6 / 11
1章 慧→乃愛
5話 おはよう乃愛
しおりを挟む
今まで聞いたこともないような幼くも色っぽい可愛らしい声が聞こえた。
聞こえた瞬間に全員宇宙人のことなんて忘れて少女のほうへ振り返っていた。見事なシンクロだ。
少女は目を閉じたまま上体を起こし、両手を上にあげ伸びをしていた可愛い。
そして、ゆっくりと瞼が開いていく可愛い。
青っていうよりは若干緑も混じったような、「碧」って感じの目だ可愛い。
ぼーっとしていた少女は、自分を囲うようにジリジリと集まるクラスメートに気づき「わっ!」とびっくりした可愛い。
俺の語尾が「可愛い」になりそうなくらい可愛い。
「自分の名前、わかる?」
お姉さんキャラの彩葉ちゃんが少女に優しくたずねる。
少女はいかにも「なんでそんなこと聞くの?」 という表情で「中野 …慧」と答えた。
「慧、俺の名前分かるか?」
俺も尋ねてみる。
「カナタ…?」
実に不思議そうな顔だ。
どうやらあのアホ宇宙人のいう通り、この美少女は中野慧で、普通の記憶はあるようだ。
そして、慧はまだ自分が美少女に生まれ変わったことに気づいていない。
その時サーっと後ろから優しい風が吹き、慧の長い金髪が前に流れた。
慧は自身の艶やかな髪を手に取って静かに驚き、次々と自分の体の変化に驚いていく。
長い金髪、真っ白な肌、ムダ毛が一切ないスベスベの腕脚。
そして、膨らんだジャージの胸部に軽く触れ、性転換したと確信したようだ。
エロ漫画でありがちな股間を触って「ない!?」というイベントはなかった。
宇宙船に行ったことなどは全く覚えていないようだった。
驚きが少し落ち着いたところで、俺、彩葉ちゃん、その他みんなで状況を説明した。
慧は非常に落ち着いた性格だったので、パニックになることはなかったものの、どうすればよいか分からないようであった。
(もちろん、性の知識どうこうは伝えていない。面と向かってそんなこと言えるわけがない)
他人事のようだが、困っている顔も非常に可愛らしい。
あと、さっき「慧とは何もかも違う」とか言ったけど、仕草や表情の作り方は俺といる時の慧だ。
慧のままなんだけど、見た目が違う… 不思議な感覚だな。
まぁ慧が可愛いのは一旦置いておいて、現実的な話として今後のことだが…
近藤先生の話によると、アホ宇宙人の言った通り、体育教官室の先生方は何の違和感も感じていなかったそうだ。
おそらく他の生徒たちもそうなんだろう。
となると、いきなり何も知らない先生や生徒にこの美少女の存在を知られるのは良くない。
あの宇宙人はモブキャラには絡まれないみたいなこと言ってたがそう簡単に信じることはできない。
確実にパニックが起こる。俺ですらまともに直視したら可愛すぎて気絶しそうなんだ。
とりあえず、考える時間を稼ぐために一旦身を隠さなければならない。
幸いにも次の時間はロングホームルームだ。
融通が利く。
それを察した近藤先生は既に担任のもとへ行き、状況を説明していた。
本当にすさまじい行動力だ。
楠先生(楠 涼香 27歳女性。 俺たちのの担任の先生で、清楚・優しい・可愛い・おっとり系の四拍子で皆に人気の現代文教師)も、もちろん混乱したようだが、美少女になった慧の姿を見ると無理やり納得してくれた。
そのうえで、次の授業は人目につかない高校棟3階の理科室で行ってくれるそうだ。
5限もあと20分ほどで終わってしまう。
他のクラスの授業が終わると人であふれてしまうため、それまでに理科室に向かわなければならない。
近藤先生が、5限を切り上げてくれたので、急いで着替えることにした。
ーーーー
念のため全員で慧が見えないように囲みながら男子は教室へ、女子は更衣室へ向かう。
慧は道中何度も躓いていた。
体の感覚がズレるのだろう。
無理もない。
慧(180cm)とはサイズ感が違いすぎる。
今は立ったら155㎝ないくらいだった。
スタイルがいいから長身なのかと錯覚していた。ちっこいわ
サポートしながら教室の近くまで行く。
慧はいつも通り教室に向かおうとしたところ、そのまま女子に運ばれていった。
(本当に運ばれていた。自力で歩くと間に合わないと判断されたんだろう)
当たり前だ。
そんなところで着替えられたら男子全員が鼻血を出して死んでしまう。
それに体格が変わりすぎて制服は着られない。
慧の制服は俺が綺麗にたたんで、カバンへしまっておいた。
ーー
慧と女子達がいなくなって、教室がストッパーの外れた男子たちの下ネタで埋まっている。
話題はもちろん慧だ。
「あれはヤヴェ! 慧 可愛くなりすぎ。マジでエロ漫画みたいな展開じゃん!」
「俺、女体化モノ大好きなんだよなぁ~」
「分かるわぁ 心と体にギャップがあるシチュエーションがたまらん」
「あの慧のリアクション見た? 不安いっぱいの顔」
「なぁぁ 自分の庇護欲でおぼれ死にそうになったわ」
「頭撫でてやりたかったなぁ ついでに体も」
「サイテーだな そういうのは胸に秘めとくもんだぞ」
「あの上品なお胸に包まれたい…」
「そうそう エロい話なんてあからさまにするもんじゃないぞ」
「我慢できなくてオナニーしてたら見つかるパターンとかいいよなぁ…」
「お前話聞いてる?」
「スパイが捕まって快楽拷問のために女体化されるのもよき」
「もういいわ 俺も参加する」
「俺はカップルの彼氏が女体化してレズモノが最高」
「いいよなぁ、いちゃラブが一番よ」
「カップルがそのまま入れ替わるのもいいけどなぁ」
「ってか、宇宙人とか非現実的すぎて逆に受け入れやすいわ」
「あの宇宙人のセンス半端ないな 性知識なしとか・・・神だろ」
「マジでドストライクにも程があるっての」
「エロ知識なしのピュアっ娘… 蹂躙したい」
「茂部君サイテ~ 俺なら優しく性教育してあげるのに」
「とはいえ現実は… たぶん俺らなんか話しかけただけで死が訪れるよな」
「あぁ、社会的にも物理的にも確実にな。 地道な攻略が不可欠」
「クッソォ もっと慧と仲良くしとけば良かったァ 男同士のアドバンテージがァ」
「慧に友達募集オーラがなさすぎるんだよな…」
「それに慧はモテすぎるから、流石に嫉妬するよな あれは」
「たぶん中学でもそうだったんだろうな 全員に距離置いてる感じするし」
「とはいえモテてたけど、話しかけれた女子ゼロじゃね?」
「出し抜け防止で話しかけるの禁止にしたんだろ?」
「高2女子の三分の二が入会してるファンクラブあるくらいだし」
「あれ男子入会禁止ってひどくない? 俺入りたいんだけど」
「俺、グッズだけ女友達に密売してもらってるもん。会員割引で」
「プリント抱き枕\5,800(税抜)か? あれ人気だもんな」
「いや、特大フィギア\45,000(税抜)のほう」
「えっいつ再販してたんだよ。俺も狙ってたのに…」
「それくらいの魅力は十分あったもんな」
「慧のあの真っ黒の目見てたら惚れそうになるからな、っていうか惚れたけど」
「そうそう、なんか中性的な感じしたしな。女装させてみたかった」
「俺はひそかに慧は男装した美女説を唱えている」
「超絶有名な説な、それ」
「声でバレるからおしゃべりは控えてるってな」
「ていうか慧の声って、頑張ればダウナーお姉さんとも捉えられるよな」
「俺、慧なら余裕で抱けるもんな」
「ええっ、お前ホモかよキモって言いたいけど、俺も余裕なんだよなぁ」
「俺は掘られたかったけどなぁ」
「デカマラ超絶テクで優しくイジメられるんだろうなぁ」
「なんにせよシャイすぎるんだよなぁ マグロは嫌われ… ないか。慧だし」
「俺、ちょっと強引に話しかけたら本格的に悲しそうな顔された。なんか良心が痛んだ」
「わかる。ビクビクしながら固い笑顔作られると土下座したくなる」
「宮野しか扱いきれてなかったもんな」
「ていうか、宮野お前最初思いっきり触ったよな、お姫様抱っこで」
「どんな感じだった? 柔らかかった? エロかった?」
「そういえばあの太もも見た? ヤバくない? あれ履いてないだろ!」
「ちなみに俺はさっきからずっと勃起治まってない」
「俺も俺も! 隙見て抜きに行くわ」
「もう、オカズには困りませんなぁ」
本当に、下品だ。
