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10年ぶりの白けた会話③
私の今の名前であるエリザベス、と呼んでくれる男性。私は椅子から立ち上がると、部屋に入ってきたフィリップの側へ近づき、キスをする。それから、今まで話し合いをしていたアウレリオに向き直った。
憎々しげな視線を、フィリップに向けるアウレリオ。私がフィリップについて説明しようと声を出す前に、元婚約者だったアウレリオが鋭く問いかけてきた。
「その男は誰だい、イザベラ?」
「私の夫であるフィリップですよ」
「どうも」
アウレリオから鋭い視線を向けられながら、荒々しい口調で質問。困惑したような顔を浮かべるフィリップ。そして、説明を求めて私の方へ顔を向ける。
(以前、話したことのある元婚約者だった人よ)
魔力を使った念話で、フィリップに来訪者について説明する。フィリップは、小さく頷いた。ちゃんと伝わったようだ。
それから彼は、席に座っているアウレリオの方へ身体を向けて言い放つ。
「僕はエリザベスの夫、フィリップだ。よろしく頼む」
「なんだって? 君は、結婚していたのか……?」
「えぇ、アウレリオ様。私とフィリップは8年前、夫婦になる誓いを立てました」
アウレリオの驚く顔。住んでいる家を突き止めるために私の事は色々と調べて知っていただろうに、今の私に夫が居る事を知らなかったのだろうか。
しかし、彼と話している間に思っていた以上に時間が過ぎてしまっていたようだ。
夫には関係のない私関連の問題だったので、夫を巻き込まないようにと思っていた。けれど対処が終わる前に、夫のフィリップが家に帰ってきてしまった。
本来の予定では、話し合いは速やかに終わらせて、なるべく早く彼に家から出ていってもらって、それから夕食の準備の続きをするつもりだった。それなのに、間に合わなかったか。
「エリザベス、先に夕食の準備をお願いするよ。俺は、腹が減った」
「……わかりました。先に、美味しい手料理を準備しておきます。アウレリオ様との話し合いは、後ほど」
「え? ぁ、ちょっ」
私がアウレリオに夫を紹介した後、腹が減ったと言う夫のために私は夕食の準備を進めようと、キッチンに戻ることにした。アウレリオとの話し合いよりも、夫の腹を満たすことの方が私にとって優先度が高かったから。
呼び止めるアウレリオの声を無視して、キッチンに戻ってから料理の続きを再開する。
私が抜けて、フィリップとアウレリオの2人だけになった。ダイニングのテーブルに向い合って座り、話し合いをしている夫と元婚約者だった人の話し声が、かすかに聞こえてくるだけ。
最初は、彼らの話を気にしつつ料理をしていたけれど、途中から夕食の調理に集中していた。気が付くと、ダイニングには夫のフィリップ1人だけが残って、テーブルに座って夕食の完成を待っていた。
「あれ、アウレリオ様は?」
「ちょっと話をしたら、彼は家を出ていったよ。それよりも夕食はできたのかい? 腹ペコだよ」
「そうなんですか。料理は完成したので、すぐにお出ししますね」
「あぁ、頼む」
どうやら、フィリップが話をつけてくれて元婚約者を追い払ってくれたようだ。
夕食が出来上がっても家に居座り続けるかも知れないと心配していたが、彼は帰ってくれたようでホッと安心した。流石、頼りになる夫である。
元々は私の問題だったのに、夫に解決を任せてしまうという結果になってしまった。ちょっとだけ心苦しいと思いつつ、私の代わりに素早く問題を処理してくれて、とても頼りになる夫だなと惚れ直した。
その後、夫との楽しい夕食時間を過ごした私。夕食前に巻き起こった、少し厄介な出来事は私の記憶からいつの間にか綺麗サッパリと消えていた。
憎々しげな視線を、フィリップに向けるアウレリオ。私がフィリップについて説明しようと声を出す前に、元婚約者だったアウレリオが鋭く問いかけてきた。
「その男は誰だい、イザベラ?」
「私の夫であるフィリップですよ」
「どうも」
アウレリオから鋭い視線を向けられながら、荒々しい口調で質問。困惑したような顔を浮かべるフィリップ。そして、説明を求めて私の方へ顔を向ける。
(以前、話したことのある元婚約者だった人よ)
魔力を使った念話で、フィリップに来訪者について説明する。フィリップは、小さく頷いた。ちゃんと伝わったようだ。
それから彼は、席に座っているアウレリオの方へ身体を向けて言い放つ。
「僕はエリザベスの夫、フィリップだ。よろしく頼む」
「なんだって? 君は、結婚していたのか……?」
「えぇ、アウレリオ様。私とフィリップは8年前、夫婦になる誓いを立てました」
アウレリオの驚く顔。住んでいる家を突き止めるために私の事は色々と調べて知っていただろうに、今の私に夫が居る事を知らなかったのだろうか。
しかし、彼と話している間に思っていた以上に時間が過ぎてしまっていたようだ。
夫には関係のない私関連の問題だったので、夫を巻き込まないようにと思っていた。けれど対処が終わる前に、夫のフィリップが家に帰ってきてしまった。
本来の予定では、話し合いは速やかに終わらせて、なるべく早く彼に家から出ていってもらって、それから夕食の準備の続きをするつもりだった。それなのに、間に合わなかったか。
「エリザベス、先に夕食の準備をお願いするよ。俺は、腹が減った」
「……わかりました。先に、美味しい手料理を準備しておきます。アウレリオ様との話し合いは、後ほど」
「え? ぁ、ちょっ」
私がアウレリオに夫を紹介した後、腹が減ったと言う夫のために私は夕食の準備を進めようと、キッチンに戻ることにした。アウレリオとの話し合いよりも、夫の腹を満たすことの方が私にとって優先度が高かったから。
呼び止めるアウレリオの声を無視して、キッチンに戻ってから料理の続きを再開する。
私が抜けて、フィリップとアウレリオの2人だけになった。ダイニングのテーブルに向い合って座り、話し合いをしている夫と元婚約者だった人の話し声が、かすかに聞こえてくるだけ。
最初は、彼らの話を気にしつつ料理をしていたけれど、途中から夕食の調理に集中していた。気が付くと、ダイニングには夫のフィリップ1人だけが残って、テーブルに座って夕食の完成を待っていた。
「あれ、アウレリオ様は?」
「ちょっと話をしたら、彼は家を出ていったよ。それよりも夕食はできたのかい? 腹ペコだよ」
「そうなんですか。料理は完成したので、すぐにお出ししますね」
「あぁ、頼む」
どうやら、フィリップが話をつけてくれて元婚約者を追い払ってくれたようだ。
夕食が出来上がっても家に居座り続けるかも知れないと心配していたが、彼は帰ってくれたようでホッと安心した。流石、頼りになる夫である。
元々は私の問題だったのに、夫に解決を任せてしまうという結果になってしまった。ちょっとだけ心苦しいと思いつつ、私の代わりに素早く問題を処理してくれて、とても頼りになる夫だなと惚れ直した。
その後、夫との楽しい夕食時間を過ごした私。夕食前に巻き起こった、少し厄介な出来事は私の記憶からいつの間にか綺麗サッパリと消えていた。
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