46 / 60
第5章 家族旅行編
第35話 旅館の夕食
しおりを挟む
温泉旅館に到着してから、まだ温泉には入らずに部屋で何をするでもなくダラダラ過ごしていると、旅館の人が部屋にやってきた。
「そろそろ、夕食の準備の方をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。お願いします」
どうやら、もうそんな時間になっていたらしい。香織さんが返事をすると、次々と料理が運ばれてくる。とても豪華な食事だ。この辺りは山の幸が有名らしく、山菜を使った和食が多いようだ。お肉も海鮮もあるようで、バラエティ豊かな感じである。
「息子様は、どうなさいましょう? 今から、お食事お持ちしましょうか?」
「え? 家族と一緒に食べるので、持ってきてください」
「わかりました。今すぐ、準備します」
急な質問の内容が、よく分からなかった。とりあえず僕の分の料理も部屋に持ってきてもらう。わざわざ時間をズラして食べる必要もないから。
「良かった。ちょうどいい時間だったか」
「腹減ったぁ!」
「美味しそうな料理ね」
食事が運ばれている途中に、春姉さんと沙希姉さん、紗綾姉さんの3人が部屋へと戻ってきた。その3人は、浴衣姿になっていた。どうやら温泉に入ってきたようで、少し髪も濡れている。それになんというか、かなり浴衣は色っぽいなぁと思った僕。ちょっと意識してしまいそうだ。
「気持ちよかったよ、ここの温泉」
春姉さんが皆に温泉の感想を言いながら、窓近くの席に座った。
「そうそう。かなり良かったぞ。夕飯も美味そうだし」
並べられていた豪華な食事を眺めて、沙希姉さんが待ちきれない様子で言った。
「皆の分が揃うまで、まだ食べちゃダメよ、沙希」
「わかってるよ」
香織さんが、沙希姉さんを注意する。目の前にある料理に手を伸ばそうとしていた沙希姉さんは、笑ってごまかしながら慌てて手を引っ込めた。
「準備が完了しました。それでは、どうぞお食事をごゆっくりお楽しみください」
「ありがとうございます」
人数分の食事を運び終えた時、旅館の従業員さんは挨拶すると部屋から出ていく。皆で合掌して、いただきますを言う。間髪入れずに、沙希姉さんが箸を手に食べ始めていた。
美味いと連呼しながら食べる沙希姉さんに続いて、皆もどんどん食べ始める。
僕はまず、海の幸を使ったサラダに手を付けた。新鮮な野菜を使っていて、とても新鮮でシャキシャキしている。それにドレッシングが絶妙な味になっていて、かなり美味しかった。次に食べた山菜のおひたしも、口の中に優しい風味が広がる感じだ。すごく良い味をしている。
どんどん食べ続ける沙希姉さん。春姉さんや紗綾姉さんも、箸を動かすスピードが結構早い。意外と2人は、よく食べるタイプだから。
葵はいつもの様に、じっくり時間をかけながら食べている。香織さんは、これからお酒も飲むみたいだ。せっかくなので、お酌をしてあげることにした。
横に座っている香織さんの日本酒を手に取り、言った。
「お酒、注いであげるよ」
「ありがとう、ゆうくん!」
かなり喜んでくれたみたいで、提案してみてよかったと思う。僕も一緒に飲めれば良かったけれど、年齢が20歳に達していないからダメ。精神的には、既に成人しているんだけどなぁ。
そんな風に考えながら、僕も食事を続ける。
かなり美味しい料理の数々。食材を活かしたまま調度良い味付けがされているな。とても腕が良い料理人が調理しているんだろう。素人だけど普段から料理をしている身として、とても分かる。料理のプロが作ったものなんだなってことが。
しばらく、黙々と食べ続ける。皆も、とくに会話せずに箸を動かしている。部屋に静かな時間が流れていく。
沙希姉さんが一番初めに食べ終わると、料理の感想を述べた。
「美味かったけど、どっちかって言うと優の料理のほうがいいなぁ」
「ありがとう。でも、ここの旅館の料理も美味しいよ」
素直に褒めてくれる沙希姉さんに、照れながらも礼を言った。彼女の言葉は嘘じゃないだろう。好みの観点があるとはいえ、やっぱり自分の作った料理の方が美味しいと言われるのは嬉しいな。
「旅館の料理は、素直に美味いっていうか。でも、愛情が足りないんだよね」
たしかに僕は、家族のための料理を作る時は気持ちを込めなから、なるべく丁寧に作るよう心がけている。それが愛情だと言われると、かなり照れるな。
「そうねぇ。でも、この小さなお鍋とか美味しくなかった?」
お酒の入った香織さんが若干酔ったような口調で、沙希姉さんに話しかける。それも確かに、美味しかった。
「うん! めちゃくちゃ美味しかったよ」
沙希姉さんが頷いて、返事をする。ちゃんと美味しかったらしいので、良かった。
そんな沙希姉さんに続いて、春姉さんや香織さん、紗綾姉さんに葵が食べ終わる。
