探偵たちに歴史はない

探偵とホットケーキ

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第2章

前編

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その二日後に、水樹ら「探偵社アネモネ」の三人は、麻理香と汐海がルームシェアをしていたマンションの部屋の前に来た。モダンなデザインが目を引くマンション。外観は淡いグレーを基調に、コンクリート打ちっぱなしの壁がスタイリッシュな印象を与える。エントランスは広々としており、ガラス扉が光を受けて透明感を放っている。エントランス周辺には、秋の花々が色とりどりに咲いている。オレンジのマリーゴールド、紫のアスターが揃い、季節の彩りを添えている。これが、住人たちの忙しい日常の中に、癒しを提供しているのだろう。
事前に聞いていた話では、汐海が帰宅し、鍵を使って扉を開けたら――すでに部屋は何者かによって荒らされた後だったようである。
「麻理香ちゃんがいなくなってからは、ビジネスホテルに泊まっていて、帰ってません。怖くて」
と、泣きそうになっていた汐海から、鍵は借りている。
「理人、間取りについても良くメモを取ってください」
水樹は理人に声を投げる。先ずは玄関。靴箱に数足の女性物の靴が並び、傘立てには、青いビニール傘が一本だけ。そして、中は白を基調としたインテリアで統一されている。
水樹らが中に入ると、まずは正面の短い廊下があり、左側にトイレや洗面所に繋がる扉。右側には二つ部屋があるようだ。
「汐海さんから頂いた間取り図によると、手前の部屋がリビング、其処から繋がる形で、奥がダイニングです。全体的に色合いが白と黄で統一されていて、素敵なマンションですね」
水樹は理人の言葉に頷きながら、手前の部屋に入った。リビングには大きなソファがあり、その奥にダイニングキッチンがあるようだ。理人は水樹に続いて部屋に入り、「とても綺麗に片付けられていますね」と呟いた。
直後、リビングの中央でしゃがみ込むと、黄色いカーペットをめくり上げる。陽希も、隣から首を伸ばすようにしてそれを覗き、特に何もないことを確認した。
「リビングは荒れていないです。本当に、犯人たちは入って来て真っすぐ、麻理香さんを狙って襲ったらしい」
水樹は腕を組んで呟いた。続いて、理人が、陽希と二人で手前の部屋から順番に扉を開けていく。部屋の雰囲気や間取りは汐海から聞いた情報の通りだった。
「麻理香さんは、バイトもしていないし、御実家との関係性も良好。となると……やはり、大学内で問題が起きたとしか思えないですね」
水樹が腕組みして唸っていると、理人は整った眉を困ったようにハの字にし、
「と言うことは……」
「ええ、理人、およそお前の想像のとおりですよ。大学に、潜入捜査します」
「わーい、大学生活楽しそうー!」
もろ手を挙げて喜んでいるのは陽希だけだ。水樹と理人は額を押さえた。長丁場になりそうだ。
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