黄金のクラン ―ドイツ統一の物語―

ネモ・イドラデウス

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2009年、平和な東西ドイツ

到着、ベルリン郊外

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  「あなた、本当に硬い飛び方ね。飛行機というのは、翼を優雅に羽ばたかせる渡り鳥の如く、また鷲の如く凄まじい機動を織り混ぜるのよ。学校で習わなかった?」

ベルリンの近くにある、ホルツドルフ基地に到着した私はすぐ、あの少佐に声をかけられた。

「はい、教本通りの飛行を心掛けております!少佐は身体のみならず、飛び方も美しく感じられました。本官は、自身により一層の鍛練が必要であると愚考いたします。」

(しまった、癖が出てしまった。)

「嘘仰い、そんなに硬い飛び方なんて習う筈がないでしょうに。――その前に、その前のめりな姿勢は直しなさいよ。全くどんな弛んだ教育を施しているんだか、お里が知れるわ。」

「申し訳ありません、以後気をつけます。」

(これは、不興をこうむってしまった。非常によろしくない。)

私は、唯でさえ自分はつい教官に要らぬ物言いをする癖があった訳である、況んやこの状況をや。これは、ある意味というより墓穴を掘ったが故のピンチだった。

「よろしい。君はまだヒヨっ子。巣立ちするまでは、上官の飛び方をどんどん盗みなさいよ。もちろん、あたしの飛び方も参考にしても差し支えないわ。」

(へ?)

「わっ分かりました、是非そうさせていただきます!」

(どうして、これ以上咎めないのか。相手はソ連本邦の佐官クラス、銃殺されたって文句は言えぬ事をしでかしたのだ、私は。まったく不思議な人だ、と言うよりは天然癖があるのだろうか?)

「考え過ぎなのよ、あなた…。まぁいいわ、後で一杯私に奢りなさい。それでチャラにしてあげる。」

そう告げて、彼女の機体がある第一格納庫へ去っていった。左遷などの最悪のケースは免れたらしい。しかしながら、これは南国産の高い酒を奢らされるに違いないと胃腸がキリキリと悲鳴をあげるのは必至であった。
後で軍医に胃腸薬を処方してもらおう。
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