やっぱ中身が大事でしょ?

速見 沙弥

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第2章 新たな出会い

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案内されたのはカウンターの端の方の席だった。確かに端に近い方が多少長居しても他の客の目には付きにくいので助かった。

「ね?ここいいとこでしょ?」

早速注文したカクテルを片手に佳奈が笑いかける。

「うん、初めて来たのにこんなに話しやすい人達ばっかりですでに楽しい」

今まで少数以外の会社の人達や高校の同級生とはそんなに付き合いを深めたいとも思ったことは無かったし、恐らく向こうもそう感じていただろう。しかしこのお店の人達は佳奈の知り合いということを除いたとしても同じような対応をしてくれるんだなと感じる。証拠に周りにちらほら増えてきたお客さんとも楽しそうに会話をしていた。

「掘り返すようであれだけど、美紗にも雅孝さんのこと早く過去のことに出来たらなって思って。わたしがいとこにここ紹介してもらった時も元彼に振られて落ち込んでた時だったんだ」
「そうだったんだ・・・。ありがとう、佳奈」

優しい佳奈の心遣いに鼻がツンとした。

「はい、どうぞ」
「へ?」

目の前にタオルハンカチが差し出される。差出人は朔太郎さんだった。

「嬉しくて泣いちゃう時もあるわよね?わかるわかる」

うんうん、と微笑みながら目に当ててくれる朔太郎さんに更に涙が零れる。

「すいませ、こんな泣くつもりじゃ、なかったん、ですけど」

佳奈もそっと背中をさすってくれる。

「良かったら話聞くわよ?ムリにはダメだけど話して楽になるなら」

カウンターの内側からこちら側に回って私の隣の席に座ってくれる。

「でも、お仕事中だし・・・」
「いいのいいの!今から休憩なの!」

わざと明るく言ってくれる朔太郎さんに甘えて今まであったことをポツポツ話始めた。

この年で初めて彼氏が出来て嬉しかったこと。

自分にちょっと自信が持てたこと。

デートをドタキャンされて佳奈とご飯に行くと同じ店に雅孝がいたこと。

そこですごく、すごく悲しい言葉を浴びせられたこと。

やっぱりありのままの自分の事を恋愛対象として本当に好きになってくれる人なんていないのかもと思ったこと。

ひとつ言い出したら溢れるように言葉が出てきて、やっぱり私は雅孝が好きだったんだなと思い知った。そして雅孝と過ごした日々を今となっては過去のものとして受け入れることが出来たのだということも。

全てを話し終えてハンカチもだいぶ湿ってしまったと思っていると突然暖かく力強いものに包まれた。

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