24 / 33
第24話 正体を明かして ※ギオマスラヴ王子視点
「どうするんですか? ここを通るのを諦めて、戻りますか?」
関所の兵士が、呑気に聞いてくる。ここは身分を明かして、頼むしかないようだ。俺は溜息をついて、王子であることを明かすことにした。ちゃんと話せば、王族から金を取るようなことはしないだろう。王国と帝国の関係にヒビを入れるような行為は避けるはず。
「実は、私はローレタウ王国の王子なのだ」
「はぁ……、王子様、ですか?」
丁寧な口調で身分を明かしたのに、関所を守る兵士の反応は鈍い。緊張感はなくて、気のない返事だった。とりあえず、俺は話し続ける。
「とある理由があって、ここを通りたい。だが、通行料を払うお金はない。だから、どうか金を払わずに通して欲しい」
「無理ですよ。通行料は、絶対に支払ってもらいます」
「はぁ!? な、なぜだっ!?」
「いや、なぜだと言われましても……」
関所の兵士は困ったように眉を寄せていた。通してくれと頼んでも、拒否された。そして面倒くさそうな態度。さすがにイラついてくる。どうして、こんな態度をとるんだ。
王子である俺に対して、失礼過ぎるぞ。
「貴方が本物の王子である証拠がありませんから」
「なんだと!?」
この俺を疑うなんて。偽物のはずないのに、信じられないのか。他国の兵士らしいが、隣国の王子の顔ぐらい覚えておけ。無礼ではないか。
「私は本物の王子だ!」
「ですが、そのような粗末な馬車で。お忍びの旅にしても、怪しいですよ」
「ぐっ。そ、それは……」
確かに、俺の乗っている馬車は質素だ。他の馬車が空いていなかったから、それに乗って来ただけ。しかし、それを詳しく説明してしまうと舐められてしまうだろう。王国の現状を知られたくはないのて、黙るしかなかった。
「それに貴方が本物の王子だったとしても、こちら側には何の関係もありませんね。事前に上から通すようにという通達があれば、指示に従いますが。何の連絡もない。だから、本当に王国の王子であっても通すわけにはいかないですよ」
淡々と説明する関所の兵士。融通は利かないらしい。そして、俺が王子であることも疑っている。これでは交渉しても、無理だろう。
強行突破は、どうだろうか。関所を守っている奴らを倒して、ここを通る。全員を処理すれば、バレないだろう。近衛騎士に確認すると、すぐに答えは返ってきた。
「そんなの絶対に無理です。勝てません」
「チッ」
戦う前から絶対に無理だと言って諦める近衛騎士に、苛立ちを覚える。これも無理だと。本当に使えない奴だ。戦う気もないなら、強行突破は無理だろうな。
ここまで来たのに、引き返すことになるなんて。本当に無駄な時間だった。
「わかった、もういい! おい、帰るぞ」
「……」
近衛騎士に命令して、馬車を反転させる。こうして俺達は、来た道を戻ることに。まさか、イステリッジ公爵家の当主に会うことも出来ないなんて。
だけど、諦めがついた。イステリッジ公爵家は裏切って、帝国に行った。これではもう、関係を戻すことは不可能。戻ってきても、その責任を取らせて廃嫡は確実だ。
それによく考えたら、王国には彼ら以外にも頼りになる貴族がいる。今まで続いてきた関係は捨てて、新たな関係を築くべきなんだ。そのことに気づくことが出来た。だから、今回の旅は無駄ではなかったはず。
関所の兵士が、呑気に聞いてくる。ここは身分を明かして、頼むしかないようだ。俺は溜息をついて、王子であることを明かすことにした。ちゃんと話せば、王族から金を取るようなことはしないだろう。王国と帝国の関係にヒビを入れるような行為は避けるはず。
「実は、私はローレタウ王国の王子なのだ」
「はぁ……、王子様、ですか?」
丁寧な口調で身分を明かしたのに、関所を守る兵士の反応は鈍い。緊張感はなくて、気のない返事だった。とりあえず、俺は話し続ける。
「とある理由があって、ここを通りたい。だが、通行料を払うお金はない。だから、どうか金を払わずに通して欲しい」
「無理ですよ。通行料は、絶対に支払ってもらいます」
「はぁ!? な、なぜだっ!?」
「いや、なぜだと言われましても……」
関所の兵士は困ったように眉を寄せていた。通してくれと頼んでも、拒否された。そして面倒くさそうな態度。さすがにイラついてくる。どうして、こんな態度をとるんだ。
王子である俺に対して、失礼過ぎるぞ。
「貴方が本物の王子である証拠がありませんから」
「なんだと!?」
