強面な騎士様は異世界から来た少女にぞっこんです

島崎 桜

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47話 訓練

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某日。非戦闘部員の私も、非常時に何かあった際には最低限自分の身は自分で守らなければならないということで、柔道着に着替えさせられて半ば強制的に全体合同訓練に参加させられていた。武道場に集められたのはアイシャちゃんやララちゃんを含めた奥様軍団の皆様方。対して教官役はルイスさんにユリウスくん、そしてキールさん。これはハードな一日になりそうだ。

まずは準備運動がわりに十キロのランニング、
そして腹筋腕立てスクワットを計百回ずつ、これだけでみんなヘトヘトになっているのに、まだまだ本職の兵士の訓練に比べれば甘い方だよとユリウスくんは悪い顔で笑う。

そして最後は隊長格を相手にした組み手だ。もちろん叶うわけがない。赤子のように簡単に投げ飛ばされる他のみんなを見て、私は後退り……。

「最後に残ったのは君だ。どうする? もし僕に勝てたら五番隊隊長の席を譲ってあげるよ」
「辞退させていただきます」

ケラケラと高い笑い声をあげるユリウスくんに
私は土下座をしながらそう返した。後ろの壁際じゃ女の子がみんな疲れ果てて転がっている。いやいや、こんなの絶対勝てるわけないんですけど。

「不戦勝っていうのは気に食わないな。
ほら立って」
「嫌です~!」
「ユリウス、やめておけ。お前じゃ手加減できないだろ」
「あーあー、ルイスさんは女の子には甘いんだから、こういうものに性別は関係ないですからね」

ユリウスくんに腕を引っ張られて無理やり道場の中央に連れ込まれそうになったが、ルイスさんが助け舟を出してくれた。

「まいったなぁ、サトミちゃんの実力を測るのが訓練の目的なのに、ルイスさんなら手加減できるんですか?」
「俺か? まぁ……もちろん」
「私は嫌です」
「サトミちゃん、これは上司命令だよ。戦わないで逃げることは許されない」
「……分かりました」
「すまないな、できるだけ痛くないようにするから」

完全に乗り気ではない私だが、ルイスさん相手のほうがまだマシだろう。

「はじめ!」

私とルイスさんは互いに立ち礼をしたあと、ユリウスくんのかけ声とともに試合開始。情けなさそうに構える私に、ルイスさんはいきなり距離を詰め、渾身の右ストレートを放ってきた。私は体を逸らしてそれをかわす。その後も次々繰り返されるキックやパンチ。到底反撃できる隙なんて見当たらず、私は避けるだけで精一杯、これ、柔道じゃなくてただの喧嘩じゃん。

「どうしたサトミちゃん、避けるだけじゃルイス先輩に勝てないぞー」
「そんなこと、言われてもっ」

ユリウスくんが私をからかうようにそう言った。こんなの、私から攻撃をしかけたらカウンターを喰らって一撃KOに決まってる。それから1時間ほどか? いや、もっと経過しただろうか。小ネズミのように攻撃を避け、ちょろちょろと動き回る私に、息を切らしたルイスさんが大きくため息をついた。

「……もういい」
「ちょっと、まだ決着ついてないんですけど~」
「サトミの実力は分かっただろう。これ以上戦っても時間の無駄だ。俺の負けでいい」
「え?」

よく分からないが、終わったっぽい。私は力無く脱力すると、その場に膝をついてへたりこんだ。

「つ、疲れた……」
「お疲れさま」
「嬢ちゃん、格闘技かなにかやってたのか?」

ルイスさんから差し出された手をそっと取る。
すると、後ろで私とルイスさんの試合を見ていたキールさんがそう言った。

「いいえ、特には」
「そうか? それにしては見事だった。まるで喧嘩慣れしてるみたいな動きだったな」
「いえいえ、滅相もございません。あ、でもゲームでそういうシーンは何回か見たことあります」
「「「ゲーム?」」」

ルイスさんとユリウスくん、キールさんが同時にそう呟くと、三人揃って首を傾げた。そうだよな、この異世界テレビすらないんだもん。ヤ○ザが人を殴るゲームなんて言っても通じないよな。

「よくわかんないけど、まぁいいや。今日の訓練は終わりだから、寮に帰って休むといいよ」
「はい……そうさせていただきます」

私は三人に頭を下げ、道場から退出した。既に身体のあちこちが痛む、こりゃお風呂でよくマッサージしておかないと、明日の朝筋肉痛間違いなしだな……。
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