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第30話 彼らの現状を知って
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王国へ向かう前に、情報を集めてもらった。ジャスター様にも相談をして、許可を得てから調べてもらう。私たちに婚約破棄を告げた、彼らの現状について。それからヒロインだった彼女が今、どうなっているのか。
「えぇ……!?」
集まってきた情報について、内容を確認した私は驚いた。
婚約破棄を告げられ、私たちが王国を離れた後に色々とあったみたい。婚約破棄を告げた男たちは、やらかしたようだ。王国に損害を与えるほどの大失敗を。
遠征任務の失敗に、宮廷魔術師が調達部と揉めて魔法研究がストップして、外交官と財務担当も揉めたりした。唯一、王城の管理を急遽担当した男は一時期だけ評価を上げた。しかし、勤務中に色々と文句を言いまくって評価を落としてしまったとか。彼らの友人である王子は、自分には関係ないと傍観を決め込む。その消極的な姿勢が、評価を下げた。
それなりに優秀で、将来有望だと期待されていた彼ら。その5人が全員、酷い事になっているらしい。どうして、そんなことに。
私たちが王国から去ったことが原因だろうか。パートナーを失って、本来の実力を発揮できなくなった。私たちの実家が、王家と疎遠になったことも影響しているのでしょう。支えがあったからこそ、彼らは今まで輝けていたのか。もしくは、そもそも本来の実力が足りなかったのか。
それ以外に、何か要因が。
とにかく、彼らに対する周囲の評価がガクッと下がった。その後も名誉挽回しようと頑張ったみたいだけど、それも失敗。空回りして、損害を大きくしてしまったみたい。
その結果、王子とヒロインが責任を追及されることになった。ラドグリアの王が命じて、王子は拘束されたようだ。現在も牢屋に監禁されている状態らしい。まさか、あの王がそんな判断を下すなんて。
ついでに、ヒロインの令嬢も監禁されているらしい。彼女も、そんなことになっているのね。攻略対象を華麗に全員落として、逆ハーレムエンドを完全攻略したのに。
やはり、ここはゲームの世界とは違うようね。原作が終わり、自由になったのか。そもそも、本編に関わるキャラクターが王国から離れて別の国へ行くなんて展開は、一切なかった。この先どうなるのか、未来は誰にもわからない。
元婚約相手に関する情報を仲間たちにも共有しておいた。だが、彼女たちは興味がないようだ。
「あら、そう」
「彼ら、そんな事になっているのね」
「大変そう」
「そんなことより、エレノラは本当に王国へ行くの? 危険じゃない?」
彼女たちは、今が充実している。昔のことは、もうどうでもいいらしい。それよりも、私が王国へ行くことが心配みたい。
「誰かが行かないと、面倒なことになるかもしれないからね。ジャスター様も、皇帝陛下の代理として王国へ行くことになったから」
「それなら、私たちも招待されているから一緒に」
フローラの言葉に、私は首を横に振った。ここに居る全員が招待されているけど、全員で行く必要はないだろう。
「王国に行くのは、一人で十分だと思う。みんなは、帝国で待っていて」
「でも」
「大丈夫、安心して。ジャスター様が必ず守るって約束してくれたからね。それに、いざという時は全力で逃げるわよ。無理なんかしない」
いつも通り不安そうなフローラに、私は自信たっぷりに答えた。そんな私の顔を見て、リゼットが口を開く。
「フローラ、エレノラは覚悟を決めてるみたいだし、これ以上言っても無駄みたいよ。無理やりついて行っても、足手まといになりかねないし。だから、後を任せるのがいいんじゃないかしら」
「……そうね。エレノラに任せるから、気をつけなさいよ」
「絶対に、戻ってきてね」
「エレノラに会えなくなるのは、寂しいから」
「ありがとう、みんな。心配してくれて」
仲間たちに見送られて、これから私はジャスター様と一緒に王国へ向かう。
「えぇ……!?」
集まってきた情報について、内容を確認した私は驚いた。
婚約破棄を告げられ、私たちが王国を離れた後に色々とあったみたい。婚約破棄を告げた男たちは、やらかしたようだ。王国に損害を与えるほどの大失敗を。
遠征任務の失敗に、宮廷魔術師が調達部と揉めて魔法研究がストップして、外交官と財務担当も揉めたりした。唯一、王城の管理を急遽担当した男は一時期だけ評価を上げた。しかし、勤務中に色々と文句を言いまくって評価を落としてしまったとか。彼らの友人である王子は、自分には関係ないと傍観を決め込む。その消極的な姿勢が、評価を下げた。
それなりに優秀で、将来有望だと期待されていた彼ら。その5人が全員、酷い事になっているらしい。どうして、そんなことに。
私たちが王国から去ったことが原因だろうか。パートナーを失って、本来の実力を発揮できなくなった。私たちの実家が、王家と疎遠になったことも影響しているのでしょう。支えがあったからこそ、彼らは今まで輝けていたのか。もしくは、そもそも本来の実力が足りなかったのか。
それ以外に、何か要因が。
とにかく、彼らに対する周囲の評価がガクッと下がった。その後も名誉挽回しようと頑張ったみたいだけど、それも失敗。空回りして、損害を大きくしてしまったみたい。
その結果、王子とヒロインが責任を追及されることになった。ラドグリアの王が命じて、王子は拘束されたようだ。現在も牢屋に監禁されている状態らしい。まさか、あの王がそんな判断を下すなんて。
ついでに、ヒロインの令嬢も監禁されているらしい。彼女も、そんなことになっているのね。攻略対象を華麗に全員落として、逆ハーレムエンドを完全攻略したのに。
やはり、ここはゲームの世界とは違うようね。原作が終わり、自由になったのか。そもそも、本編に関わるキャラクターが王国から離れて別の国へ行くなんて展開は、一切なかった。この先どうなるのか、未来は誰にもわからない。
元婚約相手に関する情報を仲間たちにも共有しておいた。だが、彼女たちは興味がないようだ。
「あら、そう」
「彼ら、そんな事になっているのね」
「大変そう」
「そんなことより、エレノラは本当に王国へ行くの? 危険じゃない?」
彼女たちは、今が充実している。昔のことは、もうどうでもいいらしい。それよりも、私が王国へ行くことが心配みたい。
「誰かが行かないと、面倒なことになるかもしれないからね。ジャスター様も、皇帝陛下の代理として王国へ行くことになったから」
「それなら、私たちも招待されているから一緒に」
フローラの言葉に、私は首を横に振った。ここに居る全員が招待されているけど、全員で行く必要はないだろう。
「王国に行くのは、一人で十分だと思う。みんなは、帝国で待っていて」
「でも」
「大丈夫、安心して。ジャスター様が必ず守るって約束してくれたからね。それに、いざという時は全力で逃げるわよ。無理なんかしない」
いつも通り不安そうなフローラに、私は自信たっぷりに答えた。そんな私の顔を見て、リゼットが口を開く。
「フローラ、エレノラは覚悟を決めてるみたいだし、これ以上言っても無駄みたいよ。無理やりついて行っても、足手まといになりかねないし。だから、後を任せるのがいいんじゃないかしら」
「……そうね。エレノラに任せるから、気をつけなさいよ」
「絶対に、戻ってきてね」
「エレノラに会えなくなるのは、寂しいから」
「ありがとう、みんな。心配してくれて」
仲間たちに見送られて、これから私はジャスター様と一緒に王国へ向かう。
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