異世界でマッサージ師やってます!〜変態?とんでもない!診て(観て)撫でて(愛でて)治療してるだけですけど?

ことりちゃん

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19.5 愛しい彼女の名前

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(ヴィル視点)


目の前で繰り広げられている、この信じられない光景・・・


なんだ⁈
コジマの片手に収まるサイズの(魔道具ではないらしいが)アイテムには、彼女とよく似た雰囲気の黒目黒髪の青年が映っている。

これが、コジマが望んだもの・・・
離れた家族とこうして会話することもできるのか・・・すげぇな。


『*********』


たぶんこの青年はコジマの兄弟なのだろう。
たしか双子の弟がいると聞いたことがある・・・彼がそうなのか?


「*********」


2人が喋っている言葉はさっぱり分からん。

でも、あれだ。

この言葉、コジマが俺のケガを完全に治してくれた時にも呟いてたあれだろ?

コジマの国の言葉だったんだな・・・

コジマと弟くんは長い時間語りあって、時々涙を零したりしながら互いに喜びあっている。それぐらいは俺にもわかる。




ごめんな・・・コジマ。

2年前のあの日、泣き濡れたお前の素顔をみて、俺は何とかして元の世界に帰してやりたいと思ったんだ。
だから極力、俺からはお前に触れないようにしたし、可愛いお前の顔をあまり見ないようにも気をつけた。
だって、俺自身がお前に惚れ込んだら手放せなくなるだろ?


俺はこの2年、依頼であちこち行くたびにけっこう調べて回ってたんだよ。けど、結局お前をあちらに帰す方法なんて見つからなくてなぁ。

わかったことと言えば、前回聖女様がいらっしゃった時代にも偉い魔法使い達が色々研究したらしいってことくらい。でもって、手掛かりすら掴めなかったんだと。


まぁだからこそ、持ち主の望むものに姿を変えるっていう激レアアイテム『黒竜の逆鱗』が聖女様への最高の贈り物となったわけで・・・


そして結果的にまた、俺がかなり無茶して手に入れた『黒竜の逆鱗』は今代の聖女と言えるコジマの心の隙間も埋めることができたようだしな・・・



ごめんな・・・コジマ。


俺はお前を元の世界に帰してやりたかった。それは本当に本当。
けどな、そんな方法はないんだってわかったら、今度はどうしたらお前を手に入れられるかって・・・そんなことばかり考えるようになったんだよ。


お前は他のやつにはサル顔に見えてっからな、そう慌てることもないとは思ってたんだが・・・
コンラートに青の騎士様・・・さらには王弟殿下だって⁇?


手強い相手ばかりじゃねぇか。
コンラートは・・・けっこう前からコジマを狙ってたよな、知ってた。
あいつはエルフ混じりだからコジマの本質が見えてたんだろうよ。けど、あいつの場合は態度があれだもんなぁ・・・


まぁコンラートだろうが騎士様だろうが、もちろん王族だろうが、俺はもうこの手に抱いたコジマを手放す気なんかないけどな。



今こうしてお前をこの胸に抱き込んでいられること、ただお前がこの世界に居てくれること。


俺はその事実だけで、もうほんとどうしようもないんだよ・・・


コジマが身動ぎするたび、フワッと香るのはなんだろうな。
甘くて、でも花の香りとも違う・・・

コジマが弟くんと話し込んでいるのをいい事に、俺はコジマのつむじや髪にたくさん口づけた。それから肩や背中のラインを眺めたり、さっき抱き上げた時触れた生肌の感触を思い出したりしては唾をゴクリと飲み込んでいた。
 

やばい。

あそこが反応しちゃ困る。今、こんな大切な場面で背中から抱きこんだコジマの腰に勃起チンコを当てるわけにはいかねぇよな・・・


俺は心持ち腰をひいて、すでに勃ちかけてるアレがコジマの腰にコンタクトしないように体勢に気をつけた。


ふっ、俺の忍耐力を舐めてもらっちゃ困るぜ。
いつもコジマのマッサージを受けてる時だって、毎回完勃ちにならないようにひたすら耐えてきた俺だ。

こんな時のための強い味方もいるしな。


・・・・・・そう、ウラ婆だよ。


ああ、いいね。
ウラ婆の顔を思い浮かべては気分を萎えさせて、理性を保つのが俺のやり方だ。


ふー・・・


ようやくフニャっとしてきたとこで、何故かコジマが俺の方を振り返ったんだよ。


で、可愛い顔でじーっと、俺のことを見つめてると思ったら、


「ねぇヴィル?」


って、柔らかく微笑んで聞くから、

「どうした?」

って俺も答えたんだけどな。


そしたら、


「・・・好き、大好き」


って・・・・・・


コジマーーーーッッ‼︎‼︎




俺、一気に顔が熱くなって、絶対真っ赤になってんの自分でもわかるし。

もうガラにもなく恥ずかしくて、コジマの肩口に顔を埋めてしまった。


もうダメ。まじでダメ。
なんちゅー声で告白してくれてんだよ!!


せっかくウラ婆の顔思い浮かべて、苦労して鎮めてたの全部吹っ飛んで、一気にガチガチンコだよ・・・


こんないい場面で・・・


あーもう、いい。
俺はコジマの中ではどうせそんなイメージだろ?


チンコのことはもうしょうがない、諦めるさ。
けどな、この長い会話の中でコジマが弟くんと話し終わるまでずっと聞いてたけどな、ただの一度も呼ばれてないんだぜ・・・?


『コジマ』って。


で、代わりに弟くんが連呼してたのは・・・


「リ・・・コ?」


俺がそう呼んだら、コジマは息止めた?ってくらいビックリしてて・・・それから、見た事ないくらいきらっきらの笑顔でコクンって頷いたんだよ。


ああ、そっか・・・お前の名前は、


「リコ!」


可愛い響きじゃねぇの‼︎


そう思った瞬間、パリンって魔法が解ける音がした。









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