聖女の攻防

双葉

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十五話

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目的が決まれば迷いはない
毎日嫌だった生活も一変
聖女として頑張った
学園ではあの男に媚を売りながら過ごした
目的のための生活をして九ヶ月
ついに公爵領まわりが始まった
シスターや護衛は相変わらず話をしない
信心深いのか「常に神様はお側におりますので」と言う
この数ヶ月で学んだ事は、話すとボロが出る
シスターも護衛もボロが出ない様に話さないらしい
「いつ神様が聞かれるかわからないから」と
信仰心のない聖女を大切?にしている時点でどうかと思うけど
公爵領をまわっているとあの男が会いに来たりする
正直なところ迷惑以外ないのだが、無碍には出来ない
「頑張ってようだね」
「はい。悩んでいるとき、シルビア様にご相談をして目的を見つけましたから。私なりに努力をして、父と母とのんびりと暮らすと言う目的を」
「聖女は貴族よりも地位がある。のんびり暮らしたいのであれば、王族や貴族と結婚すれば叶うのではないか」
誰かの入れ知恵か馬鹿の考えか
「いいえ、人によって幸せは違います。私は偶に文句を言いながら私にとっての普通の暮らしをしたいのです。あの夢の人が神様なら、神様が元の生活に戻る事を保証してくださっていますから」
馬鹿は残念そうな顔をする
信仰心がない分神は使い勝手が良い
居るかいないかわからない神が家族の自由をくれる
「そうか、残念だよ」
馬鹿は諦めてくれた?
「たが全てが片付いた後、いつでも言ってほしい。魔王から救われたなら多少の事は誰も文句は言わないだろう」
「はい!」
家族の逃走資金の確約頂きました
まあ、あの女からも迷惑料貰えそうなら貰うけど
話す事すら面倒だったが、良い話しが出来た
全員が幸せを掴めるのだから文句は無いだろう
王族は妃を迎えて幸せ
馬鹿は結婚出来て幸せ
シルビアは結婚出来て幸せだし、公爵から王族に格が上がって幸せ
シルビア家族は家から未来の王妃を出せて幸せ
私はもとの生活に戻れて幸せ
、、、私だけ幸せを掴むか?当たり前の事では?と思わないわけではないが、ある幸せに気づかせてくれたと思う事にする
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