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第2章 新たな出会い
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「よしよし、よく頑張ったわね」
ポンポン頭を撫でながら背中をさすってくれる朔太郎さんに急に引き寄せられたことに対するドキドキと話し方とは裏腹にがっしりした腕の感触の男らしさに対するドキドキ、そして安心できる体温。色々なものが混ざりあってどんな顔をすればいいか分からなかった。
「でもね、そんな奴のために流す涙は今日までにしなさい。そりゃ私は美紗ちゃんと知り合ってまだ数時間だけよ?それでも美紗ちゃんがすごく素敵な子だってわかるわ」
そっと肩を持たれ微笑みながらをのぞき込む朔太郎さんにまた涙が出でくる。
「でも、私のこと女の子として見てくれたの雅隆だけで、自信持てなくて・・・」
本当に鬱陶しいと自分でも思う。
これだけ慰めてくれてるのにぐだぐだいうなんてそこでさえも好きになんてなれる訳ないって。
「もー泣き虫ねえ。じゃあ思い切って言っちゃうけど、私は美紗ちゃんが彼女だったらいいなあっておもってるんだけど?」
「え?!」
少し目線を逸らしながらいう朔太郎さんの言葉に私が反応するより、横に座ってた佳奈が先に驚きの言葉を発した。
「ちょっと、人が勇気振り絞ったのになによぉその反応!」
「だってサクちゃんはてっきり男の人が好きなのかと思ってたから」
佳奈の言葉に私も確かに、と感じる。
「この話し方だからそう思われてるんだけど、対象としては男性でも女性でも好きになった人が好みなの!・・・だから、美紗ちゃんがそうやって落ち込んでる所を見てて元気にしたいなって思っちゃったの」
「さ、朔太郎さんのその気持ちがすごく嬉しいです。お世辞でもそんなふうに言ってもらえて・・・」
そんなに真剣な顔されちゃうと本当に私のことが気になってるみたいって誤解してしまう。
今までの経験上ここで本気に取ってしまってあとから恥ずかしい思いするのは私なんだから、今のうちにちゃんと分かってるって伝えておかないと!
「佳奈ちゃん、これって遠回しに対象外ってフラれてるのかしら?」
「いや、美紗はホントにサクちゃんが自分のこと好きになるはずないっておもってるの!美紗、サクちゃんはアンタのこと女の子として彼女にしたいって意味で見てるんだってば」
おバカ。と軽く佳奈に頭を叩かれる。
しばらく二人の会話を自分の頭の中で噛み砕く。
朔太郎さんはオネエさんだけど男の人も女の人も好き。
私のことを元気にしたいと思ってくれてる。
同情ではなくて彼女にしたいという意味で。
・・・・・・。
「ぇぇええ・・・?ん?本当に?」
理解が追いつくと一気に血流が良くなったのか心臓がドッドッドッと音を立てる。
「わかった?」
眉を下げながらふふっと笑う朔太郎さんと目が合わせられなくて両手で顔を覆う。
ポンポン頭を撫でながら背中をさすってくれる朔太郎さんに急に引き寄せられたことに対するドキドキと話し方とは裏腹にがっしりした腕の感触の男らしさに対するドキドキ、そして安心できる体温。色々なものが混ざりあってどんな顔をすればいいか分からなかった。
「でもね、そんな奴のために流す涙は今日までにしなさい。そりゃ私は美紗ちゃんと知り合ってまだ数時間だけよ?それでも美紗ちゃんがすごく素敵な子だってわかるわ」
そっと肩を持たれ微笑みながらをのぞき込む朔太郎さんにまた涙が出でくる。
「でも、私のこと女の子として見てくれたの雅隆だけで、自信持てなくて・・・」
本当に鬱陶しいと自分でも思う。
これだけ慰めてくれてるのにぐだぐだいうなんてそこでさえも好きになんてなれる訳ないって。
「もー泣き虫ねえ。じゃあ思い切って言っちゃうけど、私は美紗ちゃんが彼女だったらいいなあっておもってるんだけど?」
「え?!」
少し目線を逸らしながらいう朔太郎さんの言葉に私が反応するより、横に座ってた佳奈が先に驚きの言葉を発した。
「ちょっと、人が勇気振り絞ったのになによぉその反応!」
「だってサクちゃんはてっきり男の人が好きなのかと思ってたから」
佳奈の言葉に私も確かに、と感じる。
「この話し方だからそう思われてるんだけど、対象としては男性でも女性でも好きになった人が好みなの!・・・だから、美紗ちゃんがそうやって落ち込んでる所を見てて元気にしたいなって思っちゃったの」
「さ、朔太郎さんのその気持ちがすごく嬉しいです。お世辞でもそんなふうに言ってもらえて・・・」
そんなに真剣な顔されちゃうと本当に私のことが気になってるみたいって誤解してしまう。
今までの経験上ここで本気に取ってしまってあとから恥ずかしい思いするのは私なんだから、今のうちにちゃんと分かってるって伝えておかないと!
「佳奈ちゃん、これって遠回しに対象外ってフラれてるのかしら?」
「いや、美紗はホントにサクちゃんが自分のこと好きになるはずないっておもってるの!美紗、サクちゃんはアンタのこと女の子として彼女にしたいって意味で見てるんだってば」
おバカ。と軽く佳奈に頭を叩かれる。
しばらく二人の会話を自分の頭の中で噛み砕く。
朔太郎さんはオネエさんだけど男の人も女の人も好き。
私のことを元気にしたいと思ってくれてる。
同情ではなくて彼女にしたいという意味で。
・・・・・・。
「ぇぇええ・・・?ん?本当に?」
理解が追いつくと一気に血流が良くなったのか心臓がドッドッドッと音を立てる。
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