しかもこいつら会話しているようで好き放題独り言言ってるだけだからな。
猿Botからの質問が大量に俺に飛ぶが、すべて無視だ。
慧をこんな奴らには渡さない。
(あと、うちのクラスにホモォが相当数いることが判明した)
(それと慧 女説はガセだ。正真正銘の♂イケメンさんだ。180㎝あるし。それ以外の内容は否定はしないが…)
まぁ俺も男の子なのでもちろん興奮している。
逆にしない方がおかしい、もはや失礼だ。
というか、詳細は語らないが俺の性癖にドストライクだ。
でも、親友への心配の方が大きい。
性転換したこともそうだが、それよりも今 女子更衣室へ連れていかれたことが心配だ。
セクハラされてないかな。
慧はたぶん抵抗できない。
俺が知る限り女子に絡まれることなんて無かったから、あたふたするしかないだろう。
けど、俺もどうすることもできない。
何が起こってるかを知ることもできない。
ーーー
男子全員が理科室で待機していると、女子たちがやってきた。慧もだ。
これで無事、誰にも見つかることなく5限が終わる前に全員移動できたわけだが…
慧の耳と頬が赤い。
女子たちの顔が緩んでいる。
何かは…あったんだろうな。
後で慧に聞こう。
全員揃ってからは楠先生と近藤先生、B組一同で再度状況を確認した。
そして、今後どうするかを考えることとした。
まず慧の…と言いたいところだが、今の見た目で「慧」という名前は合わないのではないだろうか。
そこで、新しい名前を考えることとなり、
議論の結果…
「乃愛」と呼ぶことにした。
慣れるまで少し時間はかかるだろうが、乃愛も気に入ってくれたようだ。
苗字はいったん中野のままにした。
次に、慧の御両親への報告なのだが、慧の両親は海外に住んでおり、慧は仕送りで一人暮らしをしていた。
ちなみに俺はまだ会ったことがない。
そして、御両親への報告も先生方が既に済ませてくれていた。異様なほどスムーズに理解してくれたそうだ。
また、すぐには帰国できないらしい。
(慧=今日以前の乃愛として言い分けることにした)
となると乃愛も一人暮らしということになるのだが、それはさすがにダメだろう。
こんなに可愛い娘の一人暮らしなんて変態ホイホイ同然だ。
すぐにも乃愛のホームステイ先を探すことになった。
全員が立候補しようとしたが、そう上手くは条件が合わない。
なんせ突然だ。当然各々の家の事情があるし、ここまでの美少女相手だと普通に緊張する。
何より、慧は本人公認で友達が少ない。お互い遠慮も生じるってもんだ。
それでも、数名の男子と、大勢の女子がOKとなった。
自宅のプレゼンをし始める者もいたが決めるのは乃愛だ。
候補者が目を閉じて後ろを向き、乃愛に肩を叩かれたら採用という形式なった。
(候補者以外も目を閉じて)
全員がドキドキしている。
隣の人の心音が聞こえるほどに。
乃愛の軽い足音が一直線に鳴り、衣擦れ音が聞こえる。
同時に選ばれなかった事が判明した候補者たちの失意の息がもれた。
選ばれたのは…
もちろん
俺でした。
目を開けてみると乃愛が俺に後ろから抱きついていた。
みんなが呻いているが、乃愛的には一択だっただろう。
女子たちがキラキラした目で誘っていたが、遊んだこともないのにいきなりお泊りはハードルが高すぎる。
慧はクラスの女子たちと全く交流がなかったといっても過言ではない。
男子の中でも俺以外の候補は、慧が苦手なうるさめのやつらだった。
なによりも慧にとって俺は一番の親友だ。
何回も言うけどココ大事。
俺と慧は相思相愛なので、立候補者を見て勝ちを確信していた。
っていうか、俺が立候補した時点で皆負けを認めてたけどな。
だがしかし、抱きつかれるとは思っていなかった。
(慧は俺と二人のときは仲良くしていたが、大勢の前であまり絡むことはなかったからな)
俺の理性が壊れる前に…早く離れるんだ。
ただでさえ最初のお姫様抱っこの感触が色濃く残ってるんだ。
これ以上の刺激はよろしくない。
(あと、周りからの目線がもはや質量を帯びた槍のように俺に刺さっているのもよろしくない)
