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プロポーズ
第44話 休暇明け
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ハヤトは久しぶりに出勤する。クルーズ旅行から戻って数日後の朝、彼は懐かしい警備会社のオフィスに向かう。昨日まで過ごしていた豪華客船とは別世界のような、清潔ながらもシンプルなオフィスの空気が肌に馴染んでくる。
「おはようございます」
入り口で元気よく挨拶すると、すぐに反応があった。
「おお、佐藤君! 久しぶりだな。休暇はどうだった?」
安元社長がデスクから顔を上げて笑顔で応える。
「はい、満喫させてもらいました。友人と旅行でアジア各国を巡って、いい気分転換になりました。これ、旅行のお土産です。よければ、どうぞ」
ハヤトはバッグから小さな包みを取り出した。シンガポールで購入した高級茶葉のセットだ。城介のアドバイスで選んだもの。
「おお、いただくよ。気を遣わせてすまないね」
安元社長は丁寧に包みを受け取ると、嬉しそうに中身を確認した。
「うん。とても良い香りだ、ありがとう。さて今日からまた、実践形式の訓練を頼むよ。君の指導のお陰で、社員の能力も上がっている。頼りにしているよ」
ハヤトは頷き、更衣室に向かった。同僚たちと挨拶してお土産を配ったりしながら、訓練用の服装に着替えてからトレーニングルームに向かった。久しぶりに触れる練習用マットの感触、壁に並べられた防具類、そして窓から見える訓練場。
「お疲れ様です、佐藤さん」
数人の若手警備員が声をかけてきた。彼らは、ハヤトの指導を心待ちにしていたようだった。
「佐藤さん、この間教えていただいた動き、少し練習してみたんですが、上手くできなくて……」
「そうか、では今日改めて教えよう。基本のフォームからだな」
そうして午前中は主に若手への基本指導を行った。ハヤトは異世界での戦いの経験を直接伝えることはできないが、そこで培った技術の本質を、現代の警備技術として伝えることはできる。相手の動きを読み、隙を見つけ、最小限の力で制する。そんな技術を実践形式で、丁寧に教えていった。
午後も引き続き、彼は警備員たちに実践形式の護身術トレーニングを行った。久しぶりの運動だったが、体は全く衰えていない。むしろ、旅行でリフレッシュした分、より一層動きが軽快になっていた。
「はぁ、はぁ。佐藤さん、休暇中も相当トレーニングされていたんですか?」
午後から指導をした相手が息を切らしながら尋ねる。三十分ほどのトレーニングでハヤトを相手にしていた全員が汗だくになっているのに対して、ハヤトはまだ余裕の表情だった。
「いや、特に何もしていないよ。軽く体は動かしていたけどね」
クルーズ船の中でも毎朝、ストレッチや簡単な型の練習を欠かさなかった。時間があればトレーニングルームで体も動かした。だけど、彼にとってはそれは「特に何もしていない」に等しかった。
「はぁ、はぁ。冗談じゃないですよ……それで、そんなとんでもない体力……」
「はー、ふー。ついていくのが、やっとだ」
「うぅ。佐藤さんは、やっぱり別格ですよ」
ちょっと引き気味の社員たちにハヤトは苦笑した。異世界で鍛えられた体は、休暇程度で衰えるものではなかった。
仕事を終えて会社を出たハヤトは、夕食を軽く済ませた後、夜になってからIVEのスタジオに向かった。その日は城介と莉々の二人が先に来ていた。莉々は配信用の機材を確認し、城介はタブレットで何かの資料に目を通している。
「やあ、ハヤト。仕事はどうだった?」
城介がタブレットから顔を上げて尋ねる。
「順調だったよ。皆元気にしていた。おすすめしてもらったお土産も喜んでもらえたし」
「そう、それは良かった」
城介と会話をしていると、莉々が振り返り二人の会話に加わる。この後の配信について。
「久しぶりの配信だから、旅行から帰ってきた報告をしましょう」
「いいね。でも身バレには気をつけないと」
莉々の提案に、城介が冷静にアドバイス。
「あまり具体的な場所や名前などは出さないほうが良いか」
ハヤトも同意して、どう話そうか考える。海外旅行という事実は伝えても良いが、クルーズ船のような特定につながる情報は避けるべきだろう。結局、「仲間と一緒に海外へ旅行に行った」程度の表現にすることに決めた。
配信を始めると、いつものように大勢の視聴者が集まっていた。休暇前に比べて、さらに視聴者数が増えているように見える。
「みなさん、こんばんは! ハヤトです。久しぶりの配信になりました」
ハヤトのアバターが画面上で元気よく手を振る。
「リリアです! お久しぶりです、皆さん。待たせてごめんなさい」
「ジョンだ。皆、元気だったか」
続けて莉々と城介のアバターたちも画面上で挨拶を交わす。
-おかえり!
-待ってたよ!
-やっと来た!
コメント欄に沢山のメッセージが溢れていた。明らかに彼らの配信を心待ちにしていたファンが多かったようだ。
「少し配信をお休みしていましたが、実は仲間たちの皆で旅行に行ってきた」
ハヤトがそう切り出すと、視聴者からの反応が一気に増えた。
-どこ行ったの?
