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序章・帝国崩壊編
23、領主、帝都にやって来る
オットーリオが公領へと撤退し始めた時、ラドウィン達はシンサンから帝都へ向かう峠で休憩していた。
手頃な岩に腰掛けて、ベルトに下がる水袋から水を飲んでいる。
兵達もまばらに休憩して、ワイワイとお喋りをしていた。
峠の下から吹き上げてくる風がラドウィンの頬を撫でる。
風は少々冷たかった。もうすぐ冬になるのだろう。
空は曇っている。天候が悪化しそうだ。
そろそろ休憩をやめて出発しようかと思う。
ラドウィンが立ち上がると、目の前をボールが転がってきた。
鹿皮をなめした弾まないボールだ。
すると岩陰から小さな子がそのボールを追い掛けて来たのである。
十歳ほどの子供。
深緑のローブを身に纏っていて、フードで顔は見えない。
ラドウィンは訝しんだ。
峠から見える村は遠くにポツポツと三つだけ。さらに遠くには帝都が見える。
近くには深い森が広がっていたがそれだけだ。
峠の近くには何一つ集落が無いのになんでこんな所に子供なんて居るのだろう。
きっと、旅人の子供に違いない。
「君、パパとママはどこだい? 一人じゃ危険だよ。送って行こうかい?」
ラドウィンがその子の肩に手を置く。
すると、その子が振り向くので、その顔を見たラドウィンは驚いた。
ミルランス!?
その子は女の子なのだが、ミルランスやティタラに似ていたのだ。
だが、すぐにミルランスでは無いと分かった。
しかしよく似ている。顔のパーツというより雰囲気というのか、気品のある美しい顔付きが似ている。
その女の子は感情の伴わない翡翠色の眼でラドウィンを見返し、「帝都に行くのはおやめなさい」と言った。
それにラドウィンは戸惑い、そして笑うと「どうしてかな?」と聞く。
「帝都に行けば長く辛い戦いになるでしょう。今、引き返せば全てを忘れて愛する者と平穏に暮らせます。さあ、帝都に行くのはおやめなさい」
そのように言われてラドウィンは眉をひそめた。
子供のごっこ遊びだろうか?
しかし、何だか妙だ。
この子はただの女の子じゃないという気がして、その言葉は何か深遠な場所から響く真実のように思えた。
そんなラドウィンの横を女の子は通り過ぎて、岩陰の向こうへと歩く。
「待ってくれ」
ラドウィンが振り向いて女の子を呼び止めようとした。
女の子はローブのフードを外して振り向くと、静かに笑ってその姿を岩陰に隠すのである。
「あ!」
ラドウィンはその女の子の耳が長く尖っているのを見て、驚きの声をあげる。
エルフだ。
急いで岩へと駆け寄って、その陰を見た。
しかしそこには何も無い。
枯れかけの草が風で静かに揺れているだけだ。
「先生。どうしました?」
キルムに呼ばれて、ラドウィンは呆然としながら「今の、見たか?」と聞いた。
「えっと……何をですか?」
首を傾げるキルムは本当に何も知らない様子である。
「いや、いや、何でもない」
エルフなんて所詮は伝説の存在、きっと白昼の夢だったのだ。
ラドウィンはそう思いながら頭を軽く振ると、気分を入れ替えて飄々としたいつもの笑顔を浮かべる。
「ところでデビュイ達の様子はどうかな?」
ラドウィンが聞くと、キルムは静かに頭を左右に振り「今のところ、怪しい動きは無いです。先生の言う通り信用できるのでしょうか」と言うのだ。
「ま、用心に越した事は無い。さ、出発しよう」
ラドウィンはそう言うと帝都へ向かう道を進むのであった。
――その頃、タハミアーネは二人の貴族と共に帝都へ向かっていた。
二人の貴族は二千と三千の軍勢を率いており、タハミアーネは五千なので一万の兵である。
そんなタハミアーネ以下一万の兵団はオルモード率いる連合軍から散々に追撃された。
タハミアーネは殿(しんがり)を引き受けて何度も連合軍と戦いながら帝都へ向かう。
幸いだったのは、あのガ・ルスが居なかった事か。
もしもガ・ルスがいたら戦力の差でタハミアーネは負けていただろう。
しかし、ガ・ルスの居ない連合軍相手ならば、さすがに皇帝騎士と肩を並べるタハミアーネと言われるだけはあった。
漆黒の鎧を纏う小さな体はさながら黒い巨壁のように連合軍を寄せ付けなかったのである。
こうして一万は帝都の目前へと到着した。
広がる草原を抜ければ帝都の城門だ。
その時、別の道を迂回して来たオルモードの旗が見える。
連合軍の別働隊だ。
しかもその部隊を率いるはあのガ・ルスである。
これを見るや、隊を率いている貴族達は全軍に走るよう命じた。
喋るな。振り向くな。諦めるな! ただひたすら城門へ急げ!
