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一章 人間の領土~首都コルトランド~

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 オーキチ選手の煽りの言葉を理解しているのでしょうか、大蛇は地団太を踏んで悔しがっているようにも見えます、足はないはずなのに!大蛇は怒り狂って考えることが出来なくなった頭で手あたり次第周りを攻撃しております!これは、ラッキーともアンラッキーとも取れますね。問題なのはここからです、相手からすればラッキーパンチを繰り出せるかどうか、オーキチ選手からすればラッキーパンチを如何に躱して一太刀を入れるか、にかかっております。
 オーキチ選手はのらりくらりと躱していく!相手からは蜃気楼のように見えているかもしれない、オーキチという命の灯を消してくる死神が相手ではどうすることも出来ない!大蛇は後ろに後ろに下がりながら攻撃をしているが、オーキチ選手には当たらない!戦いは終盤戦、大蛇が一瞬疲れて攻撃を止めた瞬間!オーキチ選手が攻め込みました!来た来た、大斬撃!首を刎ね飛ばして試合は終了となりました。
「ふぅ…。」
 予想以上に自分を実況しながらって疲れるな。状況を的確に判断できるようにはなっているけど、スタジアムの上から見ているのとは訳が違う。実際に、自分が体験しつつ、自分の次の動きを確定して戦わなければならない。難しいけど、面白い!これこそ、俺の求めていた物なのかもしれない?まぁ、明確な答えではないけど。
 大蛇の死骸を解体してそのままバッグに入れる。これ、ギルドで広げたらまずいだろうか。見るからに木造の造りをしていたから…壊れてしまうのではないだろうか。いや、不思議な木とかもあるしきっとかなり鍛えられた木なのだろう。そう…思っておこう。帰り支度を済ませて、その場を後にした。
「これ、査定をお願いしてもいいですか?」
 受付嬢は不思議な顔をしている。俺の顔に何かついているだろうか?あ、血の匂いとかついてしまったかな?自分の服の匂いを嗅いでみるが、別に特段臭いとかはない…と思う。自分で匂いを嗅いでも分からないんだよな…。まぁ、いいや。机の上にバッグから素材を出す。受付嬢は口をパクパクさせている。そんなに弱い魔物だっただろうか、それなら申し訳ないな。
「ちょっと…お待ちいただいてもよろしいですか?」
「え…良いですけど?」
「確認してまいります」
「……?」
 なんだ?そんなに変なものだったか?あ、買った事を疑われているとか?鮮度の判定とかしてくれれば多分大丈夫だと思うんだけど…?売ってる物も鮮度がいいのかな?市場に言ってないから分からないのだが。何やらギルド全体が騒がしくなってくる。なんだ?何が起きているんだ?
 目の前にひげを生やした、いかにも偉そうなおじさんが現れる。分かった!偽物だ、と言ってくるわけだな?何て言ったっけ…カスハラ?いや、売り物じゃないからそれじゃないか。これは…素材ハラスメント!なんて、な。
「ここではなんですから、こちらに来ていただけますか?」
 カウンターの左手にある扉から、中に案内される。階段を上ってもう一度扉をくぐると、何やら豪華な部屋にたどり着いた。うん?何やら様子がおかしいな。おじさんが何をそわそわして…まさか!告白か?!ごめんなさい…俺は女性が好きです。あなたの事を決して馬鹿にしているわけではないですよ?ただ、好みが女性が好きってだけで…。
「どうやってこの魔物達を倒したのですか?」
「え?どうやってって…普通に剣で倒しましたが?」
「ふむ…」
 え、何?倒したかどうかすら怪しいって事?なんだよ、そんなに弱く見えるか?まぁ…見えるか、別に特に体が大きいって訳でもない。見えてる目線的に、元の世界に居た時と同じぐらいだから170ちょっとぐらいの身長だろう。見た目的にも重装備している訳でもないし。
「今まで見てきた中で一番出世するかもしれない期待の新人です!」
「……え?」
「ギルドの在り方はご存じですか?」
「いえ、知りません」
 話によると、ギルドは戦争で兵として赴けない人が就く職業の一つなのだとか。お金の払いは確かにいいが、その分無茶をして死んでいく新人が多いらしい。でも、だ。その話を聞いたって、同情されるのは冒険者であるべきだ。問題なのはシステムが欠陥だらけなのがいけないだろう。魔物のランク付けをしたり、冒険者が生存しやすいように何とか考えたらどうなのだ。自分勝手な奴らだな。
「そうでした、あれらは三千万円で買い取りとなります」
「三千万円?!」
 通貨の単位が一緒なのにも驚くが、これらだけ三千万…?待てよ、この領地の物価がどの程度か、による。もし仮に、一泊が十万円とかするのであれば、話は変わってくる。簡単に稼げる金額になるだろうしなぁ。とりあえず、聞いてみればわかるか?
「この領地の一泊の平均的な値段はいくらでしょう?」
「平均は分かりませんが、一番高い宿は百万ぐらいで、一番低い宿は千円とかでしょうか」
 なんか…元居た世界と同じじゃないか?こんなに高低差あると、怖いな。千円の宿とかもはや宿と飛べるレベルじゃないのだろうな。かといって、三百万とか言われても、十泊程度しか出来ない。家無しにはかなりしんどいなぁ…。
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