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第2章 新たな出会い
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「なに?尚樹さん」
そう言いながら歩み寄ってきた人の風貌を見て思わず言葉を失った。
緩やかなウェーブのかかったこげ茶色癖毛にキリッとした眉、暗めのグレーの瞳にすっと通った鼻筋を辿るとぷるっと潤った厚めの唇の存在がある。外人ほどではないけれど彫りの深い印象的な美しさがあった。しかし儚げな美しさではなく体つきも結構がっしりして肩幅も広めだ。どちらかと言うと彫刻のような美しさと言った方がいいだろう。
「この子、佳奈ちゃんの友達で美紗ちゃん。これから常連さんになる予定だからよろしくね。」
「早速常連さんとして頭数ゲットしてるの?ちゃっかりしてるわね」
「ここは店長としてがつがつ行っとかないと。美紗ちゃん、こっちは榛名朔太郎、みんなからはサクとかサクちゃんとか呼ばれてる。ちょっとインパクト凄いかもしれないけど引かないでね?」
「私意外かもしれないけど朔太郎って言う名前は気に入ってるの。美紗ちゃんも好きに呼んで?これから仲良くしてくれるかしら?」
眉を下げながらそう言って手を差し出す朔太郎さん。
私の体は金縛りにあったかのように固まってしまった。というか見とれすぎてて何を求められているのか一瞬分からなった。
「あ、すいません!こんな綺麗な人間近で見たの初めてで!」
慌てて自分も手を出し握る。思ったよりも大きく骨ばった手の感触を感じた瞬間まるで急に走ったあとかのようにバクバクと心臓が鳴り出した。
「っぷ、あははは」
「え!?な、なにか変なこと言っちゃいました?」
突如笑いだした朔太郎さんに一気に血の気が引く。
「違う違う!そんな感想初っ端に持たれたの初めてだと思って。大概私のこの話し方とかに意識が行っちゃうから。」
「綺麗な立ち居振る舞いには、すごく自然だったんであんまりそんな風には思わなかったです。私が鈍いだけかもしれないですけど。」
「ありがとう、嬉しいわ。佳奈ちゃんが言ってた子って美紗ちゃんでしょ?」
朔太郎さんは佳奈に目を向け問いかける。
「ちょっと、サクさん!それは内緒だって言ったじゃん!」
「佳奈ちゃんったらことある事に美紗、美紗って言ってたのよ~」
ニマニマしながら朔太郎さんが報告してきた。ちょっと恥ずかしい気持ちになりながらも変なことを言われてないか心配になる。
「おかしなこと言ってないよね?」
「大丈夫!例の話も一言も言ってない!」
「ならいいけど。」
例の話というのは恐らく雅孝のことだろう。
ひとまず胸をなでおろす。
「立ちっぱなしもなんだからお席にどうぞ」
そんなことをしていると早苗さんがさりげなくテーブル席に案内してくれた。
そう言いながら歩み寄ってきた人の風貌を見て思わず言葉を失った。
緩やかなウェーブのかかったこげ茶色癖毛にキリッとした眉、暗めのグレーの瞳にすっと通った鼻筋を辿るとぷるっと潤った厚めの唇の存在がある。外人ほどではないけれど彫りの深い印象的な美しさがあった。しかし儚げな美しさではなく体つきも結構がっしりして肩幅も広めだ。どちらかと言うと彫刻のような美しさと言った方がいいだろう。
「この子、佳奈ちゃんの友達で美紗ちゃん。これから常連さんになる予定だからよろしくね。」
「早速常連さんとして頭数ゲットしてるの?ちゃっかりしてるわね」
「ここは店長としてがつがつ行っとかないと。美紗ちゃん、こっちは榛名朔太郎、みんなからはサクとかサクちゃんとか呼ばれてる。ちょっとインパクト凄いかもしれないけど引かないでね?」
「私意外かもしれないけど朔太郎って言う名前は気に入ってるの。美紗ちゃんも好きに呼んで?これから仲良くしてくれるかしら?」
眉を下げながらそう言って手を差し出す朔太郎さん。
私の体は金縛りにあったかのように固まってしまった。というか見とれすぎてて何を求められているのか一瞬分からなった。
「あ、すいません!こんな綺麗な人間近で見たの初めてで!」
慌てて自分も手を出し握る。思ったよりも大きく骨ばった手の感触を感じた瞬間まるで急に走ったあとかのようにバクバクと心臓が鳴り出した。
「っぷ、あははは」
「え!?な、なにか変なこと言っちゃいました?」
突如笑いだした朔太郎さんに一気に血の気が引く。
「違う違う!そんな感想初っ端に持たれたの初めてだと思って。大概私のこの話し方とかに意識が行っちゃうから。」
「綺麗な立ち居振る舞いには、すごく自然だったんであんまりそんな風には思わなかったです。私が鈍いだけかもしれないですけど。」
「ありがとう、嬉しいわ。佳奈ちゃんが言ってた子って美紗ちゃんでしょ?」
朔太郎さんは佳奈に目を向け問いかける。
「ちょっと、サクさん!それは内緒だって言ったじゃん!」
「佳奈ちゃんったらことある事に美紗、美紗って言ってたのよ~」
ニマニマしながら朔太郎さんが報告してきた。ちょっと恥ずかしい気持ちになりながらも変なことを言われてないか心配になる。
「おかしなこと言ってないよね?」
「大丈夫!例の話も一言も言ってない!」
「ならいいけど。」
例の話というのは恐らく雅孝のことだろう。
ひとまず胸をなでおろす。
「立ちっぱなしもなんだからお席にどうぞ」
そんなことをしていると早苗さんがさりげなくテーブル席に案内してくれた。
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