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8 遷移訓練1
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次の日も、俺と今宮麗華は神海探偵社にやって来た。
大学は既に春休みに入っているので問題ない。
「仕事は、必ず『バディ』と共に、つまり二人で行う。これが大原則だ」
教官の神海意次は言い放った。
「まぁ、今は起動装置を持ってるのが麗華だけだから一人では飛べないが、決して一人で飛んではいけない」
「飛ぶことは飛べるんですか?」
「ああ、だが危険だ」
「危険?」
「そうだ。多重世界的にな」
おっと。
「二人で行動するのは、未来に飛んでる最中はバディが監視をするからだ」
そういえば、そうだった。
「監視役なんですね」
「普通はそうだ」
「起動した人間は未来へ飛ばないだけで共感はしている。だから君が意識を失ったり異常があったら、すぐに気が付く」
「なるほど。アクションは特にしないんですか?」
「基本はそうだが、緊急事態では君を引き戻す」
ああ、それ既にやったやつだな。ん?
「もしかして、未来で俺が何してるかも分かるとか?」
「いや、さすがにそれは分からない。状態をモニターしてるだけだ」
神海が笑って言った。ちょっとドギマギした。
「なになに?」
横から今宮麗華が突っ込んできた。
鋭いな! 横でお茶を飲んでるだけじゃなかったようだ。
「俺のケーキも食べていいよ」
「そう、ありがとう」と言いつつ、ちょっと怪しい目で俺を見る麗華。
「あら、なら、こっちもどうぞ」
神海希美が別のスイーツを持って来て麗華の横に座った。女性陣二名か。
「いえ、わたしはもう十分」と麗華。ちょっと我慢している?
「横にいるのが麗華ちゃんで安心よね?」
希美はそんなことを言った。
あれ? もしかして、希美さんって意次のバディなのか?
「希美さんって、ボスのバディ?」
「そう。私は、意次のバディよ」希美はちょっと笑って言った。
「そう言えば、まだ言ってなかったね」麗華は暢気に言った。
意次は、ただ希美が持って来たスイーツをもくもくと食べていた。
* * *
「そういえば、一人で未来に飛ぶのはダメとして、二人とも未来に飛ぶことは可能なんですか?」
「ああ、それも危険な行為の一つだな。まぁ、一人で飛ぶほどじゃないが、なるべくやるべきじゃない。二人とも飛んだら、俺たちに連絡できる奴がいなくなるだろ?」
意次は、スイーツを食べる手を止めて言った。
なるほど。意次たちがバックアップするわけだ。
「確かにそうですね」
ん? 戻す人がいればいいのか?
「三人で共感することも可能だ」
意次は俺の考えを察したように言った。
三人で共感か。
ちょっと微妙だな。
「そういえば、未来へ飛ぶ人間はバディのどちらか決まってるんですか?」
「ん? 特に決まってる訳じゃない。内容によるな」
「大丈夫なんですか?」
俺はちょっと心配になって言った。
「ん? いや、だから危険なことなんてしないから」
「あっ、麗華ちゃんのことが心配なんだ」と希美が軽口を叩く。
「いや、だって」
俺は何て言っていいか分からなかった。
「え~っ? ほんとかな~っ」麗華もふざけて言う。でも、ちょっと嬉しそう。
「まぁ、龍一君は、まだ正式なミッションをやってないから実感が湧かないだろう」
「そうね」と希美。
「確かにね」
「そうだよ」
麗華のことは、もちろん心配だけど。
* * *
「さて、じゃ訓練の話をしよう」
昼食後、お茶して和んだあと意次は言った。
いよいよ本格的な訓練を始めるとあって、俺たちは奥の仮眠室に移動した。
そこは仮眠室とは言っているが実は遷移室であり事務所以上の広さがあった。
ドアを入ったところにホワイトボードと広いテーブルが置かれた会議室があり、続けて仮眠室が三つあるという構造だった。
俺たちは会議テーブルについた。
「今日やってもらうのは、定点遷移だ」と意次。
共感能力で意識を未来へ飛ばすことを『共感遷移』と言うのだが、定点遷移は『未来のある特定の日時に行ってくる』ことだ。
「遷移先は十年後、九年後、八年後の三つだ。それぞれ一回行って来くれば終わりだ」
「行った先で、何かしなくていいんですか?」
「何もしない。と言いうか何もしてはいけない」
「いけない?」
「そうだ。俺達の仕事の基本は、『未来へ行って、見て、帰ってくる』ことだ」
「見てくるだけですか」
「そうだ。ただ、そこで見たものをよく覚えて来てくれ。そして帰ったら見たものをすぐ記録するようにしてくれ」
ああ。やっぱりスパイっぽいじゃないか。
「正確な遷移と情報収集の訓練だな」
「分かりました」
見たものを覚えると言っても内容によって得手不得手がありそうだ。ちょっとゲームっぽいなとも思う。
さっそく、俺は今宮麗華と仮眠室へ入った。
そこは、仮眠室というには明るく広い部屋だった。ただ、シングルベッドが二つと小さいテーブルが置いてあるだけだった。
「まるで、ビジネスホテルだな」
そうは言っても水道などは無い。
「仮眠室としては上等でしょう?」
「そうだな」
俺は服を着たまま横になった。
ベッドと言っても薄い毛布があるだけだ。
「じゃ、まずは、十年後。一番遠いポイントへの遷移ね。次に飛ぶ九年後のことも調べて来てね」
最初の十年後は、ややアバウトになる。
未来の情報を持っていないからだ。だが、そのあとの九年、八年は正確な遷移が期待できる。記憶があるからだ。
このため、共感遷移は最も遠い地点から始めるのがセオリーだ。
「了解」
共感能力で遷移する日時は起動装置では指定できない。
遷移する者が自分で探し当てるしかない。これが難しいと言われる点だ。
「帰る時のコマンドは『遷移解除』だからね! じゃ、いくわよ。共感トリガー!」
麗華は起動装置のコマンド『共感トリガー』を実行した。
これで、俺と麗華は共感で接続した状態になる。
コマンドは言葉で言えばいいらしい。音声認識システムとは優秀だな。
「よし。じゃ、『遷移トリガー』」
俺は未来へ飛ぶために共感遷移のコマンドを実行した。
ただし、今度の未来は就活していたときとは別の世界になっているハズだ。つまり、別の会社に就職している新しい未来がそこにあるわけだ。
大学は既に春休みに入っているので問題ない。
「仕事は、必ず『バディ』と共に、つまり二人で行う。これが大原則だ」
教官の神海意次は言い放った。
「まぁ、今は起動装置を持ってるのが麗華だけだから一人では飛べないが、決して一人で飛んではいけない」
「飛ぶことは飛べるんですか?」
「ああ、だが危険だ」
「危険?」
「そうだ。多重世界的にな」
おっと。
「二人で行動するのは、未来に飛んでる最中はバディが監視をするからだ」
そういえば、そうだった。
「監視役なんですね」
「普通はそうだ」
「起動した人間は未来へ飛ばないだけで共感はしている。だから君が意識を失ったり異常があったら、すぐに気が付く」
「なるほど。アクションは特にしないんですか?」
「基本はそうだが、緊急事態では君を引き戻す」
ああ、それ既にやったやつだな。ん?
「もしかして、未来で俺が何してるかも分かるとか?」
「いや、さすがにそれは分からない。状態をモニターしてるだけだ」
神海が笑って言った。ちょっとドギマギした。
「なになに?」
横から今宮麗華が突っ込んできた。
鋭いな! 横でお茶を飲んでるだけじゃなかったようだ。
「俺のケーキも食べていいよ」
「そう、ありがとう」と言いつつ、ちょっと怪しい目で俺を見る麗華。
「あら、なら、こっちもどうぞ」
神海希美が別のスイーツを持って来て麗華の横に座った。女性陣二名か。
「いえ、わたしはもう十分」と麗華。ちょっと我慢している?
「横にいるのが麗華ちゃんで安心よね?」
希美はそんなことを言った。
あれ? もしかして、希美さんって意次のバディなのか?
