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第11話 我慢の限界
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話し合いが終わり、アンセルム元王子は兵士に連れて行かれた。今回の騒動の原因となったディアヌと、彼の取り巻き達も一緒に連行される。
「陛下に、今回の件について報告しに行きましょうか」
「そうね」
エリオットに促されて、彼と一緒に舞踏会の会場を出る。これから陛下に、今回の件について報告しに行く。足取りが重い。とても憂鬱だった。
「あぁ、もう! 本当に予想通りになるなんて、嫌になるわね!」
廊下を歩きながら、私の口から文句が漏れてしまう。抑えることが出来なかった。
「彼が、他の女に夢中になっているのは分かっていた。あんな馬鹿なことをやるかもしれないって、予想していたわよ。でも、まさか本当にやってしまうなんて……」
婚約することが決まった時から今までずっと、私はアンセルム王子のことを考えてきた。彼を支えて、尽くすために。何を思っているのか、どんな事を求めているのか言われなくても分かるぐらい深く、アンセルム王子のことを理解していた。
だからこそ、あんな事になるだろう、と予想することが出来た。陛下と相談して、書状まで前もって用意していた。
もしかしたら、今回の事態を収めるために、もっと良い方法があるかもしれない。終わってしまった今でも、それを考えてしまう。私は、最悪な方法を選んでしまったのかもしれない。後悔していた。
「ミレイユ」
エリオットが、優しく私の名前を呼ぶ。何かと思って見上げると、彼は私の目元に指を当てた。私の瞳から、一粒の小さな涙がこぼれていたから。
頬を流れる涙を、彼が拭ってくれた。自分が泣いていたことに気付く。
「情けないわ。……婚約破棄を告げられることは覚悟していたし、計画していた通り実行することも出来た。全て想定していた通り。それなのに……」
「仕方ないさ。ミレイユは今までずっと、王子の婚約相手として努力してきたから。彼を支えるために頑張って、精一杯尽くしてきた。それを裏切られて、悲しいと思うのは当たり前の感情だ」
なんとか我慢しょうとしたけれど、エリオットに追い打ちをかけられる。それで、耐えられなくなった。
「うっ、うっ、うえぇぇぇん!」
廊下で立ち尽くし、私は子どものように無遠慮に泣きじゃくってしまった。瞳からぼろぼろと涙が零れ落ちる。目の前にエリオットが居るのに、恥ずかしいと思っても止めることが出来なかった。
「あ、えっと、ごめん! 私のせいで、泣かせてしまって」
オロオロするエリオット。貴方のせいじゃない。だけど今はとても悲しくて、涙や泣き声が止められなくて、彼の勘違いを訂正することは出来なかった。
「陛下に、今回の件について報告しに行きましょうか」
「そうね」
エリオットに促されて、彼と一緒に舞踏会の会場を出る。これから陛下に、今回の件について報告しに行く。足取りが重い。とても憂鬱だった。
「あぁ、もう! 本当に予想通りになるなんて、嫌になるわね!」
廊下を歩きながら、私の口から文句が漏れてしまう。抑えることが出来なかった。
「彼が、他の女に夢中になっているのは分かっていた。あんな馬鹿なことをやるかもしれないって、予想していたわよ。でも、まさか本当にやってしまうなんて……」
婚約することが決まった時から今までずっと、私はアンセルム王子のことを考えてきた。彼を支えて、尽くすために。何を思っているのか、どんな事を求めているのか言われなくても分かるぐらい深く、アンセルム王子のことを理解していた。
だからこそ、あんな事になるだろう、と予想することが出来た。陛下と相談して、書状まで前もって用意していた。
もしかしたら、今回の事態を収めるために、もっと良い方法があるかもしれない。終わってしまった今でも、それを考えてしまう。私は、最悪な方法を選んでしまったのかもしれない。後悔していた。
「ミレイユ」
エリオットが、優しく私の名前を呼ぶ。何かと思って見上げると、彼は私の目元に指を当てた。私の瞳から、一粒の小さな涙がこぼれていたから。
頬を流れる涙を、彼が拭ってくれた。自分が泣いていたことに気付く。
「情けないわ。……婚約破棄を告げられることは覚悟していたし、計画していた通り実行することも出来た。全て想定していた通り。それなのに……」
「仕方ないさ。ミレイユは今までずっと、王子の婚約相手として努力してきたから。彼を支えるために頑張って、精一杯尽くしてきた。それを裏切られて、悲しいと思うのは当たり前の感情だ」
なんとか我慢しょうとしたけれど、エリオットに追い打ちをかけられる。それで、耐えられなくなった。
「うっ、うっ、うえぇぇぇん!」
廊下で立ち尽くし、私は子どものように無遠慮に泣きじゃくってしまった。瞳からぼろぼろと涙が零れ落ちる。目の前にエリオットが居るのに、恥ずかしいと思っても止めることが出来なかった。
「あ、えっと、ごめん! 私のせいで、泣かせてしまって」
オロオロするエリオット。貴方のせいじゃない。だけど今はとても悲しくて、涙や泣き声が止められなくて、彼の勘違いを訂正することは出来なかった。
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