最後に僕が全ての料理を食べ終わると満足して、皆でごちそうさまを言った。
「そろそろ、夕食の準備の方をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。お願いします」
どうやら、もうそんな時間になっていたらしい。香織さんが返事をすると、次々と料理が運ばれてくる。とても豪華な食事だ。この辺りは山の幸が有名らしく、山菜を使った和食が多いようだ。お肉も海鮮もあるようで、バラエティ豊かな感じである。
「息子様は、どうなさいましょう? 今から、お食事お持ちしましょうか?」
「え? 家族と一緒に食べるので、持ってきてください」
「わかりました。今すぐ、準備します」
急な質問の内容が、よく分からなかった。とりあえず僕の分の料理も部屋に持ってきてもらう。わざわざ時間をズラして食べる必要もないから。
「良かった。ちょうどいい時間だったか」
「腹減ったぁ!」
「美味しそうな料理ね」
食事が運ばれている途中に、春姉さんと沙希姉さん、紗綾姉さんの3人が部屋へと戻ってきた。その3人は、浴衣姿になっていた。どうやら温泉に入ってきたようで、少し髪も濡れている。それになんというか、かなり浴衣は色っぽいなぁと思った僕。ちょっと意識してしまいそうだ。
「気持ちよかったよ、ここの温泉」
春姉さんが皆に温泉の感想を言いながら、窓近くの席に座った。
「そうそう。かなり良かったぞ。夕飯も美味そうだし」
並べられていた豪華な食事を眺めて、沙希姉さんが待ちきれない様子で言った。
「皆の分が揃うまで、まだ食べちゃダメよ、沙希」
「わかってるよ」
香織さんが、沙希姉さんを注意する。目の前にある料理に手を伸ばそうとしていた沙希姉さんは、笑ってごまかしながら慌てて手を引っ込めた。
「準備が完了しました。それでは、どうぞお食事をごゆっくりお楽しみください」
「ありがとうございます」
人数分の食事を運び終えた時、旅館の従業員さんは挨拶すると部屋から出ていく。皆で合掌して、いただきますを言う。間髪入れずに、沙希姉さんが箸を手に食べ始めていた。
美味いと連呼しながら食べる沙希姉さんに続いて、皆もどんどん食べ始める。
僕はまず、海の幸を使ったサラダに手を付けた。新鮮な野菜を使っていて、とても新鮮でシャキシャキしている。それにドレッシングが絶妙な味になっていて、かなり美味しかった。次に食べた山菜のおひたしも、口の中に優しい風味が広がる感じだ。すごく良い味をしている。
どんどん食べ続ける沙希姉さん。春姉さんや紗綾姉さんも、箸を動かすスピードが結構早い。意外と2人は、よく食べるタイプだから。
葵はいつもの様に、じっくり時間をかけながら食べている。香織さんは、これからお酒も飲むみたいだ。せっかくなので、お酌をしてあげることにした。
横に座っている香織さんの日本酒を手に取り、言った。
「お酒、注いであげるよ」
「ありがとう、ゆうくん!」
かなり喜んでくれたみたいで、提案してみてよかったと思う。僕も一緒に飲めれば良かったけれど、年齢が20歳に達していないからダメ。精神的には、既に成人しているんだけどなぁ。
そんな風に考えながら、僕も食事を続ける。
かなり美味しい料理の数々。食材を活かしたまま調度良い味付けがされているな。とても腕が良い料理人が調理しているんだろう。素人だけど普段から料理をしている身として、とても分かる。料理のプロが作ったものなんだなってことが。
しばらく、黙々と食べ続ける。皆も、とくに会話せずに箸を動かしている。部屋に静かな時間が流れていく。
沙希姉さんが一番初めに食べ終わると、料理の感想を述べた。
「美味かったけど、どっちかって言うと優の料理のほうがいいなぁ」
「ありがとう。でも、ここの旅館の料理も美味しいよ」
素直に褒めてくれる沙希姉さんに、照れながらも礼を言った。彼女の言葉は嘘じゃないだろう。好みの観点があるとはいえ、やっぱり自分の作った料理の方が美味しいと言われるのは嬉しいな。
「旅館の料理は、素直に美味いっていうか。でも、愛情が足りないんだよね」
たしかに僕は、家族のための料理を作る時は気持ちを込めなから、なるべく丁寧に作るよう心がけている。それが愛情だと言われると、かなり照れるな。
「そうねぇ。でも、この小さなお鍋とか美味しくなかった?」
お酒の入った香織さんが若干酔ったような口調で、沙希姉さんに話しかける。それも確かに、美味しかった。
「うん! めちゃくちゃ美味しかったよ」
沙希姉さんが頷いて、返事をする。ちゃんと美味しかったらしいので、良かった。
そんな沙希姉さんに続いて、春姉さんや香織さん、紗綾姉さんに葵が食べ終わる。
最後に僕が全ての料理を食べ終わると満足して、皆でごちそうさまを言った。
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる