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46話 レーゾンデートル
しおりを挟む副団長室に呼び出された。ドキドキ、ドキドキ、この辺な緊張感は職員室に入る前のあれに似ている。レオさんと話すと責められてるみたいになるから苦手なんだよなぁ......。
「失礼します」
「どうぞ」
「ご用件はなんでしょうか?」
「この間の件はご苦労様でした。おかげで誘拐事件を未然に防ぐことができた。それと変質者の件も。あなたのおかげです」
「は、はぁ......ありがとうございます」
はぁ、と、レオさんは大きくため息をついて、メガネをかけなおした。褒められているはずなのに全然そんな気がしない。イケメンだけど目付きキツイから怖いんだよなぁ。
「単刀直入に申しあげます。今後一切騎士団の仕事に首を突っ込むのはやめていただきたい」
「え?」
「人にはそれぞれ役割というものがあります。露出狂を誘き出すためのおとりになるのはあなたの仕事ではない」
「......余計なお世話ってことですか」
「そこまでする必要はないと言っているのです。ルイスやヨハンにも二度とあなたを巻き込むことのないよう言い聞かせておきますので」
「そんな、私が好きでやったことなので、ルイス隊長たちは悪くないです。分かりました。もう騎士団の仕事に関わるのはやめます」
「それでいい。頼みます。もう行っていいですよ」
「......失礼しました」
会話の時間は五分ほど。案外あっさり終わって、私は廊下を歩いていた。あれじゃまるで私なんて必要ないって言われたみたいで、ちょっぴりブルー。私の心は曇天模様。
「サトミ。おはよう」
「おはようございます......」
いつもはルイスさんとすれ違うときは雑談を交わすのだが、今はそんな気分になれず、すっと通り過ぎようとしたら、彼に肩を叩かれた。
「なにかあったのか? 顔色がすぐれないみたいだが」
「副団長からもう騎士団の仕事には首を突っ込むなって。私頑張ったのに、迷惑でしたかね」
「そんなことない、サトミは十分役に立ってくれたよ。犯人を逮捕できたのはサトミのおかげだ」
「私は、いらない?」
「必要だ」
「でも……」
「あのさ、ネガティブな考えはやめよう?」
「え?」
「レオさんがどうだとか、周りの人間がどうだとか、そういう話じゃなくて。俺にとってサトミは特別で、必要なんだ。それじゃダメか?」
「……ありがとう、ございます」
百点満点の回答するじゃないですか。私は心の中ではいつも特別ななにかになりたいと願っていて。でも本当は私はその他大勢の一部で。要するに普通なのだ。異世界に来たところで私は勇者にはなれなかった。所詮私はいくらでも変わりがきく小さな歯車。
それでもたった一人の人間が私を必要だと言ってくれるなら。その言葉を胸に前を向いて歩いていきたいと思う。
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