探偵たちに歴史はない

探偵とホットケーキ

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第2章

後編

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考古学の部屋に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、古びた木製の書棚に並ぶ数々の歴史的な書籍や資料だった。書棚の木は、何十年もの時を経て濃いアンバー色に変わり、その表面には無数の小さな傷跡が刻まれている。書棚の上には、埃をかぶった古代の土器や彫刻。過去の遺物が無言の語り手となっている。
部屋の中央には、長いオークのテーブル。そこには様々な発掘物が並べられている。テーブルの上には、古代のコインや壷の欠片、風化した石板などがあり、それぞれにラベルがつけられていて、その由来や発見場所が記されている。窓から差し込む柔らかな自然光が、これらの遺物に当たり、微かな陰影を作り出す。
部屋の奥には、ガラスケースに収められた貴重な遺物が展示されている。ケースの中には、保存状態の良い古代のジュエリーや彫刻があり、ガラス越しにその繊細な細工が見て取れる。ガラスは時折、部屋の中の光を反射し、まるでこれらの遺物が再び生命を帯びたかのように輝く。
部屋に漂うのは、古い紙と木の香り、そしてわずかにかび臭いにおい。この独特のにおいは、過去と現在が交錯する考古学の部屋ならではのものだろう。壁には、様々な発掘現場の写真や地図が貼られており、考古学の部屋に訪れる者にとって、ここが歴史の探求の場であることを物語っている。
「先生! 以前お話していた、他校の考古学部の皆さんを、お連れしました」
汐海が言うと、テーブルの向こう側にいた生徒らしき人たちの、更に奥にいた男性が振り返った。
「鷹見教授です」
「教授の鷹見隆道です。私の学部へようこそ」
水樹に手を伸ばしてきた隆道その人は、白髪が混じり始めた髪に、眼鏡をかけている。背が高く、風格があるように見えた。
「海老原水樹と申します」
水樹は人当たりの良さそうな笑みを作って、隆道が差し出してきた手を掴んだ。続いて、他の「探偵社アネモネ」のメンバーも手を伸ばす。
「橘理人です」
「光岡陽希でーす」
「ええ、三人とも、よろしくお願いします。私の学部の生徒達も紹介しよう」
と、達道は奥から生徒たちを呼び、一人一人を並べて、自己紹介をさせてくれた。名乗る際に一歩ずつ前に出てくれる彼らを、水樹は頭にメモするように、記憶した。
葉山優子。黒いショートカットで、知的な雰囲気。白のブラウスに黒のタイトスカート、黒のパンプス。シンプルなパールのネックレスをしている。
雨宮健吾。中肉中背で、ややくたびれたスーツを着用。無精髭を生やしている。
橘ひかる。明るい茶髪で、カジュアルなファッションが特徴。背が低く、元気いっぱいの雰囲気。明るいイエローのフーディに、ライトブルーのデニムショートパンツ。足元はカラフルなスニーカー。
「あとは、貴方達を紹介してくれた桜庭君です。うちの学部、楽しんでいってくださいね」
「よろしくお願いします」
隆道が締めた直後に、「探偵社アネモネ」のメンバーと、生徒たちの声が重なった。
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