何度も言うことになるがお前さんの今の容姿は俺のドストライクなんだ。
こんなこと絶対に本人には言えないけども。
ピュアな好意に俺の醜い性欲なんてあてたくないんだ。
宿が決まった後、皆落ち着きを取り戻し冷静になって、
美少女がケダモノフツメン眼鏡陰キャ大男(俺)の家に泊まることなど許されるのかという議論になった。
(乃愛は俺の近くの椅子に座った)
俺、何もしないよ。たぶん。
先生方も困まらないで。
まぁ信用できない…かな。
自覚あるけど挙動不審だし今の俺。
平静を装ってはいるけど口角がバグってるし今の俺。
一方、性の知識を失い、襲われるなんていう概念がない乃愛はなぜ みんな困っているのか分からないようだ。
「カナタは、僕…ノアがきたらイヤ?」と上目遣いで俺へ一言。
「「襲われちゃうかもしれないよ 危ないよっ」」と女子一同。
「…カナタは…暴力するひとじゃない…」と小声でやや怒の乃愛。
女子達は乃愛の考えを変えることは諦め、俺に五寸釘を刺すことで妥協したらしい。
俺は少しでも乃愛に手を出したら「足の指毛を一本ずつ古いピンセットでゆっくり抜く刑」に処されるそうだ。
罪の具合によっては「中学生がしそうなデザイン剃り込み&ドラゴンのナップサック常備&ウォレットチェーンにビリビリ財布・・・」などなどが追加されるそうだ。
なんでそんな刑罰思いつくんだろうね。
指毛を抜き損じられるのが可愛らしく思えてきた。
たぶんよく分かってないだろうけど、お泊りの許可が出た乃愛はご機嫌である。
俺の指毛と社会的な体裁が危ないというのに…
あと、慧の一人称は”僕”であったが、乃愛は名前に慣れるのも含めて”ノア”と呼ぶことにしたそうだ。
(ボクっ娘もありだけどな… また今度頼んでみよう)
さらに、女の子らしい口調になるように頑張ってみるそうだ。
(もとから男らしい口調ではなかったため、既に何の違和感もない)
その後、突然の乃愛の登場をどういう設定にするかなどを話し合い、先生方は校長などに話をつけに行った。
聞こえた瞬間に全員宇宙人のことなんて忘れて少女のほうへ振り返っていた。見事なシンクロだ。
少女は目を閉じたまま上体を起こし、両手を上にあげ伸びをしていた可愛い。
そして、ゆっくりと瞼が開いていく可愛い。
青っていうよりは若干緑も混じったような、「碧」って感じの目だ可愛い。
ぼーっとしていた少女は、自分を囲うようにジリジリと集まるクラスメートに気づき「わっ!」とびっくりした可愛い。
俺の語尾が「可愛い」になりそうなくらい可愛い。
「自分の名前、わかる?」
お姉さんキャラの彩葉ちゃんが少女に優しくたずねる。
少女はいかにも「なんでそんなこと聞くの?」 という表情で「中野 …慧」と答えた。
「慧、俺の名前分かるか?」
俺も尋ねてみる。
「カナタ…?」
実に不思議そうな顔だ。
どうやらあのアホ宇宙人のいう通り、この美少女は中野慧で、普通の記憶はあるようだ。
そして、慧はまだ自分が美少女に生まれ変わったことに気づいていない。
その時サーっと後ろから優しい風が吹き、慧の長い金髪が前に流れた。
慧は自身の艶やかな髪を手に取って静かに驚き、次々と自分の体の変化に驚いていく。
長い金髪、真っ白な肌、ムダ毛が一切ないスベスベの腕脚。
そして、膨らんだジャージの胸部に軽く触れ、性転換したと確信したようだ。
エロ漫画でありがちな股間を触って「ない!?」というイベントはなかった。
宇宙船に行ったことなどは全く覚えていないようだった。
驚きが少し落ち着いたところで、俺、彩葉ちゃん、その他みんなで状況を説明した。
慧は非常に落ち着いた性格だったので、パニックになることはなかったものの、どうすればよいか分からないようであった。
(もちろん、性の知識どうこうは伝えていない。面と向かってそんなこと言えるわけがない)
他人事のようだが、困っている顔も非常に可愛らしい。
あと、さっき「慧とは何もかも違う」とか言ったけど、仕草や表情の作り方は俺といる時の慧だ。
慧のままなんだけど、見た目が違う… 不思議な感覚だな。
