2 / 12
第2話 初めての出会いと成長
しおりを挟む
「初めまして、アンセルム様。私は、デュフォール公爵家のミレイユです。よろしくおねがいします」
「あぁ、初めまして。俺はアンセルム。よろしく頼む」
アンセルム王子と初めて顔合わせしたのは、私が九歳の時だった。将来二人が結婚することが決まってから、初めての出会い。初めて言葉を交わした日。
その時の私は、恋という感情を理解していなかったのだろう。結婚というものを、正しく理解していなかったと思う。それでも私は王子の婚約相手として、彼を支え、尽くしていかねばならないと決意したのを覚えている。
「俺の後ろにいるのは、一緒に育てられた義弟のエリオットだ。コイツは見ての通り引っ込み思案な奴だけど、俺と一緒に居ることが多い。だから君は、エリオットとも仲良くしてやってくれ」
「エ、エリオットと申します……。よろしく、お願いします」
アンセルム王子の背中に隠れながら挨拶をする少年。消え入りそうな小さな声で、身体をビクビクと震わせて緊張しているのが見て分かった。
私は彼と視線を合わせて、丁寧に挨拶する。彼を怖がらせないように注意をして、少しお姉さんぶって。
「こちらこそ、よろしくおねがいしますね。共に、アンセルム様を支える者として、力を合わせていきましょう」
「は、はい! が、頑張りますッ!」
アンセルム様が言った通り、私達は三人で定期的な交流を続けることになった。
最初は、あんなに弱気な男の子だったエリオットも、時がたつにつれて立派に成長した。背筋が伸びて、寡黙だけど落ち着いた立派な青年になっていた。
エリオットは、魔法士としての才能を開花させた。天才と呼ばれるようになった彼は、美しく整った顔立ち。
才能があり、見た目も良いエリオットは多くの令嬢達に注目されて、噂の的になるほどだ。彼と一緒に居ることが多かった私も、彼に惚れた女性たちから嫉妬されたりしたこともあった。アンセルム様という婚約相手が居たというのに。
それから、アンセルム様も青年になって色々と変化した。
彼は常に、王族という立場にプレッシャーを感じていた。立派な王になるために、幼い頃は勉強を必死に頑張った。それなのに、努力に見合った成長は出来なかった。
歴代の王達と比較されたり、色々と批判された。そして次第に彼は、色々と不満を募らせていく。
私は、アンセルム王子の婚約者として彼の支えとなるために頑張った。お妃教育に打ち込み、将来は彼の感じているプレッシャーを和らげられるように。
幼馴染であるエリオットと協力して、少しでも王子の力になりたいと思って、毎日努力してきた。
「あぁ、初めまして。俺はアンセルム。よろしく頼む」
アンセルム王子と初めて顔合わせしたのは、私が九歳の時だった。将来二人が結婚することが決まってから、初めての出会い。初めて言葉を交わした日。
その時の私は、恋という感情を理解していなかったのだろう。結婚というものを、正しく理解していなかったと思う。それでも私は王子の婚約相手として、彼を支え、尽くしていかねばならないと決意したのを覚えている。
「俺の後ろにいるのは、一緒に育てられた義弟のエリオットだ。コイツは見ての通り引っ込み思案な奴だけど、俺と一緒に居ることが多い。だから君は、エリオットとも仲良くしてやってくれ」
「エ、エリオットと申します……。よろしく、お願いします」
アンセルム王子の背中に隠れながら挨拶をする少年。消え入りそうな小さな声で、身体をビクビクと震わせて緊張しているのが見て分かった。
私は彼と視線を合わせて、丁寧に挨拶する。彼を怖がらせないように注意をして、少しお姉さんぶって。
「こちらこそ、よろしくおねがいしますね。共に、アンセルム様を支える者として、力を合わせていきましょう」
「は、はい! が、頑張りますッ!」
アンセルム様が言った通り、私達は三人で定期的な交流を続けることになった。
最初は、あんなに弱気な男の子だったエリオットも、時がたつにつれて立派に成長した。背筋が伸びて、寡黙だけど落ち着いた立派な青年になっていた。
エリオットは、魔法士としての才能を開花させた。天才と呼ばれるようになった彼は、美しく整った顔立ち。
才能があり、見た目も良いエリオットは多くの令嬢達に注目されて、噂の的になるほどだ。彼と一緒に居ることが多かった私も、彼に惚れた女性たちから嫉妬されたりしたこともあった。アンセルム様という婚約相手が居たというのに。
それから、アンセルム様も青年になって色々と変化した。
彼は常に、王族という立場にプレッシャーを感じていた。立派な王になるために、幼い頃は勉強を必死に頑張った。それなのに、努力に見合った成長は出来なかった。
歴代の王達と比較されたり、色々と批判された。そして次第に彼は、色々と不満を募らせていく。
私は、アンセルム王子の婚約者として彼の支えとなるために頑張った。お妃教育に打ち込み、将来は彼の感じているプレッシャーを和らげられるように。
幼馴染であるエリオットと協力して、少しでも王子の力になりたいと思って、毎日努力してきた。
171
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!
たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」
「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」
「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」
「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」
なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ?
この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて
「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。
頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。
★軽い感じのお話です
そして、殿下がひたすら残念です
広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います
(完結)婚約解消は当然でした
青空一夏
恋愛
エヴァリン・シャー子爵令嬢とイライジャ・メソン伯爵は婚約者同士。レイテ・イラ伯爵令嬢とは従姉妹。
シャー子爵家は大富豪でエヴァリンのお母様は他界。
お父様に溺愛されたエヴァリンの恋の物語。
エヴァリンは婚約者が従姉妹とキスをしているのを見てしまいますが、それは・・・・・・
婚約破棄をした相手方は知らぬところで没落して行きました
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢だったアンネリーは婚約者であり、侯爵でもあるスティーブンに真実の愛がどうたらという理由で婚約破棄されてしまった。
悲しみに暮れたアンネリーだったが、偶々、公爵令息のジョージと再会し交流を深めていく。
アンネリーがジョージと楽しく生活をしている中、真実の愛に目覚めたらしいスティーブンには様々な災厄? が降りかかることになり……まさに因果応報の事態が起きるのであった。
王子が親友を好きになり婚約破棄「僕は本当の恋に出会えた。君とは結婚できない」王子に付きまとわれて迷惑してる?衝撃の真実がわかった。
佐藤 美奈
恋愛
セシリア公爵令嬢とヘンリー王子の婚約披露パーティーが開かれて以来、彼の様子が変わった。ある日ヘンリーから大事な話があると呼び出された。
「僕は本当の恋に出会ってしまった。もう君とは結婚できない」
もうすっかり驚いてしまったセシリアは、どうしていいか分からなかった。とりあえず詳しく話を聞いてみようと思い尋ねる。
先日の婚約披露パーティーの時にいた令嬢に、一目惚れしてしまったと答えたのです。その令嬢はセシリアの無二の親友で伯爵令嬢のシャロンだったというのも困惑を隠せない様子だった。
結局はヘンリーの強い意志で一方的に婚約破棄したいと宣言した。誠実な人柄の親友が裏切るような真似はするはずがないと思いシャロンの家に会いに行った。
するとヘンリーがシャロンにしつこく言い寄っている現場を目撃する。事の真実がわかるとセシリアは言葉を失う。
ヘンリーは勝手な思い込みでシャロンを好きになって、つきまとい行為を繰り返していたのだ。
婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください
satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。
私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…
婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。
久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」
煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。
その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。
だったら良いでしょう。
私が綺麗に断罪して魅せますわ!
令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
貴方との婚約は破棄されたのだから、ちょっかいかけてくるのやめてもらっても良いでしょうか?
ツキノトモリ
恋愛
伯爵令嬢エリヴィラは幼馴染で侯爵令息のフィクトルと婚約した。婚約成立後、同じ学校に入学した二人。フィクトルは「婚約者とバレたら恥ずかしい」という理由でエリヴィラに学校では話しかけるなと言う。しかし、自分はエリヴィラに話しかけるし、他の女子生徒とイチャつく始末。さらに、エリヴィラが隣のクラスのダヴィドと話していた時に邪魔してきた上に「俺以外の男子と話すな」とエリヴィラに言う。身勝手なことを言われてエリヴィラは反論し、フィクトルと喧嘩になって最終的に婚約は白紙に戻すことに。だが、婚約破棄後もフィクトルはエリヴィラにちょっかいをかけてきて…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる