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第24話 失う恐怖 ※偽聖女エリーゼ視点
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やっぱり、エリック様を怒らせてしまった。
「お前まで、そんなことを言うのか!?」
エリック様の冷たい声が、今も耳にこびりついて離れない。言ってしまった後で後悔したけど、もう遅い。瞳に宿った失望の色が、胸に鋭いナイフのように刺さる。
だから、嫌だったのよ。神殿からの資金援助のお願いなんて、最初から口に出したくなかった。せっかくの二人きりの甘い時間なのに、どうしてこんな話をしなければならないの?
全部、神殿の連中が悪いんだから。あの老賢者たちに言われたから、仕方なく伝えただけ。「聖女様から頼めば、王子様も断れないでしょう」なんて偉そうに言ってきて、私を利用したのよ。
どうして私が、神殿の責任を押し付けられるのかしら? 私は聖女よ。国中の人々から尊敬される存在なの。そんな私が、お金の心配なんかしなくてはいけないの? それって、老賢者たちの仕事でしょ?
あの老賢者どもは本当に役に立たない。私が聖女として祝福や治癒をしているのに、財政管理もできないなんて。どうして私が自分の仕事以外で、彼らの尻拭いをしないといけないのよ。本来なら立場が逆でしょう? 聖女である私を彼らが助けてくれないと困るわ。
でも、あれだけしつこくお願いされて、断ったら神殿での立場が悪くなるかもしれない。それが嫌だから、お願いを聞いただけなのに。お願いなんて無視すればよかった。エリック様に伝えるべきじゃなかった……。
こんな大事な時期に、彼から見捨てられたら終わりよ。せっかく聖女に選ばれて、エリック様との婚約も決まって、幸せになれると思ったのに。そうなったら、老賢者の連中はどう責任を取るつもりなの?
これは私だけの問題じゃなく、神殿全体の問題。もしかしたら、王家は神殿を見捨てるかもしれない。エリック様の冷たい態度を見ていると、そんな気がする。王子である彼が、あそこまで不快感を露わにするなんて。
それは、最悪な状況。もしも神殿が王家の庇護を失えば、私の地位だって危うくなる。それなら、私が聖女の座に上り詰めたのは無駄だったの? こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
部屋に戻ってから、大きな姿見の前に立ち、自分の姿を見つめた。純白のドレスに身を包んだ聖女。金色の髪は丁寧にセットされ、首元の聖印が銀色に光っている。この姿で、私は多くの人たちを救ってきた。でも、正直なところ、聖女の仕事は面倒だわ。朝から晩まで次から次へと仕事が押し寄せてくる。
祝福をして、治癒をして、祈りを捧げて……。いつになったら、私の時間ができるの? もっと、エリック様との甘い時間が欲しいのに。貴婦人のように、おしゃれをして、お茶会に参加して、優雅に暮らしたいのに。
婚約を破棄される恐怖が押し寄せてくる。絶対に嫌だわ。エリック王子の婚約者であり、次期王妃になるという私の夢を奪わせるわけにはいかない。それは私の人生の全てなんだから。
どれだけ高い地位の貴族でも、王妃の権力には敵わない。豪華な宮殿で暮らし、美しいドレスを着て、宝石を身につけ、優雅で贅沢な暮らしが待っている。それを手放すなんて、考えられない。
だけど、今日の彼の態度は明らかに違った。いつもの優しい微笑みがなくて、氷のように冷たい目で私を見ていた。「これ以上失望させないでくれないか?」なんて、まるで心にもない相手に向けるような、ひどい言葉を投げかけられて。
泣いて何とか許してもらったけど、本当に許してくれたのかしら? それとも、ただ面倒くさくなっただけ? 彼が私を抱きしめてくれた時の感触は、どこか形式的で温かみがなかった気がして。エリック様の気持ちが、どんどん離れていくような気がして恐ろしい。
神殿と王家の板挟みになるなんて、こんなはずじゃなかったわ。私が聖女になって、エリック様と結ばれるはずだった。それだけのシンプルな幸せを求めていただけなのに。どうしてこんなに複雑になってしまったの?
どうにかしないと。どうにかして、この状況を変えなくちゃ!
私はエリック様との関係を修復するために、何かできることはないか必死に考え始めた。まずは神殿からの余計な頼みごとは今後すべて断ること。決して、二度と彼に迷惑をかけるような話は持ち出さない。それから、もっとエリック様に尽くして、彼を喜ばせること。新しい美しいドレスを着て、より可愛らしく振る舞って、彼の心を取り戻すの。
神殿の問題は神殿だけで解決させること。もう二度と、私とエリック様の関係に水を差すようなことはさせない。老賢者たちには強く出なきゃ。聖女は私なのだから、彼らは私の言うことを聞くべきよ。私の方が立場は上で、偉いんだから。
神殿での評判が悪くなっても構わない。むしろ、王妃になった方が力は大きいのだから、神殿のことなど気にする必要はないわ。優先順位を間違えない。王妃の座こそが、私の目指すべき場所。
そう、これでいいの。私はエリック様の心を取り戻し、次期王妃の座を守り抜く。それが何より大切なことだわ。聖女の責任なんて、最初から全く興味がなかったんだから。
聖女としての義務など、もうどうでもいい。私が欲しいのは王妃の座だけ。それだけは、絶対に誰にも譲れない。私の幸せこそが最優先よ。
「お前まで、そんなことを言うのか!?」
エリック様の冷たい声が、今も耳にこびりついて離れない。言ってしまった後で後悔したけど、もう遅い。瞳に宿った失望の色が、胸に鋭いナイフのように刺さる。
だから、嫌だったのよ。神殿からの資金援助のお願いなんて、最初から口に出したくなかった。せっかくの二人きりの甘い時間なのに、どうしてこんな話をしなければならないの?