-みんなで旅行いいなー
-写真見せて!
好奇心溢れるコメントが流れていく。
「海がとても綺麗で、美味しい料理もたくさん食べてきましたよ。異国の文化に触れるのは本当に刺激的でした」
莉々が続ける。具体的な場所は言わないようにしながら、船上での様子や景色の感想を語った。彼女の言葉からは、異世界とはまた違った文化や風景への純粋な驚きと喜びが伝わってくる。
「かなり満喫したな。また行きたい場所だ」
城介の喜びの声に、視聴者たちの反応。 視聴者たちは次々とコメントを送ってきた。
-本当に仲がいいんだね
-行ったのは海外?
-羨ましい
-ハヤトたちって普段から友達なの?
「そうだな、私たちは長い付き合いなんだ。いろんな困難も一緒に乗り越えてきた」
ハヤトはコメントに対して、さりげなく答える。自分たちは絆で結ばれた仲間だと。
しばらく雑談を続けてから、いよいよ本題に入る。
「それじゃあそろそろ」
改めて、莉々のアバターが前に出て注目を集める。彼女の表情には誇らしげな笑みが浮かんでいた。
「大事なお知らせがあります。皆さん、お待たせしました!」
画面が一瞬暗くなり、次に現れたのは彼らが開発してきたゲームのタイトル画面。そのゲームタイトルの下に、ハヤトたちのキャラクターがそろって立っている。
「以前から開発を進めていたゲームについて、いよいよ来週、正式公開します!」
コメント欄が一気に盛り上がった。
-待ってた
-やったー
-ついに来たか!
-絶対プレイする!
熱狂的な反応が画面を埋め尽くす。
「これまでベータテスターの皆さんから頂いたフィードバックを元に、最終調整を行ってきました」
莉々が公開する予定のゲームについて説明する。
「グラフィックスのブラッシュアップ、UIの改善、そしていくつかの隠し要素も追加しています。皆さんにとって、私たちの冒険がより鮮明に感じられるものになっているはずです」
ハヤトは彼女の横顔を見て、微笑んだ。ようやく完成させた喜びにあふれる彼女の嬉しそうな横顔。
「それでは、ゲームのトレーラー映像をご覧ください」
画面に流れ始めたのは、彼らの異世界での冒険を再現したゲーム映像だった。城介が編集したものだ。ハヤトが魔物と戦う場面、リリアが魔法を唱える瞬間、ジョンが敵の動きを分析する様子、セレスティアの治癒魔法、ガレットの鍛冶の技術。全てが美しいグラフィックで表現されていた。
見ていると引き込まれて、ゲームがプレイしたくなるようなトレーラーが終わると、視聴者からの反応は想像以上だった。
-すごい! やっぱり、クオリティ高すぎる!
-無料なの? 信じられない
-1週間、待ちきれない!
コメントが次々と流れていく。ハヤトたちは画面を通じて視聴者の反応を見ながら、互いに満足げな表情を交わした。
「皆さんの反応が嬉しいです。では、来週の公開をぜひお楽しみに!」
三人で最後の挨拶をして、配信を終了した。配信を終了して、スタジオ内に安堵のため息が漏れた。
「うまくいったな」
ハヤトが言った。
「ええ、反応も上々だったわ」
莉々が満足そうに頷く。
「最終確認も完了したし、後は公開を待つだけね」
三人はしばらくリラックスした雰囲気で話し合いを続けた。今日は参加できなかった剛と星華にも結果を報告しておいた。
この日の配信は、彼らのVtuber活動の中でも大きな節目となるものだった。そして来週のゲーム公開は、さらに大きな一歩になるだろう。
「おはようございます」
入り口で元気よく挨拶すると、すぐに反応があった。
「おお、佐藤君! 久しぶりだな。休暇はどうだった?」
安元社長がデスクから顔を上げて笑顔で応える。
「はい、満喫させてもらいました。友人と旅行でアジア各国を巡って、いい気分転換になりました。これ、旅行のお土産です。よければ、どうぞ」
ハヤトはバッグから小さな包みを取り出した。シンガポールで購入した高級茶葉のセットだ。城介のアドバイスで選んだもの。
「おお、いただくよ。気を遣わせてすまないね」
安元社長は丁寧に包みを受け取ると、嬉しそうに中身を確認した。
「うん。とても良い香りだ、ありがとう。さて今日からまた、実践形式の訓練を頼むよ。君の指導のお陰で、社員の能力も上がっている。頼りにしているよ」
ハヤトは頷き、更衣室に向かった。同僚たちと挨拶してお土産を配ったりしながら、訓練用の服装に着替えてからトレーニングルームに向かった。久しぶりに触れる練習用マットの感触、壁に並べられた防具類、そして窓から見える訓練場。
「お疲れ様です、佐藤さん」
数人の若手警備員が声をかけてきた。彼らは、ハヤトの指導を心待ちにしていたようだった。
「佐藤さん、この間教えていただいた動き、少し練習してみたんですが、上手くできなくて……」
「そうか、では今日改めて教えよう。基本のフォームからだな」
そうして午前中は主に若手への基本指導を行った。ハヤトは異世界での戦いの経験を直接伝えることはできないが、そこで培った技術の本質を、現代の警備技術として伝えることはできる。相手の動きを読み、隙を見つけ、最小限の力で制する。そんな技術を実践形式で、丁寧に教えていった。