この俺を疑うなんて。偽物のはずないのに、信じられないのか。他国の兵士らしいが、隣国の王子の顔ぐらい覚えておけ。無礼ではないか。
「私は本物の王子だ!」
「ですが、そのような粗末な馬車で。お忍びの旅にしても、怪しいですよ」
「ぐっ。そ、それは……」
確かに、俺の乗っている馬車は質素だ。他の馬車が空いていなかったから、それに乗って来ただけ。しかし、それを詳しく説明してしまうと舐められてしまうだろう。王国の現状を知られたくはないのて、黙るしかなかった。
「それに貴方が本物の王子だったとしても、こちら側には何の関係もありませんね。事前に上から通すようにという通達があれば、指示に従いますが。何の連絡もない。だから、本当に王国の王子であっても通すわけにはいかないですよ」
淡々と説明する関所の兵士。融通は利かないらしい。そして、俺が王子であることも疑っている。これでは交渉しても、無理だろう。
強行突破は、どうだろうか。関所を守っている奴らを倒して、ここを通る。全員を処理すれば、バレないだろう。近衛騎士に確認すると、すぐに答えは返ってきた。
「そんなの絶対に無理です。勝てません」
「チッ」
戦う前から絶対に無理だと言って諦める近衛騎士に、苛立ちを覚える。これも無理だと。本当に使えない奴だ。戦う気もないなら、強行突破は無理だろうな。
ここまで来たのに、引き返すことになるなんて。本当に無駄な時間だった。
「わかった、もういい! おい、帰るぞ」
「……」
近衛騎士に命令して、馬車を反転させる。こうして俺達は、来た道を戻ることに。まさか、イステリッジ公爵家の当主に会うことも出来ないなんて。
だけど、諦めがついた。イステリッジ公爵家は裏切って、帝国に行った。これではもう、関係を戻すことは不可能。戻ってきても、その責任を取らせて廃嫡は確実だ。
それによく考えたら、王国には彼ら以外にも頼りになる貴族がいる。今まで続いてきた関係は捨てて、新たな関係を築くべきなんだ。そのことに気づくことが出来た。だから、今回の旅は無駄ではなかったはず。
あなたにおすすめの小説
婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~
tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。
ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
心を病んでいるという嘘をつかれ追放された私、調香の才能で見返したら調香が社交界追放されました
er
恋愛
心を病んだと濡れ衣を着せられ、夫アンドレに離縁されたセリーヌ。愛人と結婚したかった夫の陰謀だったが、誰も信じてくれない。失意の中、亡き母から受け継いだ調香の才能に目覚めた彼女は、東の別邸で香水作りに没頭する。やがて「春風の工房」として王都で評判になり、冷酷な北方公爵マグナスの目に留まる。マグナスの支援で宮廷調香師に推薦された矢先、元夫が妨害工作を仕掛けてきたのだが?
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
悪女の私を愛さないと言ったのはあなたでしょう?今さら口説かれても困るので、さっさと離縁して頂けますか?
輝く魔法
恋愛
システィーナ・エヴァンスは王太子のキース・ジルベルトの婚約者として日々王妃教育に勤しみ努力していた。だがある日、妹のリリーナに嵌められ身に覚えの無い罪で婚約破棄を申し込まれる。だが、あまりにも無能な王太子のおかげで(?)冤罪は晴れ、正式に婚約も破棄される。そんな時隣国の皇太子、ユージン・ステライトから縁談が申し込まれる。もしかしたら彼に愛されるかもしれないー。そんな淡い期待を抱いて嫁いだが、ユージンもシスティーナの悪い噂を信じているようでー?
「今さら口説かれても困るんですけど…。」
後半はがっつり口説いてくる皇太子ですが結ばれません⭐︎でも一応恋愛要素はあります!ざまぁメインのラブコメって感じかなぁ。そういうのはちょっと…とか嫌だなって人はブラウザバックをお願いします(o^^o)更新も遅めかもなので続きが気になるって方は気長に待っててください。なお、これが初作品ですエヘヘ(о´∀`о)
優しい感想待ってます♪
他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。