半ば恐慌である。
誰もがガ・ルスの武力を恐れていた。
一方、タハミアーネは自身の率いる五千の兵達のうち、実力派の兵士を選りすぐって千人の部隊でガ・ルスの部隊へと突撃した。
タハミアーネ隊は玉砕覚悟だ。
逃げる味方を助ける為に、死に臨もうとしていた。
「早い再戦喜ばしい」
ガ・ルスは部隊に黒騎士以外の兵達の相手を命じ、自身はタハミアーネへと向かった。
二つの部隊の衝突はすぐに激しい乱戦へと様相を変える。
その乱戦の中、兵達の近寄らぬ綺麗な円陣が出来上がっていた。
タハミアーネとガ・ルスの一騎討ちの円陣だ。
互いに馬を寄せ、双剣と双斧(そうふ)が激しく打ち合う。
一騎討ちは一見すると拮抗していた。
しかし、先の一騎討ちをなぞるように、百合もせぬうちにタハミアーネは徐々に圧されていくのだ。
だが、タハミアーネはまだ逃げない。
味方が逃亡するまでガ・ルスを足止めするつもりなのだ。
その頃、何とか逃げていた兵達は帝都の目前に到着していた。
すると帝都の城門が開かれた。
急いで城門に入ろうとした貴族と兵達は、帝都の中を見てギョッとする。
無数の旗がひるがえっていた。
近衛騎士の旗だ。
そして、その旗の先頭にあるのは皇帝騎士の旗。
美しい銀色の鎧。
槍の穂先が見るも美しく煌めいていた。
皇帝騎士ハルアーダと近衛騎士団。
「突撃!」
ハルアーダの号令で近衛騎士団が馬を駆け、城門より草原へと姿を現した。
その数は五十ほど。
しかし、あまりにも勇壮な姿は見る者に千にも二千にもあるような威圧感を与えた。
近衛騎士団の後方から帝都の兵達千人が徒歩行進していたが、誰もが近衛騎士団に注目していたので気付かない程、近衛騎士団とハルアーダの迫力は凄まじかったのだ。
近衛騎士団はそのままガ・ルス隊とタハミアーネ隊の乱戦へと突撃した。
ハルアーダはガ・ルスとタハミアーネの創る円陣へと割り込むと、ガ・ルスへ猛然と槍を振るう。
ガ・ルスはその槍を見事に捌いたが、ハルアーダとタハミアーネがあまりにも凄まじい連撃を浴びせるので反撃に転ずる暇すら無かった。
一騎討ちは拮抗状態に戻った。
しかし、帝国軍約一万、それに対して連合軍五万である。
しかも連合軍はあのオルモードが指揮しているのだ。
帝国軍の戦力的不利は否めない。
ハルアーダとタハミアーネが幾らガ・ルスと拮抗した戦いを演じようが、戦いに負けたら意味が無い。
ハルアーダとタハミアーネは焦った。
急いでガ・ルスを打ち倒し、一 万の味方を助けねばならない。
二人の焦りは決して表に出てくるような焦りでは無かった。
しかし、全く拮抗したこの戦いの中では、水平を維持する天秤に一粒の水玉が落ちるような影響を与えたのである。
ほんの少し――ほんの少しの差。
目に見えないような、感じる事も出来ないような差で、水平の天秤は一気に傾いた。
ガ・ルスが咆哮を挙げ、その僅かな隙に攻めた。
斧の重く、鋭い一撃一撃がハルアーダとタハミアーネを襲う。
二人はその攻撃を防いだが、しかし、やっとの防御だ。
反撃に転じる事も能(あた)わず、ガ・ルスの猛攻を前にいずれ来たる敗北への時間稼ぎをしているに過ぎなかった。
ここまでか?
