負けヒロインがダンジョンに落ちてたので連れ帰ってみることにした

睡眠が足りない人

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逃亡姫は負けヒロイン

四話

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王都ピルア ルヴァン宅 アリエス視点
 

 「…うっ…………ここは?」

 私は先程までオーク達と戦っていたはずなのに。
何故、私はベッドで寝ているのでしょう?

「俺の家だよ。お前が迷宮でぶっ倒れてたから運んでやったんだ」

 まるで、私の心の声が聞こえているかのようなタイミングで、黄金色の髪の青年が私の顔を覗きこみそう答えました。
 
「…そうなんですか。貴方のお陰で助かりました。私の命を救ってくれたことを感謝します。謝礼を……今は渡す事ができないのでした」

 何か謝礼の物を用意しようといつもの調子で、メイドに話し掛けようとしましたが、そういえば私は王城から剣と鎧だけを持って出てきたので無一文です。謝礼の物など一つも持ち合わせておりません。どうしましょう?

 「そうなんですか、って。本当に原作どおり世間知らずお姫様だな。俺がお前に何かしたとか思わねぇのかよ?」

「はい?どういうことでしょう」

 はぁ、と大きく溜息を吐く青年。
 私は彼の言葉の意味がわからず首を傾げます。
 何かとは何でしょうか?分かりません。あれ、でも昔似たような体験をしたことが。あっ、これは帝国の第四皇子であるデップリンに誘拐された時に似ています。確かあの時、デップリンは私の純潔を奪おうとしてそこで私は必死で抵抗を……あっ!
そこで、私は彼が言っていることを理解しキッと睨みつけます
 
「あ、貴方!もしかして、私が気絶している隙に私の純潔を!」

 鎧が脱がされてます!ということは、あの人にも渡していない私の純潔を。この人は!さっきまで、私を助けてくれた命の恩人だと思ってたのに許せません。

「してねぇよ。ただ、男一人と同じ部屋にいてその辺り何も警戒してないお姫様に呆れただけだ。誰がオークの血で臭い女を抱くかよ」

「嘘です!『あぶのーまる』なのが好みな殿方もいることを私は知っているんですからね!」

  博識だった花音様が言ってました!臭い匂いで興奮する殿方もいると。賢者である花音様が言っていたんです。間違いありません。

「誰だよ。…姫様にアブノーマルなんてことを教えた奴。俺はそんな変態じゃないからな。普通に良い匂いが好みだ。今風呂の用意ができたから、そこで確認してみろ。俺は手を出してねぇから」

「嫌です!それじゃあ身を清めた後に貴方に奪われるかもしれないじゃないですか!?」

「何でそうなる!?」

「良い匂いが好みというのそういうことでしょう!」

「成程、確かに」

  納得と手を叩く青年。
 ですが、私はそんな演技に騙されません。
 私の身体は男受けすると、花音様が言っておられましたし、その証拠にあの人も私の胸のあたりをチラチラと見る事がありました。
 私の身体を狙っていないはずなんてないのです。

「じゃあ、分かった分かった。契約魔法を結ぼう。俺は今から姫様に害を及ぼさないって。そうしたら、信用してくれるだろ?」

「えっ、そこまでするのですか?」

「そこまでしないと姫様完全に信用しないだろ?」

「まぁ、そうですが」

 契約魔法とは契約を破った瞬間、相手に死にたいと思うほどの激痛を与える恐ろしい魔法。貴族同士がよく使う魔法ではありますが、それを荒くれ者の冒険者が知っているなんて彼は一体何者何でしょう?

「決まりだな。我、汝に害を及ぼす時神の裁きを与えられん。『契約コントラクト』」

 彼が魔法を唱えると私の脳裏に『ルヴァンが貴方に触れた時激痛を与える契約を結びますか?』という声が聞こえます。「はい」と私は答えると契約は成立し、彼は私の害となる事ができなくなりました。

「これでよし。じゃあ風呂入ってきてくれ。オークの匂いが姫様からして敵わねえ。部屋を出て真っ正面にある風呂で落としてこい。俺はその内にこのベッドを綺麗にする。ほら、どいたどいた」

「きゃっ!」

「あっ、ぎゃあーーーーーーーー!!痛い痛い!頭が割れる!」

 そう言って彼は、私を無理矢理立たせ部屋の外に出そうとしますが、そのせいで契約魔法が発動し彼は痛みで悲鳴を上げながら床を転がり回ります。

「ふふっ」

 私はその間抜けな姿を見て、この人は信用できる人だと思いながらお風呂へと向かいました。

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