午後も引き続き、彼は警備員たちに実践形式の護身術トレーニングを行った。久しぶりの運動だったが、体は全く衰えていない。むしろ、旅行でリフレッシュした分、より一層動きが軽快になっていた。
「はぁ、はぁ。佐藤さん、休暇中も相当トレーニングされていたんですか?」
午後から指導をした相手が息を切らしながら尋ねる。三十分ほどのトレーニングでハヤトを相手にしていた全員が汗だくになっているのに対して、ハヤトはまだ余裕の表情だった。
「いや、特に何もしていないよ。軽く体は動かしていたけどね」
クルーズ船の中でも毎朝、ストレッチや簡単な型の練習を欠かさなかった。時間があればトレーニングルームで体も動かした。だけど、彼にとってはそれは「特に何もしていない」に等しかった。
「はぁ、はぁ。冗談じゃないですよ……それで、そんなとんでもない体力……」
「はー、ふー。ついていくのが、やっとだ」
「うぅ。佐藤さんは、やっぱり別格ですよ」
ちょっと引き気味の社員たちにハヤトは苦笑した。異世界で鍛えられた体は、休暇程度で衰えるものではなかった。
仕事を終えて会社を出たハヤトは、夕食を軽く済ませた後、夜になってからIVEのスタジオに向かった。その日は城介と莉々の二人が先に来ていた。莉々は配信用の機材を確認し、城介はタブレットで何かの資料に目を通している。
「やあ、ハヤト。仕事はどうだった?」
城介がタブレットから顔を上げて尋ねる。
「順調だったよ。皆元気にしていた。おすすめしてもらったお土産も喜んでもらえたし」
「そう、それは良かった」
城介と会話をしていると、莉々が振り返り二人の会話に加わる。この後の配信について。
「久しぶりの配信だから、旅行から帰ってきた報告をしましょう」
「いいね。でも身バレには気をつけないと」
莉々の提案に、城介が冷静にアドバイス。
「あまり具体的な場所や名前などは出さないほうが良いか」
ハヤトも同意して、どう話そうか考える。海外旅行という事実は伝えても良いが、クルーズ船のような特定につながる情報は避けるべきだろう。結局、「仲間と一緒に海外へ旅行に行った」程度の表現にすることに決めた。
配信を始めると、いつものように大勢の視聴者が集まっていた。休暇前に比べて、さらに視聴者数が増えているように見える。
「みなさん、こんばんは! ハヤトです。久しぶりの配信になりました」
ハヤトのアバターが画面上で元気よく手を振る。
「リリアです! お久しぶりです、皆さん。待たせてごめんなさい」
「ジョンだ。皆、元気だったか」
続けて莉々と城介のアバターたちも画面上で挨拶を交わす。
-おかえり!
-待ってたよ!
-やっと来た!
コメント欄に沢山のメッセージが溢れていた。明らかに彼らの配信を心待ちにしていたファンが多かったようだ。
「少し配信をお休みしていましたが、実は仲間たちの皆で旅行に行ってきた」
ハヤトがそう切り出すと、視聴者からの反応が一気に増えた。
-どこ行ったの?
-みんなで旅行いいなー
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好奇心溢れるコメントが流れていく。
「海がとても綺麗で、美味しい料理もたくさん食べてきましたよ。異国の文化に触れるのは本当に刺激的でした」
莉々が続ける。具体的な場所は言わないようにしながら、船上での様子や景色の感想を語った。彼女の言葉からは、異世界とはまた違った文化や風景への純粋な驚きと喜びが伝わってくる。
「かなり満喫したな。また行きたい場所だ」
城介の喜びの声に、視聴者たちの反応。 視聴者たちは次々とコメントを送ってきた。
-本当に仲がいいんだね
-行ったのは海外?
-羨ましい
-ハヤトたちって普段から友達なの?
「そうだな、私たちは長い付き合いなんだ。いろんな困難も一緒に乗り越えてきた」
ハヤトはコメントに対して、さりげなく答える。自分たちは絆で結ばれた仲間だと。
しばらく雑談を続けてから、いよいよ本題に入る。
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ハヤトは彼女の横顔を見て、微笑んだ。ようやく完成させた喜びにあふれる彼女の嬉しそうな横顔。
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「皆さんの反応が嬉しいです。では、来週の公開をぜひお楽しみに!」
三人で最後の挨拶をして、配信を終了した。配信を終了して、スタジオ内に安堵のため息が漏れた。
「うまくいったな」
ハヤトが言った。
「ええ、反応も上々だったわ」
莉々が満足そうに頷く。
「最終確認も完了したし、後は公開を待つだけね」
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