まぁ慧が可愛いのは一旦置いておいて、現実的な話として今後のことだが…
近藤先生の話によると、アホ宇宙人の言った通り、体育教官室の先生方は何の違和感も感じていなかったそうだ。
おそらく他の生徒たちもそうなんだろう。
となると、いきなり何も知らない先生や生徒にこの美少女の存在を知られるのは良くない。
あの宇宙人はモブキャラには絡まれないみたいなこと言ってたがそう簡単に信じることはできない。
確実にパニックが起こる。俺ですらまともに直視したら可愛すぎて気絶しそうなんだ。
とりあえず、考える時間を稼ぐために一旦身を隠さなければならない。
幸いにも次の時間はロングホームルームだ。
融通が利く。
それを察した近藤先生は既に担任のもとへ行き、状況を説明していた。
本当にすさまじい行動力だ。
楠先生(楠 涼香 27歳女性。 俺たちのの担任の先生で、清楚・優しい・可愛い・おっとり系の四拍子で皆に人気の現代文教師)も、もちろん混乱したようだが、美少女になった慧の姿を見ると無理やり納得してくれた。
そのうえで、次の授業は人目につかない高校棟3階の理科室で行ってくれるそうだ。
5限もあと20分ほどで終わってしまう。
他のクラスの授業が終わると人であふれてしまうため、それまでに理科室に向かわなければならない。
近藤先生が、5限を切り上げてくれたので、急いで着替えることにした。
ーーーー
念のため全員で慧が見えないように囲みながら男子は教室へ、女子は更衣室へ向かう。
慧は道中何度も躓いていた。
体の感覚がズレるのだろう。
無理もない。
慧(180cm)とはサイズ感が違いすぎる。
今は立ったら155㎝ないくらいだった。
スタイルがいいから長身なのかと錯覚していた。ちっこいわ
サポートしながら教室の近くまで行く。
慧はいつも通り教室に向かおうとしたところ、そのまま女子に運ばれていった。
(本当に運ばれていた。自力で歩くと間に合わないと判断されたんだろう)
当たり前だ。
そんなところで着替えられたら男子全員が鼻血を出して死んでしまう。
それに体格が変わりすぎて制服は着られない。
慧の制服は俺が綺麗にたたんで、カバンへしまっておいた。
ーー
慧と女子達がいなくなって、教室がストッパーの外れた男子たちの下ネタで埋まっている。
話題はもちろん慧だ。
「あれはヤヴェ! 慧 可愛くなりすぎ。マジでエロ漫画みたいな展開じゃん!」
「俺、女体化モノ大好きなんだよなぁ~」
「分かるわぁ 心と体にギャップがあるシチュエーションがたまらん」
「あの慧のリアクション見た? 不安いっぱいの顔」
「なぁぁ 自分の庇護欲でおぼれ死にそうになったわ」
「頭撫でてやりたかったなぁ ついでに体も」
「サイテーだな そういうのは胸に秘めとくもんだぞ」
「あの上品なお胸に包まれたい…」
「そうそう エロい話なんてあからさまにするもんじゃないぞ」
「我慢できなくてオナニーしてたら見つかるパターンとかいいよなぁ…」
「お前話聞いてる?」
「スパイが捕まって快楽拷問のために女体化されるのもよき」
「もういいわ 俺も参加する」
「俺はカップルの彼氏が女体化してレズモノが最高」
「いいよなぁ、いちゃラブが一番よ」
「カップルがそのまま入れ替わるのもいいけどなぁ」
「ってか、宇宙人とか非現実的すぎて逆に受け入れやすいわ」
「あの宇宙人のセンス半端ないな 性知識なしとか・・・神だろ」
「マジでドストライクにも程があるっての」
「エロ知識なしのピュアっ娘… 蹂躙したい」
「茂部君サイテ~ 俺なら優しく性教育してあげるのに」
「とはいえ現実は… たぶん俺らなんか話しかけただけで死が訪れるよな」
「あぁ、社会的にも物理的にも確実にな。 地道な攻略が不可欠」
「クッソォ もっと慧と仲良くしとけば良かったァ 男同士のアドバンテージがァ」
「慧に友達募集オーラがなさすぎるんだよな…」
「それに慧はモテすぎるから、流石に嫉妬するよな あれは」
「たぶん中学でもそうだったんだろうな 全員に距離置いてる感じするし」
「とはいえモテてたけど、話しかけれた女子ゼロじゃね?」
「出し抜け防止で話しかけるの禁止にしたんだろ?」
「高2女子の三分の二が入会してるファンクラブあるくらいだし」
「あれ男子入会禁止ってひどくない? 俺入りたいんだけど」
「俺、グッズだけ女友達に密売してもらってるもん。会員割引で」
「プリント抱き枕\5,800(税抜)か? あれ人気だもんな」
「いや、特大フィギア\45,000(税抜)のほう」
「えっいつ再販してたんだよ。俺も狙ってたのに…」
「それくらいの魅力は十分あったもんな」
「慧のあの真っ黒の目見てたら惚れそうになるからな、っていうか惚れたけど」
「そうそう、なんか中性的な感じしたしな。女装させてみたかった」
「俺はひそかに慧は男装した美女説を唱えている」
「超絶有名な説な、それ」
「声でバレるからおしゃべりは控えてるってな」
「ていうか慧の声って、頑張ればダウナーお姉さんとも捉えられるよな」
「俺、慧なら余裕で抱けるもんな」
「ええっ、お前ホモかよキモって言いたいけど、俺も余裕なんだよなぁ」
「俺は掘られたかったけどなぁ」
「デカマラ超絶テクで優しくイジメられるんだろうなぁ」
「なんにせよシャイすぎるんだよなぁ マグロは嫌われ… ないか。慧だし」
「俺、ちょっと強引に話しかけたら本格的に悲しそうな顔された。なんか良心が痛んだ」
「わかる。ビクビクしながら固い笑顔作られると土下座したくなる」
「宮野しか扱いきれてなかったもんな」
「ていうか、宮野お前最初思いっきり触ったよな、お姫様抱っこで」
「どんな感じだった? 柔らかかった? エロかった?」
「そういえばあの太もも見た? ヤバくない? あれ履いてないだろ!」
「ちなみに俺はさっきからずっと勃起治まってない」
「俺も俺も! 隙見て抜きに行くわ」
「もう、オカズには困りませんなぁ」
本当に、下品だ。
しかもこいつら会話しているようで好き放題独り言言ってるだけだからな。
猿Botからの質問が大量に俺に飛ぶが、すべて無視だ。
慧をこんな奴らには渡さない。
(あと、うちのクラスにホモォが相当数いることが判明した)
(それと慧 女説はガセだ。正真正銘の♂イケメンさんだ。180㎝あるし。それ以外の内容は否定はしないが…)
まぁ俺も男の子なのでもちろん興奮している。
逆にしない方がおかしい、もはや失礼だ。
というか、詳細は語らないが俺の性癖にドストライクだ。
でも、親友への心配の方が大きい。
性転換したこともそうだが、それよりも今 女子更衣室へ連れていかれたことが心配だ。
セクハラされてないかな。
慧はたぶん抵抗できない。
俺が知る限り女子に絡まれることなんて無かったから、あたふたするしかないだろう。
けど、俺もどうすることもできない。
何が起こってるかを知ることもできない。
ーーー
男子全員が理科室で待機していると、女子たちがやってきた。慧もだ。
これで無事、誰にも見つかることなく5限が終わる前に全員移動できたわけだが…
慧の耳と頬が赤い。
女子たちの顔が緩んでいる。
何かは…あったんだろうな。
後で慧に聞こう。
全員揃ってからは楠先生と近藤先生、B組一同で再度状況を確認した。
そして、今後どうするかを考えることとした。
まず慧の…と言いたいところだが、今の見た目で「慧」という名前は合わないのではないだろうか。
そこで、新しい名前を考えることとなり、
議論の結果…
「乃愛」と呼ぶことにした。
慣れるまで少し時間はかかるだろうが、乃愛も気に入ってくれたようだ。
苗字はいったん中野のままにした。
次に、慧の御両親への報告なのだが、慧の両親は海外に住んでおり、慧は仕送りで一人暮らしをしていた。
ちなみに俺はまだ会ったことがない。
そして、御両親への報告も先生方が既に済ませてくれていた。異様なほどスムーズに理解してくれたそうだ。
また、すぐには帰国できないらしい。
(慧=今日以前の乃愛として言い分けることにした)
となると乃愛も一人暮らしということになるのだが、それはさすがにダメだろう。
