ダンボール無双~実家を追放されたホームレスの俺が、ダンボールの妖精に導かれて鬼畜ゲーム世界で英雄やってるけど質問ある?~

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第2話 ホームレス、教会に救われる

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「どうしたんだい、少年? なにか苦しいのかい?」
 顔を見上げると、そこには法衣に包まれた優しそうな神父様がいた。ひげを生やした50代くらいのやせている黒髪の男の人。

「あのここはどこですか。なんか目が覚めたら、突然ここで……すげぇ、胃が痛いし」
「ここはヴォルフスブルク王国のベンル近くだよ」
「えっ、ヴォルフスブルク!?」
 その名前に聞き覚えがあった。俺が大好きなマジックオブアイアン5の国の名前だ。
 マジックオブアイアン5とは、仮想の異世界の大陸で自らが王となり世界と戦っていくシミュレーションゲームだ。内政・外交・戦争を堪能できる無骨な洋ゲー。難易度はかなり高くコンピュータ相手でも小国なら簡単に滅亡してしまう。国内外の有志が、modという改造データを作ることが許可されていて、シナリオや内部データを自由に改造できる拡張性が高いゲームで俺もドはまりしていた。
 
 そして、ヴォルフスブルク王国は……
 最弱のマゾ国家として、(ある意味)恐れられている。
 シナリオはいくつかあるんだが、特に年代が最も古いシナリオ1のヴォルフスブルク王国は絶望的としか言いようがない。
 
 君主の女王様は優秀だけど、兵力は少ないし、農業に使う土地は貧弱。おまけに周囲は大国に囲まれて、口実ができれば即開戦して併合される。シナリオ1のヴォルフスブルク王国で3年間生き残るだけでも、ゲームでは超上級者。仮に、大陸統一ができたら神といわれるほどの難易度。
 
 ちなみに、シナリオ2以降のヴォルフスブルク王国は最強国家に変貌しているんだけどね。
 
「神父様、日本っていう国は知っていますか?」
「にっぽん? すまない、わからないな」
「そうですか。俺、ちょっと記憶が混濁しているみたいで。山田邦和という名前と日本にいたことくらいしか覚えていなくて」
 ここで俺はうそをついた。下手なことを話して、敵国のスパイとか言われたらやばいからな。
 
「なんだと! クニカズ、それは災難だったね。もしかしたら。悪魔系の魔物の呪いや何かの魔術の影響かもしれないね。よかったら、ぼくが調べてあげよう。教会になら呪い払いのマジックアイテムがある」
 俺は、その言葉を聞いて飛び上がるように喜んだ。身寄りができるかもしれない。さすがに、この広い世界に一人だけ取り残されても困る。この優しそうな神父様なら頼りになるだろうし。
 
「でも、ご迷惑ではありませんか?」
「子供が何を遠慮しているんだい? そんな状況なら、今日帰る家もないだろう?」
「はい、そうなんです」
「仕事の手伝いをしてくれれば、ご飯くらいは出してあげるよ」
 やっぱり、神だ。この神父様は、本当に徳が高い。
「甘えさせてください。本当にありがとうございます」
 
 こうして、俺の異世界生活は始まった。

 ※
 
「どうだい、回復魔法は?」
 神父様の詠唱で俺の体は、温かいオーラに包まれた。ストレスで痛かった胃の不快感はほとんどなくなり、力がみなぎってくる。
 
「すごい、これが魔力かぁ」
 俺は感動していたが、神父様はがっかりしていた。
 
「すまないね、クニカズ。あんな大きなことを言ったのに、結局、君の記憶障害は直せなかったよ。これではベンル大主教の名前負けだね」
 
「えっ、神父様って大主教様なんですか!!」
 大主教様といえば、いくつもの教会を束ねる大物のはず。管区の責任者だ。
 
「そうだよ、でも、まさかここまで強い呪いとは……」
 大主教様、ごめんなさい。衣食住が欲しくてうそをついてました。懺悔したいです。
 
「そうだ、魔力を測ってみよう。特徴的な魔力ならば、君がだれかわかるかもしれない」
 ちょ、待てよ。
「あの大主教様、俺って魔力に自信がないんですけど」
「えっ」
「生まれてから一度も魔力を使ったことがないんですよ。使い方も記憶喪失のせいか忘れてしまって……」
「そんなばかな……この世界では、ひとは大なり小なり魔力を持って生まれてくる。大丈夫だ。魔力の使い方なんて、教わらなくてもわかるよ。このアイテムを強く握ればいい」
 そういって、俺をやさしく諭す。いや、そんなこと言われても……俺は中身は単なる31歳のしがないホームレス。
 
 まさか、いろいろとこじらせて30歳まで●●なら魔法使いになれるっていうあれか??
 そんなわけ、あるかぁ。
 
 俺は黒い箱を力強く握った。箱が青色に光り、周囲を照らしていく。
 なんだよ、これ。爆発とかしないよな。
 
「これは……まさか……」
 主教様が驚く。光は部屋全体に広がり、しまいには教会全体に達した。
 
「主教様、これ大丈夫ですよね。爆発とかしませんよね?」
「まさか、生きている間に、伝説と会えるとはな……」
「伝説、何を言っているんですかぁ、主教様!! 助けてください」
「ああ、すまなかった。つい、感動していたんだよ」
 そう言って、俺の手元からマジックアイテムを離すと光は収束する。なんだったんだよ、あれは……
 
「クニカズよ。この世界には、伝説があるのじゃ」
「伝説?」
「そうだ、伝説じゃ。救国の英雄が現れる予言でもある。
 
ヴォルフスブルクが窮地に陥った時、異界より神の使いが顕現する。その者は、巨大な青い魔力を持って、青き救国の英雄となるだろうという伝説じゃな」
 よくある話といえば話だ。ロールプレイングゲームや異世界ラノベとかでも見たことがある。
 
「まさか、俺が……」
「そうじゃ。おそらく、異界から移動する時のショックで何らかの記憶障害になってしまったのだろう。まさか、本当に青き英雄が顕現するとは……」
 ごめんなさい、記憶障害って嘘です。居場所が欲しくて、嘘をつきました。
 
「青き魔力は、速さと知性を象徴する。お主はきっと異界の知識も持っているのだろう。今日は早く寝て、明日たくさんのことを私に教えてくれ。今日が世界の分水嶺になる。クニカズ以前とクニカズ以降で歴史はまるで変わるのじゃ」
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