「希美さんって、ボスのバディ?」
「そう。私は、意次のバディよ」希美はちょっと笑って言った。
「そう言えば、まだ言ってなかったね」麗華は暢気に言った。
意次は、ただ希美が持って来たスイーツをもくもくと食べていた。
* * *
「そういえば、一人で未来に飛ぶのはダメとして、二人とも未来に飛ぶことは可能なんですか?」
「ああ、それも危険な行為の一つだな。まぁ、一人で飛ぶほどじゃないが、なるべくやるべきじゃない。二人とも飛んだら、俺たちに連絡できる奴がいなくなるだろ?」
意次は、スイーツを食べる手を止めて言った。
なるほど。意次たちがバックアップするわけだ。
「確かにそうですね」
ん? 戻す人がいればいいのか?
「三人で共感することも可能だ」
意次は俺の考えを察したように言った。
三人で共感か。
ちょっと微妙だな。
「そういえば、未来へ飛ぶ人間はバディのどちらか決まってるんですか?」
「ん? 特に決まってる訳じゃない。内容によるな」
「大丈夫なんですか?」
俺はちょっと心配になって言った。
「ん? いや、だから危険なことなんてしないから」
「あっ、麗華ちゃんのことが心配なんだ」と希美が軽口を叩く。
「いや、だって」
俺は何て言っていいか分からなかった。
「え~っ? ほんとかな~っ」麗華もふざけて言う。でも、ちょっと嬉しそう。
「まぁ、龍一君は、まだ正式なミッションをやってないから実感が湧かないだろう」
「そうね」と希美。
「確かにね」
「そうだよ」
麗華のことは、もちろん心配だけど。
* * *
「さて、じゃ訓練の話をしよう」
昼食後、お茶して和んだあと意次は言った。
いよいよ本格的な訓練を始めるとあって、俺たちは奥の仮眠室に移動した。
そこは仮眠室とは言っているが実は遷移室であり事務所以上の広さがあった。
ドアを入ったところにホワイトボードと広いテーブルが置かれた会議室があり、続けて仮眠室が三つあるという構造だった。
俺たちは会議テーブルについた。
「今日やってもらうのは、定点遷移だ」と意次。
共感能力で意識を未来へ飛ばすことを『共感遷移』と言うのだが、定点遷移は『未来のある特定の日時に行ってくる』ことだ。
「遷移先は十年後、九年後、八年後の三つだ。それぞれ一回行って来くれば終わりだ」
「行った先で、何かしなくていいんですか?」
「何もしない。と言いうか何もしてはいけない」
「いけない?」
「そうだ。俺達の仕事の基本は、『未来へ行って、見て、帰ってくる』ことだ」
「見てくるだけですか」
「そうだ。ただ、そこで見たものをよく覚えて来てくれ。そして帰ったら見たものをすぐ記録するようにしてくれ」
ああ。やっぱりスパイっぽいじゃないか。
「正確な遷移と情報収集の訓練だな」
「分かりました」
見たものを覚えると言っても内容によって得手不得手がありそうだ。ちょっとゲームっぽいなとも思う。
さっそく、俺は今宮麗華と仮眠室へ入った。
そこは、仮眠室というには明るく広い部屋だった。ただ、シングルベッドが二つと小さいテーブルが置いてあるだけだった。
「まるで、ビジネスホテルだな」
そうは言っても水道などは無い。
「仮眠室としては上等でしょう?」
「そうだな」
俺は服を着たまま横になった。
ベッドと言っても薄い毛布があるだけだ。
「じゃ、まずは、十年後。一番遠いポイントへの遷移ね。次に飛ぶ九年後のことも調べて来てね」
最初の十年後は、ややアバウトになる。
未来の情報を持っていないからだ。だが、そのあとの九年、八年は正確な遷移が期待できる。記憶があるからだ。
このため、共感遷移は最も遠い地点から始めるのがセオリーだ。
「了解」
共感能力で遷移する日時は起動装置では指定できない。
遷移する者が自分で探し当てるしかない。これが難しいと言われる点だ。
「帰る時のコマンドは『遷移解除』だからね! じゃ、いくわよ。共感トリガー!」
麗華は起動装置のコマンド『共感トリガー』を実行した。
これで、俺と麗華は共感で接続した状態になる。
コマンドは言葉で言えばいいらしい。音声認識システムとは優秀だな。
「よし。じゃ、『遷移トリガー』」
俺は未来へ飛ぶために共感遷移のコマンドを実行した。
ただし、今度の未来は就活していたときとは別の世界になっているハズだ。つまり、別の会社に就職している新しい未来がそこにあるわけだ。
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