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#4:Encounter.
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高校生活最後の夏休みに入ったワタシは、久しぶりに実家の手伝いをしていた。
同級生たちが、受験に向けて夏期講習に精を出していることを尻目に、ワタシはモデルとしての路を進む覚悟を決めていた。
父も母も賛成してくれていたし、美咲さんも瞳さんも、サポートしてくれると誓ってくれたことが、何よりも心強かった。
「すみませーん」
店の入口から聞こえてきた声に応えるため、読んでいた文庫本を閉じる。ちょうど父も母も配達に出ているタイミングでの来客は、少し面倒だなと思ってしまった。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」
営業スマイルは完璧だったはずなのに、反応が無かった。
「あの~…」
お客さんの顔をのぞくと、見覚えのある顔がそこにあった。
「うそっ…!!」 両手で鼻と口を隠してしまった。
本当にビックリした時、人間はドラマや映画で見たことのあるリアクションをするんだなと思った。
沖縄の、砂浜での素敵な想い出、海に残して泡になって消えてしまった、ワタシの初恋と失恋。
こんな奇跡があるのだろうか…?
彼は再び、ワタシの前に現れたのだ。
「あれっ?沖縄っの?!」
彼も相当に驚いていて、上手く言葉に出来ていないみたいだった。
お互いが『どうしてココに居るの?』という疑問符を抱えていると、妹が奥から出てきた。
「お姉ちゃん………かれし?」
見つけてしまった!みたいに、悪戯っぽくワタシと彼の顔を見比べながら笑っている。
「ちっ、違う!!お客さん!!」
「あっちに行ってなさい」と言うと、つまらなそうな顔をして戻って行った。
「ごめんなさい、妹が失礼なことを言ってしまって」
「いえいえ」と言う彼は、何故だか少し残念そうな顔をしていた。
ワタシは改めて「あのっ、何かお探しですか?」とココに来た理由を尋ねると、彼はヒマワリの種を買いたいということだった。
『まきどき』には遅いと思ったけれど、幸い取り扱っていたので、手に取り差し出した。
なんだかラブレターを渡すようで気恥ずかしかった。花屋の娘として、裏面の説明を読んでいる彼に念の為に伝えておくことにした。
「あのっ、今からだと育たずに腐っちゃうかもです」
「そうだね」と言って、来年以降にチャレンジすると宣言した彼の横顔は、やっぱり眩しくてあの日のことを思い出してしまった。
「あの時は、本当にありがとうございましたっ」
ローファーを助けてくれたことと、ワタシに素敵な想い出をくれたことへの感謝を改めて伝えた。
「こちらこそ、ありがとう」
なんでワタシが感謝されたのか、その時は分からなかったけれど、聞きたいことは他にもあった。
「夏休みで東京に来たんですか?」
そう言うと彼は、首をかしげた。
「いや、東京に住んでいるよ?」
沖縄から引っ越して来たのかなと思ったけれど、彼もワタシと同じ『東京生まれ東京育ち』で、修学旅行で沖縄に居たということだった。
「ワタシも修学旅行だったんです!!」
思ってもみなかった、彼との共通点に心が躍った。
聞けばワタシたちは同い年で、ワタシの住んでいる『清澄白河』には『東京都現代美術館』に、トトロの森を描いた人の個展を観に来ていて、帰りにたまたま寄った花屋が、ワタシの家だったらしい。
あの砂浜に居た理由も、その人が描いた作品が『きっかけ』だったと話してくれた。
こんな偶然があって良いのかなと、ほっぺたをつねりたかったけれど、申し訳なさそうに言う彼からの言葉に動揺してしまった。
「あっ…あのっ、やっぱり、その…彼氏さんが居るの?」
さっきの妹の言葉を『真に受けて』聞いてくれたみたいだったけれど、何となくチャンスだと思った。
「いっ、いませんっ!」
好きですっ!!と言ってしまったみたいで、ドキドキしていると彼は安心したように笑ってくれた。
「じゃあ…」と言う彼は、何も買わなかったお詫びにと、今日行ってきた個展に二人で行かないかと誘ってくれた。
彼が好きなものを、彼と二人で一緒に見たいと素直に思ったワタシは、二つ返事で「行きたい!」と言っていた。
お互いに予定を確認して、その場で日時を決め、ケータイ番号とメルアドを交換した。
「またね」と店を出て行く彼の姿を、また見ることが出来ると思うと、あの時の涙が報われるような気がした。
同級生たちが、受験に向けて夏期講習に精を出していることを尻目に、ワタシはモデルとしての路を進む覚悟を決めていた。
父も母も賛成してくれていたし、美咲さんも瞳さんも、サポートしてくれると誓ってくれたことが、何よりも心強かった。
「すみませーん」
店の入口から聞こえてきた声に応えるため、読んでいた文庫本を閉じる。ちょうど父も母も配達に出ているタイミングでの来客は、少し面倒だなと思ってしまった。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」
営業スマイルは完璧だったはずなのに、反応が無かった。
「あの~…」
お客さんの顔をのぞくと、見覚えのある顔がそこにあった。
「うそっ…!!」 両手で鼻と口を隠してしまった。
本当にビックリした時、人間はドラマや映画で見たことのあるリアクションをするんだなと思った。
沖縄の、砂浜での素敵な想い出、海に残して泡になって消えてしまった、ワタシの初恋と失恋。
こんな奇跡があるのだろうか…?