もう駄目なのか?
劣勢。そして敗北。
この方程式は変えようが無く……。
この理論は疑いようが無く……。
帝国軍がいよいよ敗走しようという時、遠くの丘を越えて草原へと人影が現れた。
ハルアーダもタハミアーネも気付いていない。
帝国軍は劣勢の中、必死に戦っていたから気付いていない。
気付いたのは帝都の城壁から戦況を見ていた兵士達。
そして、城のバルコニーから戦場を見下ろしていたティタラ。
「あれはどこの隊?」
ティタラが隣に立つ大臣に聞くと、大臣は片目レンズを掛け直しながら軍旗の一覧書をめくった。
しかし、一体どこの軍勢なのか分からず、敵か味方なのかすら分からなかったのである。
すると、その謎の部隊は二手に分かれた。
約五千がハルアーダ達の乱戦へ。
およそ一万がオルモード本隊へと攻めかけたのである。
そして、先頭を行く騎士がハルアーダとタハミアーネ、そしてガ・ルスの戦いへと向かった。
ガ・ルスへと槍を振るう。
ガ・ルスは突然の乱入者に驚きながら斧で槍を受けた。
「何奴か」
「モンタアナ領主、ラドウィン。我が友ハルアーダと皇帝陛下への忠義により参った」
それはラドウィンだ。
不敵な笑みを浮かべて槍を素早く振り回した。
「田舎騎士か。大層なお題目と共にここで死ね!」
ガ・ルスは双斧(そうふ)を振るう。
ラドウィンの槍を弾いて懐へ入ろうとしたが、ラドウィンは弾かれた槍を回して素早くガ・ルスへと反撃して近付けない。
これにガ・ルスは呻く。
まるで宙を舞う羽毛か、はたまた形の無い霧を切っているかのように手応えが無いので歯痒いのだ。
ハルアーダともタハミアーネとも違うその戦い方はガ・ルスを戸惑わせた。
すると、その隙にハルアーダとタハミアーネが体勢を整えたのである。
三対一となってはガ・ルスも堪らない。
それに、ガ・ルスの率いていた兵達もラドウィンの引き連れた兵達によって圧されていたので、彼は馬首を転じると「撤退だ! 撤退!」と命令した。
ガ・ルスは振り向き、ラドウィン、ハルアーダ、タハミアーネを見ると「今回は負けてやるが次に会う時は貴様ら三人相手でも負けぬぞ。首を洗って待っておれ」と撤退するのである。
一方、オルモードの率いている本隊はラドウィン軍一万の加わった帝国軍に圧されていた。
それでも何とか持ち堪えていたのはオルモードの指揮があったからであろう。
軍刀を掲げて兵達を指揮していたそんなオルモードへ、兵達を蹴散らして一人の若武者がやって来る。
「何奴!」
「ダイケン領主バルオルムの子ダルバ! 逆臣オルモードとお見受けした! 我が武功として有難くその首いただくぞ!」
餓狼の眼を輝かせて、若く昂る闘争心を抑えもせずに槍をしごいてオルモードへ向かった。
ダルバが槍を突き出すと、オルモードは咄嗟に軍刀で穂先を躱(かわ)す。
速い突きだ。
その素早い突きにオルモードは彼の実力を察して冷や汗を垂らした。
「ダイケンのバルオルムといえば猛将と名高いが、その子も中々の勇将のようだな」
「おう、父を知っているか。ならば俺の名も覚えて貰おうか。俺の名を覚えて死ね!」
ダルバが槍を構え直す。
すると、オルモード麾下のガグゼという騎士が主を守ろうとダルバの前へとやって来た。
「邪魔だ!」
ダルバは一合のもと、ガグゼの胸を一突きしたのである。
そして槍を構え直したのであるが、気付くとオルモード麾下の騎士、五人に囲まれていた。
オルモードは元々大将軍という事もあり、強い者と出会う機会が多かった。
また、自分に忠誠を誓う騎士を多く任命できる権利を有していた。
なのでオルモードの騎士といえばいずれも皇帝の近衛騎士に劣らぬ実力者で有名である。
そのような騎士達五人に囲まれてはダルバといえども動けない。
