
あの男には家庭があったのだろうか?
俺は、単純に嬉しかった。
もしかしたら、俺が父親になれるかもしれない・・・
そんなお金もないのにね。
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