全部、神殿の連中が悪いんだから。あの老賢者たちに言われたから、仕方なく伝えただけ。「聖女様から頼めば、王子様も断れないでしょう」なんて偉そうに言ってきて、私を利用したのよ。
どうして私が、神殿の責任を押し付けられるのかしら? 私は聖女よ。国中の人々から尊敬される存在なの。そんな私が、お金の心配なんかしなくてはいけないの? それって、老賢者たちの仕事でしょ?
あの老賢者どもは本当に役に立たない。私が聖女として祝福や治癒をしているのに、財政管理もできないなんて。どうして私が自分の仕事以外で、彼らの尻拭いをしないといけないのよ。本来なら立場が逆でしょう? 聖女である私を彼らが助けてくれないと困るわ。
でも、あれだけしつこくお願いされて、断ったら神殿での立場が悪くなるかもしれない。それが嫌だから、お願いを聞いただけなのに。お願いなんて無視すればよかった。エリック様に伝えるべきじゃなかった……。
こんな大事な時期に、彼から見捨てられたら終わりよ。せっかく聖女に選ばれて、エリック様との婚約も決まって、幸せになれると思ったのに。そうなったら、老賢者の連中はどう責任を取るつもりなの?
これは私だけの問題じゃなく、神殿全体の問題。もしかしたら、王家は神殿を見捨てるかもしれない。エリック様の冷たい態度を見ていると、そんな気がする。王子である彼が、あそこまで不快感を露わにするなんて。
それは、最悪な状況。もしも神殿が王家の庇護を失えば、私の地位だって危うくなる。それなら、私が聖女の座に上り詰めたのは無駄だったの? こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
部屋に戻ってから、大きな姿見の前に立ち、自分の姿を見つめた。純白のドレスに身を包んだ聖女。金色の髪は丁寧にセットされ、首元の聖印が銀色に光っている。この姿で、私は多くの人たちを救ってきた。でも、正直なところ、聖女の仕事は面倒だわ。朝から晩まで次から次へと仕事が押し寄せてくる。
祝福をして、治癒をして、祈りを捧げて……。いつになったら、私の時間ができるの? もっと、エリック様との甘い時間が欲しいのに。貴婦人のように、おしゃれをして、お茶会に参加して、優雅に暮らしたいのに。
婚約を破棄される恐怖が押し寄せてくる。絶対に嫌だわ。エリック王子の婚約者であり、次期王妃になるという私の夢を奪わせるわけにはいかない。それは私の人生の全てなんだから。
どれだけ高い地位の貴族でも、王妃の権力には敵わない。豪華な宮殿で暮らし、美しいドレスを着て、宝石を身につけ、優雅で贅沢な暮らしが待っている。それを手放すなんて、考えられない。
だけど、今日の彼の態度は明らかに違った。いつもの優しい微笑みがなくて、氷のように冷たい目で私を見ていた。「これ以上失望させないでくれないか?」なんて、まるで心にもない相手に向けるような、ひどい言葉を投げかけられて。
泣いて何とか許してもらったけど、本当に許してくれたのかしら? それとも、ただ面倒くさくなっただけ? 彼が私を抱きしめてくれた時の感触は、どこか形式的で温かみがなかった気がして。エリック様の気持ちが、どんどん離れていくような気がして恐ろしい。
神殿と王家の板挟みになるなんて、こんなはずじゃなかったわ。私が聖女になって、エリック様と結ばれるはずだった。それだけのシンプルな幸せを求めていただけなのに。どうしてこんなに複雑になってしまったの?
どうにかしないと。どうにかして、この状況を変えなくちゃ!
私はエリック様との関係を修復するために、何かできることはないか必死に考え始めた。まずは神殿からの余計な頼みごとは今後すべて断ること。決して、二度と彼に迷惑をかけるような話は持ち出さない。それから、もっとエリック様に尽くして、彼を喜ばせること。新しい美しいドレスを着て、より可愛らしく振る舞って、彼の心を取り戻すの。
神殿の問題は神殿だけで解決させること。もう二度と、私とエリック様の関係に水を差すようなことはさせない。老賢者たちには強く出なきゃ。聖女は私なのだから、彼らは私の言うことを聞くべきよ。私の方が立場は上で、偉いんだから。
神殿での評判が悪くなっても構わない。むしろ、王妃になった方が力は大きいのだから、神殿のことなど気にする必要はないわ。優先順位を間違えない。王妃の座こそが、私の目指すべき場所。
そう、これでいいの。私はエリック様の心を取り戻し、次期王妃の座を守り抜く。それが何より大切なことだわ。聖女の責任なんて、最初から全く興味がなかったんだから。
聖女としての義務など、もうどうでもいい。私が欲しいのは王妃の座だけ。それだけは、絶対に誰にも譲れない。私の幸せこそが最優先よ。
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