ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ

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貴族学院編

シュクルは選択科目を選ぶ

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――カーカー――カーカー―― 

「あ~久しぶりに気持ちよく寝れた!」 

あのお茶会の後、アンジェラさんの高級寮に寄ってベッドと寝具をもらった。おかげ様で今朝は清々しい目覚めとなった。 

まずは外に出て野菜の収穫や管理をする。ニーチェは元気かなぁ? 

「今日も豊作だな~チェリーの木もいい感じだ。あ!痛い!何だ?!」 

足に何か刺さった。痛む足元を見てみたらハリネズミだった。 

「ほう?君はうちの野菜のおいしさに目を付けたんだね?いいセンスをしている」 

ハリネズミは農家の害獣だが、シュクルは一匹くらい気にしない。 
昨日は結局エトワール寮に食料をパクリに行けなかったので、パンと野菜の朝食となった。 


「ハハハ~!なんと今日は選択教科を決めるオリエンテーションがあるのだ!」 

大きな独り言を言っているが初老なシュクルなのでノーマルだ。

シュクルは選択科目を選ぶ日をものすごく楽しみにしていた。今日は気になる所を色々と巡ってみるかな。 


「おはよ~シュクル」 

「おはようございます!皆さんはもう選択教科は決めましたか?」 

「クロワサント家は医者の家系だから医学だよ」 

「私はどうしょうかな?オカルト研究とかないなぁ~地底人の地下帝国研究とか~」 

「私は家政関係ね。将来はどこかの家に嫁ぐから、家の管理とかそんなの」 

「なるほど。そうですか」 

やはり将来をきちんと考えて選択教科を決めるのだな。 

選択科目は四つ選べるが、タチアナさんみたいな医療関係は一つしか選べない。四コマみっちり医療を学ぶ為だ。まだ決まっていないのは私とイレーヌさんだな。 

私はイレーヌさんと一緒に色々と回ってみる事にした。 
 

「こっちの校舎は領地経営系だね。あまり興味ないかな。シュクルは?」 

「う~ん、私もあまり。でもここには兄がいるんだ」 

領地経営は惹かれないかな?でもシュクル帝国の発展には必要だろうか?我が帝国だし。悩む。 

「ねぇ?兄ってあの人?」 
「え?」 

イレーヌさんの指さす方を見るとノエルが三人の男子に囲まれていた。 

「お前貧乏だろ?」「金なさそうだな」「制服ボロボロじゃんか」 

な、なんて事だ!!!ノエルがぁああああ!!いじめに遭っている!! 

「⋯⋯僕のせいなんだ貧乏なのは。僕は三つ子なんだけれど、僕は産まれた時から体が弱くてね、高い薬をいつも買わなければならなくて⋯⋯そのせいで日々の食糧にも困るほど家族の生活を苦しくさせてしまっていたんだ⋯⋯なのに家族の誰も僕の事を悪く言わないし、いつも優しくて⋯⋯。こんな僕のせいで姉はこの学院に通うお金が足りなかったし、妹は奨学金と自身の才能で入学せざるを得なかったんだ。だから僕はここに通えるだけで幸せだよ。制服が古いくらい問題ないんだ」 

「うっ」「そ、そうなのか?」「体が弱いのか?」 

「僕さえいなければ貧乏じゃない普通の男爵家だったと思う。家族には本当に頭が上がらないよ。だからできるだけ頑張って勉強して、家族の為に頑張るんだ。今は貧乏だけどね」 

「く⋯⋯⋯⋯」 

ノエル!!!なんて!なんてよい子なのだぁぁぁああ!!!! 
シュクルの涙腺は崩壊した。隣のイレーヌもしんみりとした。周りにいた人達も目頭が熱くなった。 

「こ、これ食べなよ。お菓子あげるよ。母さんが沢山渡してきてさ~」 

「え?いいの?すごく嬉しいけど、でもこのお菓子は君のお母さんが君のために用意された物だよね?悪いよ」 

「いいんだ!!多すぎて腐らせてしまうからな!」 

「そう?ありがとう!凄いな、甘い物なんて本当に久々だよ。妹と食べようかな?いつも妹は家族のために頑張っているから⋯⋯でも僕は何も返せなくて⋯⋯」 

シュクルは鼻水も垂らした。ノエルが尊い。真っ黒に汚れたシュクルの心が浄化された気がした。同じ穴から産まれたとは思えない神々しさだ。 

「あ、あれだ、俺さぁ、兄貴の制服があるんだけど、やるよ。サイズが合わないんだ。お前なら合うと思うからな!」 

「え?そんな、悪いよ。制服は高いから、売ったらご飯が沢山食べられるよ?でもみんな優しいね。その気持ちが嬉しいよ。ありがとう」 

「ぐはぁ」「浄化された!」「尊い」 

儚い美男子の穢れなき心に洗われた。うん。ノエルの学校生活は大丈夫そうだ。シュクルは水浸しの顔をハンカチとして使っているパクったカーテンの切れ端で拭いて、そっとその場を後にした。 


「次は淑女科の辺りだね。刺繍裁縫、家裁?このあたりはアンジェラさんが選ぶのかな?マナーに美術に音楽?シュクルはどう?興味ある?」 

「ないっす」 

シュクルに刺繍は出来ない。結婚願望もない。マナーも芸術もできない。貴族女性どころか女性として終わっている。できないから頑張る!なんて気は毛頭無い。時間の無駄だ。 

「次は文系だね。古語や他の言語、社会学、考古学、心理学、歴史民俗学?!私これにしよう!」 

「歴史民俗学?」 

イレーヌさんは歴史が好きなのだろうか。 

「田舎に残る風習とか好きだよ!ヤバい生贄伝説とか、山にいる謎の神とか~オカルトを感じる」 

「あ~なるほど~」 

彼女の趣味はブレない。そもそもどうして騎士科を選んだのだろうか。聞いてみよう。 

「ん?家は騎士家系なんだ。ほら、同い年に王子がいるでしょ?二つ上にも。将来の王子妃を守る女性騎士が必要なんだよ」 

「なるほど」 

そんな理由があったのだな。そのまま隣の理系を見る。数学系、化学に物理学、生物学、向こうの方は医学、薬学系かな。薬草学もあるな。動物学?面白そうだ。 


次は騎士科だ。 

「騎士科かぁ~シュクルはどう?選ぶ?」 

「いいや。戦いはライオンに禁止されている」 

騎士科の会場には沢山の人がいた。大抵の貴族男子は一コマは選択で剣術を選ぶらしい。
大勢の生徒が集まる会場で、剣術の模擬戦をしている人達がいる。 

「きゃあ!!」「素敵!!」「やっぱり強いわ~!」「かっこいい!!」 

何だ?女子が騒いでいるな。シュクルとイレーヌは気になって見に行ってみた。 

「あ!シュクル!噂のレプなゴムマスクだ!あいつでしょ?Yシャツ」 

「ん?あぁ~あんな色で眼鏡だったかも」 

シュクルが眼鏡を見ていたら―― 

――クイ(こんにちは)―― 

眼鏡であいさつされた。眼鏡言語? 

「⋯⋯⋯⋯こんにちは?」 

うん。次に行こう。 
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