しかし、大将たるオルモードは目前にいて、しかも逃げようとしていた。
首を取るなら今しか無い。
すると、「ダルバ殿! ゆかれい!」とデビュイ以下、マルドローネの元騎士にして元山賊であった者達がオルモード麾下の騎士へと襲い掛かった。
「すまぬ! ここは任せた!」
ダルバはデビュイらに五人の騎士を任せて、すぐさまオルモードを追う。
オルモードは草木の生えない荒れ道へ逃げていく。
気付くと白い雪がふわふわと落ちてきていた。
雪が積もる前に終わらせてやろうとダルバは考え、馬に掛け声を浴びせて走らせた。
「お前もかつては武芸で鳴らした騎士であったのだろう! 逃げずに戦え!」
ダルバはそのように逃げるオルモードの背へ呼びかけた。
しかし、それでもオルモードは止まらない。
「もうお前の部下達はいないぞ! 大人しく俺の手に掛からないか!」
ダルバはさらに馬を速めて、オルモードへと肉薄する。
そして、槍を構えて、間合いに入った瞬間に串刺しにしてやろうとした。
その時、すぐ隣の崖から、パラパラと小石が落ちて来たのである。
何者かが崖上に居る気配がして、ダルバは崖上をチラリと見た。
すると、一騎の騎兵が馬で崖を降りてくるではないか!
「おお! ガ・ルス!」
オルモードは天の助けに遭ったような声を挙げた。
なんと、崖上からガ・ルスが馬を使って降りてきているのだ。
ダルバは、曲芸士だとガ・ルスを挑発した。
しかし、口では軽口を叩いたが、馬を使って崖を降りてくる手綱捌きはきっと強者に違いない。と考え、一切の油断無く槍を素早くガ・ルスへ向けたのである。
そして、ダルバ自慢の神速の突きを放った。
だが、ガ・ルスはその槍を斧で弾く。
「あ!」
次の瞬間、ガ・ルスが斧を振って来たので、ダルバは左腕で咄嗟にかばい手した。
鈍い音が荒れた道に響く。
ダルバは左腕に熱い程の痛みを感じた。
ダルバの意思に反して肉体から力が抜けて、彼は落馬する。
背中から落下し、後頭部を地面に打った。
ゴロゴロと三、四回、荒野を体が転がり、止まる。
「いてえ……」
灰色の空から雪が降ってくるのを見ながら、力無く呟く。
背中や頭は痛かったが、それ以上に左腕が痛い。
ゆっくり左腕を持ち上げて見てみると、前腕の中央からスッパリと腕と手が無くなっていた。
「嘘だろ……」
左腕からだくだくと流れる血がダルバの顔にかかる。
まるで夢の中に居るかのように非現実な光景に思えて、血がかかる事も気にしてられなかった。
そんなダルバにガ・ルスが近付いてきて、見下ろしてくる。
そして、フッと笑うと馬を返してダルバに止(とど)めも刺さずに「オルモード様、敵が来る前に行きましょう」と行ってしまったのだ。
ダルバは歯噛みした。
見下して、小馬鹿にしたように笑うガ・ルスに。
そして、トドメすら刺されずに放置される自分に。
「くそ! くそくそ! 俺を雑魚扱いしやがって!」
そう怒るダルバの体は動かない。
激しく燃え上がる感情を冷やそうとするかのように体へ雪が積もり、彼は頭を打ったせいかプッツリと糸が切れるようにいつの間にか意識を失うのであった。
手頃な岩に腰掛けて、ベルトに下がる水袋から水を飲んでいる。
兵達もまばらに休憩して、ワイワイとお喋りをしていた。
峠の下から吹き上げてくる風がラドウィンの頬を撫でる。
風は少々冷たかった。もうすぐ冬になるのだろう。
空は曇っている。天候が悪化しそうだ。
そろそろ休憩をやめて出発しようかと思う。
ラドウィンが立ち上がると、目の前をボールが転がってきた。
鹿皮をなめした弾まないボールだ。
すると岩陰から小さな子がそのボールを追い掛けて来たのである。
十歳ほどの子供。
深緑のローブを身に纏っていて、フードで顔は見えない。
ラドウィンは訝しんだ。
峠から見える村は遠くにポツポツと三つだけ。さらに遠くには帝都が見える。
近くには深い森が広がっていたがそれだけだ。
峠の近くには何一つ集落が無いのになんでこんな所に子供なんて居るのだろう。
きっと、旅人の子供に違いない。
「君、パパとママはどこだい? 一人じゃ危険だよ。送って行こうかい?」
ラドウィンがその子の肩に手を置く。
すると、その子が振り向くので、その顔を見たラドウィンは驚いた。
ミルランス!?
その子は女の子なのだが、ミルランスやティタラに似ていたのだ。
だが、すぐにミルランスでは無いと分かった。
しかしよく似ている。顔のパーツというより雰囲気というのか、気品のある美しい顔付きが似ている。
その女の子は感情の伴わない翡翠色の眼でラドウィンを見返し、「帝都に行くのはおやめなさい」と言った。
それにラドウィンは戸惑い、そして笑うと「どうしてかな?」と聞く。
「帝都に行けば長く辛い戦いになるでしょう。今、引き返せば全てを忘れて愛する者と平穏に暮らせます。さあ、帝都に行くのはおやめなさい」
そのように言われてラドウィンは眉をひそめた。
子供のごっこ遊びだろうか?
しかし、何だか妙だ。
この子はただの女の子じゃないという気がして、その言葉は何か深遠な場所から響く真実のように思えた。
そんなラドウィンの横を女の子は通り過ぎて、岩陰の向こうへと歩く。
「待ってくれ」
ラドウィンが振り向いて女の子を呼び止めようとした。
女の子はローブのフードを外して振り向くと、静かに笑ってその姿を岩陰に隠すのである。
「あ!」
ラドウィンはその女の子の耳が長く尖っているのを見て、驚きの声をあげる。
エルフだ。
急いで岩へと駆け寄って、その陰を見た。
しかしそこには何も無い。
枯れかけの草が風で静かに揺れているだけだ。
「先生。どうしました?」
キルムに呼ばれて、ラドウィンは呆然としながら「今の、見たか?」と聞いた。
「えっと……何をですか?」
首を傾げるキルムは本当に何も知らない様子である。
「いや、いや、何でもない」
エルフなんて所詮は伝説の存在、きっと白昼の夢だったのだ。
ラドウィンはそう思いながら頭を軽く振ると、気分を入れ替えて飄々としたいつもの笑顔を浮かべる。
「ところでデビュイ達の様子はどうかな?」
ラドウィンが聞くと、キルムは静かに頭を左右に振り「今のところ、怪しい動きは無いです。先生の言う通り信用できるのでしょうか」と言うのだ。
「ま、用心に越した事は無い。さ、出発しよう」
ラドウィンはそう言うと帝都へ向かう道を進むのであった。
――その頃、タハミアーネは二人の貴族と共に帝都へ向かっていた。
二人の貴族は二千と三千の軍勢を率いており、タハミアーネは五千なので一万の兵である。
そんなタハミアーネ以下一万の兵団はオルモード率いる連合軍から散々に追撃された。
タハミアーネは殿(しんがり)を引き受けて何度も連合軍と戦いながら帝都へ向かう。
幸いだったのは、あのガ・ルスが居なかった事か。
もしもガ・ルスがいたら戦力の差でタハミアーネは負けていただろう。
しかし、ガ・ルスの居ない連合軍相手ならば、さすがに皇帝騎士と肩を並べるタハミアーネと言われるだけはあった。
漆黒の鎧を纏う小さな体はさながら黒い巨壁のように連合軍を寄せ付けなかったのである。
こうして一万は帝都の目前へと到着した。
広がる草原を抜ければ帝都の城門だ。
その時、別の道を迂回して来たオルモードの旗が見える。
連合軍の別働隊だ。
しかもその部隊を率いるはあのガ・ルスである。
これを見るや、隊を率いている貴族達は全軍に走るよう命じた。
喋るな。振り向くな。諦めるな! ただひたすら城門へ急げ!
半ば恐慌である。
誰もがガ・ルスの武力を恐れていた。
一方、タハミアーネは自身の率いる五千の兵達のうち、実力派の兵士を選りすぐって千人の部隊でガ・ルスの部隊へと突撃した。
タハミアーネ隊は玉砕覚悟だ。
逃げる味方を助ける為に、死に臨もうとしていた。
「早い再戦喜ばしい」
ガ・ルスは部隊に黒騎士以外の兵達の相手を命じ、自身はタハミアーネへと向かった。
二つの部隊の衝突はすぐに激しい乱戦へと様相を変える。
その乱戦の中、兵達の近寄らぬ綺麗な円陣が出来上がっていた。
タハミアーネとガ・ルスの一騎討ちの円陣だ。
互いに馬を寄せ、双剣と双斧(そうふ)が激しく打ち合う。
一騎討ちは一見すると拮抗していた。
しかし、先の一騎討ちをなぞるように、百合もせぬうちにタハミアーネは徐々に圧されていくのだ。
だが、タハミアーネはまだ逃げない。
味方が逃亡するまでガ・ルスを足止めするつもりなのだ。
その頃、何とか逃げていた兵達は帝都の目前に到着していた。
すると帝都の城門が開かれた。
急いで城門に入ろうとした貴族と兵達は、帝都の中を見てギョッとする。
無数の旗がひるがえっていた。
近衛騎士の旗だ。
そして、その旗の先頭にあるのは皇帝騎士の旗。
美しい銀色の鎧。
槍の穂先が見るも美しく煌めいていた。
皇帝騎士ハルアーダと近衛騎士団。
「突撃!」
ハルアーダの号令で近衛騎士団が馬を駆け、城門より草原へと姿を現した。
その数は五十ほど。
しかし、あまりにも勇壮な姿は見る者に千にも二千にもあるような威圧感を与えた。
近衛騎士団の後方から帝都の兵達千人が徒歩行進していたが、誰もが近衛騎士団に注目していたので気付かない程、近衛騎士団とハルアーダの迫力は凄まじかったのだ。
近衛騎士団はそのままガ・ルス隊とタハミアーネ隊の乱戦へと突撃した。
ハルアーダはガ・ルスとタハミアーネの創る円陣へと割り込むと、ガ・ルスへ猛然と槍を振るう。
ガ・ルスはその槍を見事に捌いたが、ハルアーダとタハミアーネがあまりにも凄まじい連撃を浴びせるので反撃に転ずる暇すら無かった。
一騎討ちは拮抗状態に戻った。
しかし、帝国軍約一万、それに対して連合軍五万である。
しかも連合軍はあのオルモードが指揮しているのだ。
帝国軍の戦力的不利は否めない。
ハルアーダとタハミアーネが幾らガ・ルスと拮抗した戦いを演じようが、戦いに負けたら意味が無い。
ハルアーダとタハミアーネは焦った。
急いでガ・ルスを打ち倒し、一 万の味方を助けねばならない。
二人の焦りは決して表に出てくるような焦りでは無かった。
しかし、全く拮抗したこの戦いの中では、水平を維持する天秤に一粒の水玉が落ちるような影響を与えたのである。
ほんの少し――ほんの少しの差。
目に見えないような、感じる事も出来ないような差で、水平の天秤は一気に傾いた。
ガ・ルスが咆哮を挙げ、その僅かな隙に攻めた。
斧の重く、鋭い一撃一撃がハルアーダとタハミアーネを襲う。
二人はその攻撃を防いだが、しかし、やっとの防御だ。
反撃に転じる事も能(あた)わず、ガ・ルスの猛攻を前にいずれ来たる敗北への時間稼ぎをしているに過ぎなかった。
ここまでか?
もう駄目なのか?
劣勢。そして敗北。
この方程式は変えようが無く……。
この理論は疑いようが無く……。
帝国軍がいよいよ敗走しようという時、遠くの丘を越えて草原へと人影が現れた。
ハルアーダもタハミアーネも気付いていない。
帝国軍は劣勢の中、必死に戦っていたから気付いていない。
気付いたのは帝都の城壁から戦況を見ていた兵士達。
そして、城のバルコニーから戦場を見下ろしていたティタラ。
「あれはどこの隊?」
ティタラが隣に立つ大臣に聞くと、大臣は片目レンズを掛け直しながら軍旗の一覧書をめくった。
しかし、一体どこの軍勢なのか分からず、敵か味方なのかすら分からなかったのである。
すると、その謎の部隊は二手に分かれた。
約五千がハルアーダ達の乱戦へ。
およそ一万がオルモード本隊へと攻めかけたのである。
そして、先頭を行く騎士がハルアーダとタハミアーネ、そしてガ・ルスの戦いへと向かった。
ガ・ルスへと槍を振るう。
ガ・ルスは突然の乱入者に驚きながら斧で槍を受けた。
「何奴か」
「モンタアナ領主、ラドウィン。我が友ハルアーダと皇帝陛下への忠義により参った」
それはラドウィンだ。
不敵な笑みを浮かべて槍を素早く振り回した。
「田舎騎士か。大層なお題目と共にここで死ね!」
ガ・ルスは双斧(そうふ)を振るう。
ラドウィンの槍を弾いて懐へ入ろうとしたが、ラドウィンは弾かれた槍を回して素早くガ・ルスへと反撃して近付けない。
これにガ・ルスは呻く。
まるで宙を舞う羽毛か、はたまた形の無い霧を切っているかのように手応えが無いので歯痒いのだ。
ハルアーダともタハミアーネとも違うその戦い方はガ・ルスを戸惑わせた。
すると、その隙にハルアーダとタハミアーネが体勢を整えたのである。
三対一となってはガ・ルスも堪らない。
それに、ガ・ルスの率いていた兵達もラドウィンの引き連れた兵達によって圧されていたので、彼は馬首を転じると「撤退だ! 撤退!」と命令した。
ガ・ルスは振り向き、ラドウィン、ハルアーダ、タハミアーネを見ると「今回は負けてやるが次に会う時は貴様ら三人相手でも負けぬぞ。首を洗って待っておれ」と撤退するのである。
一方、オルモードの率いている本隊はラドウィン軍一万の加わった帝国軍に圧されていた。
それでも何とか持ち堪えていたのはオルモードの指揮があったからであろう。
軍刀を掲げて兵達を指揮していたそんなオルモードへ、兵達を蹴散らして一人の若武者がやって来る。
「何奴!」
「ダイケン領主バルオルムの子ダルバ! 逆臣オルモードとお見受けした! 我が武功として有難くその首いただくぞ!」
餓狼の眼を輝かせて、若く昂る闘争心を抑えもせずに槍をしごいてオルモードへ向かった。
ダルバが槍を突き出すと、オルモードは咄嗟に軍刀で穂先を躱(かわ)す。
速い突きだ。
その素早い突きにオルモードは彼の実力を察して冷や汗を垂らした。
「ダイケンのバルオルムといえば猛将と名高いが、その子も中々の勇将のようだな」
「おう、父を知っているか。ならば俺の名も覚えて貰おうか。俺の名を覚えて死ね!」
ダルバが槍を構え直す。
すると、オルモード麾下のガグゼという騎士が主を守ろうとダルバの前へとやって来た。
「邪魔だ!」
ダルバは一合のもと、ガグゼの胸を一突きしたのである。
そして槍を構え直したのであるが、気付くとオルモード麾下の騎士、五人に囲まれていた。
オルモードは元々大将軍という事もあり、強い者と出会う機会が多かった。