こんなに可愛い娘の一人暮らしなんて変態ホイホイ同然だ。
すぐにも乃愛のホームステイ先を探すことになった。
全員が立候補しようとしたが、そう上手くは条件が合わない。
なんせ突然だ。当然各々の家の事情があるし、ここまでの美少女相手だと普通に緊張する。
何より、慧は本人公認で友達が少ない。お互い遠慮も生じるってもんだ。
それでも、数名の男子と、大勢の女子がOKとなった。
自宅のプレゼンをし始める者もいたが決めるのは乃愛だ。
候補者が目を閉じて後ろを向き、乃愛に肩を叩かれたら採用という形式なった。
(候補者以外も目を閉じて)
全員がドキドキしている。
隣の人の心音が聞こえるほどに。
乃愛の軽い足音が一直線に鳴り、衣擦れ音が聞こえる。
同時に選ばれなかった事が判明した候補者たちの失意の息がもれた。
選ばれたのは…
もちろん
俺でした。
目を開けてみると乃愛が俺に後ろから抱きついていた。
みんなが呻いているが、乃愛的には一択だっただろう。
女子たちがキラキラした目で誘っていたが、遊んだこともないのにいきなりお泊りはハードルが高すぎる。
慧はクラスの女子たちと全く交流がなかったといっても過言ではない。
男子の中でも俺以外の候補は、慧が苦手なうるさめのやつらだった。
なによりも慧にとって俺は一番の親友だ。
何回も言うけどココ大事。
俺と慧は相思相愛なので、立候補者を見て勝ちを確信していた。
っていうか、俺が立候補した時点で皆負けを認めてたけどな。
だがしかし、抱きつかれるとは思っていなかった。
(慧は俺と二人のときは仲良くしていたが、大勢の前であまり絡むことはなかったからな)
俺の理性が壊れる前に…早く離れるんだ。
ただでさえ最初のお姫様抱っこの感触が色濃く残ってるんだ。
これ以上の刺激はよろしくない。
(あと、周りからの目線がもはや質量を帯びた槍のように俺に刺さっているのもよろしくない)
何度も言うことになるがお前さんの今の容姿は俺のドストライクなんだ。
こんなこと絶対に本人には言えないけども。
ピュアな好意に俺の醜い性欲なんてあてたくないんだ。
宿が決まった後、皆落ち着きを取り戻し冷静になって、
美少女がケダモノフツメン眼鏡陰キャ大男(俺)の家に泊まることなど許されるのかという議論になった。
(乃愛は俺の近くの椅子に座った)
俺、何もしないよ。たぶん。
先生方も困まらないで。
まぁ信用できない…かな。
自覚あるけど挙動不審だし今の俺。
平静を装ってはいるけど口角がバグってるし今の俺。
一方、性の知識を失い、襲われるなんていう概念がない乃愛はなぜ みんな困っているのか分からないようだ。
「カナタは、僕…ノアがきたらイヤ?」と上目遣いで俺へ一言。
「「襲われちゃうかもしれないよ 危ないよっ」」と女子一同。
「…カナタは…暴力するひとじゃない…」と小声でやや怒の乃愛。
女子達は乃愛の考えを変えることは諦め、俺に五寸釘を刺すことで妥協したらしい。
俺は少しでも乃愛に手を出したら「足の指毛を一本ずつ古いピンセットでゆっくり抜く刑」に処されるそうだ。
罪の具合によっては「中学生がしそうなデザイン剃り込み&ドラゴンのナップサック常備&ウォレットチェーンにビリビリ財布・・・」などなどが追加されるそうだ。
なんでそんな刑罰思いつくんだろうね。
指毛を抜き損じられるのが可愛らしく思えてきた。
たぶんよく分かってないだろうけど、お泊りの許可が出た乃愛はご機嫌である。
俺の指毛と社会的な体裁が危ないというのに…
あと、慧の一人称は”僕”であったが、乃愛は名前に慣れるのも含めて”ノア”と呼ぶことにしたそうだ。
(ボクっ娘もありだけどな… また今度頼んでみよう)
さらに、女の子らしい口調になるように頑張ってみるそうだ。
(もとから男らしい口調ではなかったため、既に何の違和感もない)
その後、突然の乃愛の登場をどういう設定にするかなどを話し合い、先生方は校長などに話をつけに行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる