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貴族学院編
シュクルの老化現象
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「遅刻する!」
シュクルは急いで騎士科に向かった。そしてシュクルが入室したと同時にチャイムが鳴った。
「ギリギリ間に合った。良かった~」
さて貧乏な男爵家らしく一番後ろに座ろうと思っていると⋯⋯
「こっちよ」
綺麗な女子が話しかけて来た。その隣と前にも女子がいる。どうやら今年の騎士科には自分を入れて四人の女子がいるみたいだ。シュクルは三人の方に向かった。
「ここに座ってね!」「女子は私たち四人だけだよ」「やっと会えたね」
「よ、よろしくお願いいたします」
美人で高貴な香りのする三人に、元非モテ男が完全にビビっていると、先生らしき人が入ってきた。
「このクラスの担任のカンタン・ラ・クルーズだ。よろしく。では次に⋯⋯ん?⋯⋯」
シュクルは癖で初対面の相手を前にすると、どこから攻撃をすれば最短で沈められるかを考えてしまう。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
何だ?カンタン先生にすっごい見られている気がする。おかしいな?ブラウス問題は先ほどスマートに解決したはずだが?
「⋯⋯えぇ、明日からの授業だが――――」
明日からの生活は、午前中が一年生共通の学科と選択授業で、午後から騎士科の専門授業、放課後は部活動となるそうだ。
選択授業のリストを渡される。どれにしようかな?少しワクワクする。
「外出だが、届けを前もって出す様に。親御さんのサインが必要になる」
「は?」
⋯⋯親のサイン?無理に決まっているだろう。手紙すら届くのに数か月かかるわ。
まあいいか。勝手に出よう。シュクル邸宅は私以外いないしバレないな。
「北の森は魔獣や野生動物がいるので、実習の時以外は入らないように」
「ん?」
私の邸宅は北だな。しかもかなり奥まで進んでいる。何だ魔獣がいるのか。いいじゃないか。狩りができるのなら夕食には困らない。そうだ色々な魔獣を森に放って繁殖させれば半永久的に食べられるのではないだろうか。
シュクルは自身の天才的な閃きにお腹が空いた。あんな草食だけじゃ腹には溜まらない。
気配を消して袋からサンドウィッチを取り出し、アメリカンがポップコーンを食べるかの如くポンポンと口に放り込む。老人とシュクルは周りを気にせずマイウェイを進むのだ。
先ほど手に入れたYシャツは袖が長いけれど、胸元は少しゆとりがある。全く良い拾い物をした。
すべて食べ終えたので袋を水魔法で洗い火魔法で乾かして、配布された書類や本を入れると終了の時間となった。
シュクルは解散と共に教室を出て、ベッド探しに出かけた。
「あら?いない?」「これから四人でお茶でもしょうと思っていたのにね」「途中から気配無かったよね?さすが別動班」
「ゴミ捨て場にあるかな?なら粗大ごみ置き場を探さなくては」
金持ちは金に物を言わせて、新学期に寝具を変える事があるのではないだろうか。まずはボンボンが多そうなエトワール寮とやらの裏に行ってみるか。シュクルは急いで向かった。
「何だ?これ寮じゃないだろ!王宮か?!チッ、ボンボンはモゲろ!周辺にちょっとくらい金目な物を落としておけよ!ノブレス・オブリージュだろ!」
くるりと一周してみても金目な物もないし、ゴミも無かった。
次にシュクルは学院の中心部から離れ、花壇の隅の方に物置となっている建物を見つけた。ショボい鍵だったので毟り取り、叢に投げて中に入った。最早ベテランの強盗である。
「何かあるかな~?ん?おお?カーテン?」
使い古した感じのカーテンを沢山見つけた。素晴らしい。シュクルは袋に詰めた。そして古びた彫刻も見つけた。多分庭のデコレーション用に置いてあった物で、もう使わなくなったのだろう。シュクルは愛用のロープで縛って持って帰る事にした。
他にもスコップや箒、レンガなどが置いてあったが特に必要性がなかったのでスコップを一本だけ頂いた。
「とりあえず一度戻ろう」
シュクルは人気のない道を選んで北のシュクル邸宅に戻った。
「シュクルサマ、おかエリ⋯⋯ブラウスはドコ?!あの素敵ナ!」
「⋯⋯ただいま。ブラウスは大破した」
「アアアア!!!悲しいネ!!!」
シュクルは変態を無視して彫刻を扉の壊れた玄関横に置いた。トーマス先生の様にコートや傘などを彫刻に掛けると便利なのだ。そして手に入れたカーテンを袋から出して再度出かける。
「この石ハ、裸だネ、シュクルサマ趣味イイネ」
「⋯⋯暇なら磨いていいぞ⋯⋯」
今度はベッドのマットレスや寝具が欲しいが、粗大ごみ置き場の場所が分からないとなると、どうすればよいのか。この学園は広すぎる。ゴミ捨て場以外にベッドのある場所といえば⋯⋯
「この寮でいいか」
シュクルは人気のなさそうな寂れた寮を見つけたので気配を消して中に入る。町の宿屋を大きくしたみたいな感じの素朴な寮だ。いいじゃないか。あのエトワール云々とは違って学生らしい。
金持ちからのお恵みとして、今度あそこの調理場から色々くすねてやろう。
シュクルは軋む階段を上がり、最上階まで来た。基本的に最上階や屋根裏は貧乏人が住む所であるし、倉庫として使われる事もあるので、ここに使わなくなった物を押し込んでいる可能性は高い。
「さてさてどうかな~?あれ?誰かの部屋だ」
疲れた男子の制服が扉の外れたクローゼットにかかっている。どうやらここは男子寮らしい。
「⋯⋯殺風景な部屋だな。貧乏そうだ」
遺跡並みの廃墟に住んでいるくせに、シュクルはこの部屋の生徒に同情した。
机も傾いている気がするし、本棚に置いてある教科書もボロボロじゃないか。それに隣に大きな木があるせいか異常に暗い。シュクルはふと目に入った机の上の書類を覗くと――
「ノエル・ラ・パン!あああああああ!!!!やっぱりノエルの部屋じゃないかぁ!!」
部屋に入った瞬間に住人が誰か、匂いで気づいてはいたのだ。
兄が屋根裏部屋で極貧生活をしている。またしても目頭が熱くなった。本当に最近は涙もろくなったものだ。 年かな。
「あれ?シュクル?来てくれたの?嬉しいけれど、男子寮は女性の入室禁止だよ?」
「ノエル、安心してくれ。この部屋を素敵な部屋に変えて見せるからな!じゃあな!また!」
シュクルは古く黄ばんだ窓を開け、隣の木に飛び移って去って行った。
「シュクルが変わりなくてよかった。そうだ両親に手紙を書こう。あ、でも送料あるかな?」
ノエルはシュクルの奇行に胎児の頃から慣れていた。
結局日が暮れて、マットレス狩は明日にする事にした。
ほぼ沈んだ夕日をバックにシュクル邸宅の庭を土魔法で耕す。すると色々と発掘された。
「お?何だ?この出土物はローマ遺跡みたいじゃないか。我が家のインテリアにしよう」
洞窟内の拡張には精通しているシュクルだが、たった今、庭造りにも目覚めた。これは一般的な初老の男性にみられる老化現象の一つで、盆栽や庭の木を整えて満足する妙なアレであった。
「庭でゴルフもいいな~でも野菜があるしなぁ~」
ボケ防止には庭いじりもいいがゴルフもいい。
「この北の森に遊歩道を作るのもいいよな~」
老人の日課は超早朝のウォーキングである。健康によろしい。
「今日はもう遅いから魔瓜とトマトと茄子を植えて食事にしよう」
野菜をふんだんに使った料理は長生きの秘訣だ。
「ベッドに大量のカーテンを乗せれば硬めなマットレスの出来上がりだよ」
硬めなマットレスは老人の腰痛によろしい。
「おやすみなさい⋯⋯」
超早い就寝は老人の証。もう少し遅めに寝て遅めに起きればいいじゃない?などとは言ってはいけない。
本日、波乱万丈な初老魂、シュクルの入学式は無事に終わった。
シュクルは急いで騎士科に向かった。そしてシュクルが入室したと同時にチャイムが鳴った。
「ギリギリ間に合った。良かった~」
さて貧乏な男爵家らしく一番後ろに座ろうと思っていると⋯⋯
「こっちよ」
綺麗な女子が話しかけて来た。その隣と前にも女子がいる。どうやら今年の騎士科には自分を入れて四人の女子がいるみたいだ。シュクルは三人の方に向かった。
「ここに座ってね!」「女子は私たち四人だけだよ」「やっと会えたね」
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「このクラスの担任のカンタン・ラ・クルーズだ。よろしく。では次に⋯⋯ん?⋯⋯」
シュクルは癖で初対面の相手を前にすると、どこから攻撃をすれば最短で沈められるかを考えてしまう。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
何だ?カンタン先生にすっごい見られている気がする。おかしいな?ブラウス問題は先ほどスマートに解決したはずだが?
「⋯⋯えぇ、明日からの授業だが――――」
明日からの生活は、午前中が一年生共通の学科と選択授業で、午後から騎士科の専門授業、放課後は部活動となるそうだ。
選択授業のリストを渡される。どれにしようかな?少しワクワクする。
「外出だが、届けを前もって出す様に。親御さんのサインが必要になる」
「は?」
⋯⋯親のサイン?無理に決まっているだろう。手紙すら届くのに数か月かかるわ。
まあいいか。勝手に出よう。シュクル邸宅は私以外いないしバレないな。
「北の森は魔獣や野生動物がいるので、実習の時以外は入らないように」
「ん?」
私の邸宅は北だな。しかもかなり奥まで進んでいる。何だ魔獣がいるのか。いいじゃないか。狩りができるのなら夕食には困らない。そうだ色々な魔獣を森に放って繁殖させれば半永久的に食べられるのではないだろうか。
シュクルは自身の天才的な閃きにお腹が空いた。あんな草食だけじゃ腹には溜まらない。
気配を消して袋からサンドウィッチを取り出し、アメリカンがポップコーンを食べるかの如くポンポンと口に放り込む。老人とシュクルは周りを気にせずマイウェイを進むのだ。
先ほど手に入れたYシャツは袖が長いけれど、胸元は少しゆとりがある。全く良い拾い物をした。
すべて食べ終えたので袋を水魔法で洗い火魔法で乾かして、配布された書類や本を入れると終了の時間となった。
シュクルは解散と共に教室を出て、ベッド探しに出かけた。
「あら?いない?」「これから四人でお茶でもしょうと思っていたのにね」「途中から気配無かったよね?さすが別動班」
「ゴミ捨て場にあるかな?なら粗大ごみ置き場を探さなくては」
金持ちは金に物を言わせて、新学期に寝具を変える事があるのではないだろうか。まずはボンボンが多そうなエトワール寮とやらの裏に行ってみるか。シュクルは急いで向かった。
「何だ?これ寮じゃないだろ!王宮か?!チッ、ボンボンはモゲろ!周辺にちょっとくらい金目な物を落としておけよ!ノブレス・オブリージュだろ!」
くるりと一周してみても金目な物もないし、ゴミも無かった。
次にシュクルは学院の中心部から離れ、花壇の隅の方に物置となっている建物を見つけた。ショボい鍵だったので毟り取り、叢に投げて中に入った。最早ベテランの強盗である。
「何かあるかな~?ん?おお?カーテン?」
使い古した感じのカーテンを沢山見つけた。素晴らしい。シュクルは袋に詰めた。そして古びた彫刻も見つけた。多分庭のデコレーション用に置いてあった物で、もう使わなくなったのだろう。シュクルは愛用のロープで縛って持って帰る事にした。
他にもスコップや箒、レンガなどが置いてあったが特に必要性がなかったのでスコップを一本だけ頂いた。
「とりあえず一度戻ろう」
シュクルは人気のない道を選んで北のシュクル邸宅に戻った。
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今度はベッドのマットレスや寝具が欲しいが、粗大ごみ置き場の場所が分からないとなると、どうすればよいのか。この学園は広すぎる。ゴミ捨て場以外にベッドのある場所といえば⋯⋯
「この寮でいいか」
シュクルは人気のなさそうな寂れた寮を見つけたので気配を消して中に入る。町の宿屋を大きくしたみたいな感じの素朴な寮だ。いいじゃないか。あのエトワール云々とは違って学生らしい。
金持ちからのお恵みとして、今度あそこの調理場から色々くすねてやろう。
シュクルは軋む階段を上がり、最上階まで来た。基本的に最上階や屋根裏は貧乏人が住む所であるし、倉庫として使われる事もあるので、ここに使わなくなった物を押し込んでいる可能性は高い。
「さてさてどうかな~?あれ?誰かの部屋だ」
疲れた男子の制服が扉の外れたクローゼットにかかっている。どうやらここは男子寮らしい。
「⋯⋯殺風景な部屋だな。貧乏そうだ」
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机も傾いている気がするし、本棚に置いてある教科書もボロボロじゃないか。それに隣に大きな木があるせいか異常に暗い。シュクルはふと目に入った机の上の書類を覗くと――
「ノエル・ラ・パン!あああああああ!!!!やっぱりノエルの部屋じゃないかぁ!!」
部屋に入った瞬間に住人が誰か、匂いで気づいてはいたのだ。
兄が屋根裏部屋で極貧生活をしている。またしても目頭が熱くなった。本当に最近は涙もろくなったものだ。 年かな。
「あれ?シュクル?来てくれたの?嬉しいけれど、男子寮は女性の入室禁止だよ?」
「ノエル、安心してくれ。この部屋を素敵な部屋に変えて見せるからな!じゃあな!また!」
シュクルは古く黄ばんだ窓を開け、隣の木に飛び移って去って行った。
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ボケ防止には庭いじりもいいがゴルフもいい。
「この北の森に遊歩道を作るのもいいよな~」
老人の日課は超早朝のウォーキングである。健康によろしい。
「今日はもう遅いから魔瓜とトマトと茄子を植えて食事にしよう」
野菜をふんだんに使った料理は長生きの秘訣だ。
「ベッドに大量のカーテンを乗せれば硬めなマットレスの出来上がりだよ」
硬めなマットレスは老人の腰痛によろしい。
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