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一章 人間の領土~首都コルトランド~

二話 国の背景と強い野望

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「ところで、次は何を狩に行かれるのですか?」
「え…?考えてないですけど?」
「そうですか…えぇと…」
 なんだ、何か意図がありそうな間だな。そもそも、聞きたい事はもうないし、お金ももらったし、もういいんだけど。こう、引き留められている感じというか…まさか強すぎる国民を暗殺…とか考えてないだろうな?いや、違うな。強すぎる奴は戦争に駆り出す方がいいのか。う~ん…困ったな。どうにかして出て行かないといけない。
 正直、別に貴族に返り咲きたいか?と言われればそうでもないし、手柄を上げたいか?と言われればそうでもない。ただ、実況をしていたいだけだし。ついでに、この体の元の魂の願った事を実現できるように頑張ってみてもいいけど。何で戦争が起きているのかが分からない限りはどうにもでき無さそうだ。
「なんで戦争が起きているんですか?」
「それは知らないのです、魔族の侵攻が起きたのか、はたまた何なのか。」
「魔族…ですか」
 魔族というのがこの世界に居るのか?という事は、魔王も居るのか。魔王は定番として人間を滅ぼす、みたいな悪役をすることが非常に多いけど、この世界においてはどうなのだろう。ギルドマスターは何も知らないそうだ。何やら受付嬢とギルドマスターはひそひそ話をしているし。ていうか、いつの間に来たんだよ?猫みたいな人だな。
 すると、階段ががたがたと音を立てる。なんだ?!何か地面がミシミシと音を立てているような感じにも聞こえるけど…?うわぁ…遅かったかな。失敗した気がする、選択肢ぐらい出してくれよ。まぁ、前の人生でも選択肢は欲しかったけど、そうすれば失敗することは無かったのに。
「噂の冒険者はここか!」
 物々しい雰囲気を感じるな。重装備した兵士が1…2……6人?一人に対して集めすぎじゃない?これは、逃げるのは難しいか。でも、待てよ?いい報告が聞ける可能性もあるよな。その可能性を忘れていた!ポジティブシンキングだ、深呼吸して…いざ、内容を話してみろ!兵士共!
「王命により、貴殿を王宮に連れてくるように、との事だ!」
「有無を言わさずですか?」
「そうだ、返事は”はい”しか聞かない」
 強情な奴だな、逆らわない方が面倒が少なくて良さそうだけど、どうすればいいかね。正直、地図とかも見てないから、逃げようにも逃げる事も出来ないし。一生追われそうでそれはそれで嫌だな。有無を言わさずでしょ?強情な王に決まってるじゃん。まぁ…行くしかないか。
「分かりましたよ、行きますね」
「よろしい、では着いて来るように」
 席を立ち、最後にマスターを睨む。マスターは汗をハンカチで拭って、視線をすぐにそらしていた。これだけは言わせてほしい、流石にお前の所為だぞ?何も言わないでいいのに。あ、でも素材が流れたら嫌でも誰が討伐したか分かるのか…はぁ、うまく行かないな。本当に困ったよ。
 しばらく民からの熱烈な視線を浴び続けた。それもそうだろうな、だってこれ、犯罪者みたいじゃん。一応、元貴族の息子なんですけど?扱い雑すぎやしませんか?あ、家を追い出された時点で効力はないのか。しばらく歩いていくと、城壁の中なのに、更に城壁を発見する。頑丈だね、この城は。中はかなり広くて、赤いじゅうたんが敷かれていて、凝った造りをしている。廊下に人が住めそうだ、なんて考えていたら、気づいたら王の御前に投げ出されていた。
 一応敬意を見せておかないと。せっかく第二の実況人生を歩みだせたのに、すぐに死んでしまっては意味がない。聞きかじった程度の知識で王の前に跪く。王は”くるしゅうない”と言っていた。何を偉そうに、王冠被っただけの人間のくせして、何なら俺も人間だぞ?同じだろ!
「表を上げ、余はコルトランド王国二代目国王のコルトランド二世だ、そちの名は?
「小田健一です」
「そなたがギルドで強き魔物を討伐した者か?」
「ええ、一応そうなっておりますね」
「そうか、よろしい」
「はい」
「そなたはどこの出だ?」
「所属は無いです」
「国に所属するか?」
「ちょっと考えさせてもらってもいいですかね?」
 王がぽかんとしている。いやいや、戦争に出たくて誰が働くと?戦争なんて王が矢面に立てばいい。国民の命を何だと思ってるんだ?無駄にするんじゃないぞ?戦争やりたいなら、他所でやってくれや。いや、まだ魔王が悪いという線を捨てきれていないな。魔王が侵攻してくるとか、人間を嬲り殺しているとか、あるかもしれない。
「質問してもよろしいですか?」
「なんだ?申せ」
「魔王との戦争の火種となった物は何でしょう?」
「火種?そんなのは山ほどあるぞ?」
 ほう…?山ほど…ね?一方的な話じゃなくて、両方の視点から話を聞かせてくれよ?俺はもう、ミスをしたくはないんだ。
「では一つ目から言おうか、一つ目は人間の方が高潔な存在という所だな?」
「……はい?」
 なるほどね、コルトランド二代目国王…お前が戦犯…と。
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