また、自分に忠誠を誓う騎士を多く任命できる権利を有していた。
なのでオルモードの騎士といえばいずれも皇帝の近衛騎士に劣らぬ実力者で有名である。
そのような騎士達五人に囲まれてはダルバといえども動けない。
しかし、大将たるオルモードは目前にいて、しかも逃げようとしていた。
首を取るなら今しか無い。
すると、「ダルバ殿! ゆかれい!」とデビュイ以下、マルドローネの元騎士にして元山賊であった者達がオルモード麾下の騎士へと襲い掛かった。
「すまぬ! ここは任せた!」
ダルバはデビュイらに五人の騎士を任せて、すぐさまオルモードを追う。
オルモードは草木の生えない荒れ道へ逃げていく。
気付くと白い雪がふわふわと落ちてきていた。
雪が積もる前に終わらせてやろうとダルバは考え、馬に掛け声を浴びせて走らせた。
「お前もかつては武芸で鳴らした騎士であったのだろう! 逃げずに戦え!」
ダルバはそのように逃げるオルモードの背へ呼びかけた。
しかし、それでもオルモードは止まらない。
「もうお前の部下達はいないぞ! 大人しく俺の手に掛からないか!」
ダルバはさらに馬を速めて、オルモードへと肉薄する。
そして、槍を構えて、間合いに入った瞬間に串刺しにしてやろうとした。
その時、すぐ隣の崖から、パラパラと小石が落ちて来たのである。
何者かが崖上に居る気配がして、ダルバは崖上をチラリと見た。
すると、一騎の騎兵が馬で崖を降りてくるではないか!
「おお! ガ・ルス!」
オルモードは天の助けに遭ったような声を挙げた。
なんと、崖上からガ・ルスが馬を使って降りてきているのだ。
ダルバは、曲芸士だとガ・ルスを挑発した。
しかし、口では軽口を叩いたが、馬を使って崖を降りてくる手綱捌きはきっと強者に違いない。と考え、一切の油断無く槍を素早くガ・ルスへ向けたのである。
そして、ダルバ自慢の神速の突きを放った。
だが、ガ・ルスはその槍を斧で弾く。
「あ!」
次の瞬間、ガ・ルスが斧を振って来たので、ダルバは左腕で咄嗟にかばい手した。
鈍い音が荒れた道に響く。
ダルバは左腕に熱い程の痛みを感じた。
ダルバの意思に反して肉体から力が抜けて、彼は落馬する。
背中から落下し、後頭部を地面に打った。
ゴロゴロと三、四回、荒野を体が転がり、止まる。
「いてえ……」
灰色の空から雪が降ってくるのを見ながら、力無く呟く。
背中や頭は痛かったが、それ以上に左腕が痛い。
ゆっくり左腕を持ち上げて見てみると、前腕の中央からスッパリと腕と手が無くなっていた。
「嘘だろ……」
左腕からだくだくと流れる血がダルバの顔にかかる。
まるで夢の中に居るかのように非現実な光景に思えて、血がかかる事も気にしてられなかった。
そんなダルバにガ・ルスが近付いてきて、見下ろしてくる。
そして、フッと笑うと馬を返してダルバに止(とど)めも刺さずに「オルモード様、敵が来る前に行きましょう」と行ってしまったのだ。
ダルバは歯噛みした。
見下して、小馬鹿にしたように笑うガ・ルスに。
そして、トドメすら刺されずに放置される自分に。
「くそ! くそくそ! 俺を雑魚扱いしやがって!」
そう怒るダルバの体は動かない。
激しく燃え上がる感情を冷やそうとするかのように体へ雪が積もり、彼は頭を打ったせいかプッツリと糸が切れるようにいつの間にか意識を失うのであった。
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