彼は再び、ワタシの前に現れたのだ。
「あれっ?沖縄っの?!」
彼も相当に驚いていて、上手く言葉に出来ていないみたいだった。
お互いが『どうしてココに居るの?』という疑問符を抱えていると、妹が奥から出てきた。
「お姉ちゃん………かれし?」
見つけてしまった!みたいに、悪戯っぽくワタシと彼の顔を見比べながら笑っている。
「ちっ、違う!!お客さん!!」
「あっちに行ってなさい」と言うと、つまらなそうな顔をして戻って行った。
「ごめんなさい、妹が失礼なことを言ってしまって」
「いえいえ」と言う彼は、何故だか少し残念そうな顔をしていた。
ワタシは改めて「あのっ、何かお探しですか?」とココに来た理由を尋ねると、彼はヒマワリの種を買いたいということだった。
『まきどき』には遅いと思ったけれど、幸い取り扱っていたので、手に取り差し出した。
なんだかラブレターを渡すようで気恥ずかしかった。花屋の娘として、裏面の説明を読んでいる彼に念の為に伝えておくことにした。
「あのっ、今からだと育たずに腐っちゃうかもです」
「そうだね」と言って、来年以降にチャレンジすると宣言した彼の横顔は、やっぱり眩しくてあの日のことを思い出してしまった。
「あの時は、本当にありがとうございましたっ」
ローファーを助けてくれたことと、ワタシに素敵な想い出をくれたことへの感謝を改めて伝えた。
「こちらこそ、ありがとう」
なんでワタシが感謝されたのか、その時は分からなかったけれど、聞きたいことは他にもあった。
「夏休みで東京に来たんですか?」
そう言うと彼は、首をかしげた。
「いや、東京に住んでいるよ?」
沖縄から引っ越して来たのかなと思ったけれど、彼もワタシと同じ『東京生まれ東京育ち』で、修学旅行で沖縄に居たということだった。
「ワタシも修学旅行だったんです!!」
思ってもみなかった、彼との共通点に心が躍った。
聞けばワタシたちは同い年で、ワタシの住んでいる『清澄白河』には『東京都現代美術館』に、トトロの森を描いた人の個展を観に来ていて、帰りにたまたま寄った花屋が、ワタシの家だったらしい。
あの砂浜に居た理由も、その人が描いた作品が『きっかけ』だったと話してくれた。
こんな偶然があって良いのかなと、ほっぺたをつねりたかったけれど、申し訳なさそうに言う彼からの言葉に動揺してしまった。
「あっ…あのっ、やっぱり、その…彼氏さんが居るの?」
さっきの妹の言葉を『真に受けて』聞いてくれたみたいだったけれど、何となくチャンスだと思った。
「いっ、いませんっ!」
好きですっ!!と言ってしまったみたいで、ドキドキしていると彼は安心したように笑ってくれた。
「じゃあ…」と言う彼は、何も買わなかったお詫びにと、今日行ってきた個展に二人で行かないかと誘ってくれた。
彼が好きなものを、彼と二人で一緒に見たいと素直に思ったワタシは、二つ返事で「行きたい!」と言っていた。
お互いに予定を確認して、その場で日時を決め、ケータイ番号とメルアドを交換した。
「またね」と店を出て行く彼の姿を、また見ることが出来ると思うと、あの時の涙が報われるような気がした。
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