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2009年、平和な東西ドイツ
ベルリン行き
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昼食後、ドレスデン近郊の名も無き小さな基地から、少佐と共にベルリンに程近いホルツドルフ基地へ向かう。
――本来ならば、まだ現地教官とのデュオ、ないしカルテットまでの編隊戦闘訓練のはずであったのに。
しかし、思えば他の訓練生がMiG-23だったりしたのに私はいきなりMiG-29を割り当てられた。
…もしや、はなから私をベルリンに行かせるために規定上、ここに着任させられたのであろうか。ひとまずは着任後の大休暇で行く予定だった、再建復元されたドレスデンの街並みは結局見れなかったのは悔しかったが、またの機会にと人生の晴れ舞台となる新天地に足先を向ける。
――そろそろ出発時間。整備班と共に最終チェックをし、エンジンを温める。
操縦席に座り、計器と各可動部を点検し、制御テストをする。
両隣には 旧式のMiG-21bis、ソ連マークのSu-35がいる、彼らの機体だ。
隣の中佐から通信が入った。
「通信良好か?今回の隊長役は私が行う。」
「了解。引率お願いします!」
「引率だなんて、あんたまだ子供かしら?一体東ドイツの新兵教育はどうなってるの?」
あの少佐が茶々を入れた。
「は、申し訳ありません。少佐。」
「まぁまぁ、少佐。事実まだ18なんだ、パパとママになってあげようじゃないか、な?」
「中佐!そういうのやめてくださいよー。」
「はっはっはっ、すまんすまん。」
「全く、レディの扱いがなってない!あんたもっと紳士だと思っていたのに、失望しちゃうわ。」
中佐の苦笑いがこだまする。
《こちら管制、発進許可します。》
管制官からの通信が入る。
「では、臨時小隊。発進する。」
私が先ほど自ら磨いたMiG-29を、少佐は自前のSu-37を使う。中佐は情報部予備機である旧式のMiG-21bis、入隊時からのお気に入りらしい。
中佐、少佐、私の順に離陸し、短時間の編隊飛行をした。世にも奇妙な異種機編隊である。ベテラン二人はMiG-29の巡航速度にキッチリ合わせる腕前で、私は迷惑をかけないかと常に強張っていた。
「飛び方が硬いわよー、もっと肩緩めなさいな。」
「まあまあ、新人に無理を言わないでくれ”レナ”。」
(レナ?)
「あんた、あれだけコードネームで貫けときつく言ったはずよね?」
「すまんすまん、しかしレナはフランカーに乗れて良いよな。」
「あのね、話を逸らさないで!それでも情報部の人間なの?」
「いやいや、コードネーム縛りは君の独断じゃないか。実際は上官命令じゃないのに、昔からホラ吹きは変わらないんだね、レナはさ。」
「このアショール男め、少しぐらい色付けて良いじゃない!カッコつかせてよ。」
これほど私的な理由で無線封鎖したい気持ちはない。しかし――
「中佐、アショールとは何でしょうか?」
「君はまだ知らなくていい。知るな。」
「あら、そこら辺未だにお堅い態度なのねぇ、マックス?」
「一応階級はこちらが上なのだから、最低限勤務中は君こそ慎んで頂きたい…」
中佐の苦笑混じりのダミ声とお構い無く笑う少佐の透き通った声が、私の胃を絞めつかせた。
――2009年、九月。世界はまだ穏やかだった。
――本来ならば、まだ現地教官とのデュオ、ないしカルテットまでの編隊戦闘訓練のはずであったのに。
しかし、思えば他の訓練生がMiG-23だったりしたのに私はいきなりMiG-29を割り当てられた。
…もしや、はなから私をベルリンに行かせるために規定上、ここに着任させられたのであろうか。ひとまずは着任後の大休暇で行く予定だった、再建復元されたドレスデンの街並みは結局見れなかったのは悔しかったが、またの機会にと人生の晴れ舞台となる新天地に足先を向ける。
――そろそろ出発時間。整備班と共に最終チェックをし、エンジンを温める。
操縦席に座り、計器と各可動部を点検し、制御テストをする。
両隣には 旧式のMiG-21bis、ソ連マークのSu-35がいる、彼らの機体だ。
隣の中佐から通信が入った。
「通信良好か?今回の隊長役は私が行う。」
「了解。引率お願いします!」
「引率だなんて、あんたまだ子供かしら?一体東ドイツの新兵教育はどうなってるの?」
あの少佐が茶々を入れた。
「は、申し訳ありません。少佐。」
「まぁまぁ、少佐。事実まだ18なんだ、パパとママになってあげようじゃないか、な?」
「中佐!そういうのやめてくださいよー。」
「はっはっはっ、すまんすまん。」
「全く、レディの扱いがなってない!あんたもっと紳士だと思っていたのに、失望しちゃうわ。」
中佐の苦笑いがこだまする。
《こちら管制、発進許可します。》
管制官からの通信が入る。
「では、臨時小隊。発進する。」
私が先ほど自ら磨いたMiG-29を、少佐は自前のSu-37を使う。中佐は情報部予備機である旧式のMiG-21bis、入隊時からのお気に入りらしい。
中佐、少佐、私の順に離陸し、短時間の編隊飛行をした。世にも奇妙な異種機編隊である。ベテラン二人はMiG-29の巡航速度にキッチリ合わせる腕前で、私は迷惑をかけないかと常に強張っていた。
「飛び方が硬いわよー、もっと肩緩めなさいな。」
「まあまあ、新人に無理を言わないでくれ”レナ”。」
(レナ?)
「あんた、あれだけコードネームで貫けときつく言ったはずよね?」
「すまんすまん、しかしレナはフランカーに乗れて良いよな。」
「あのね、話を逸らさないで!それでも情報部の人間なの?」
「いやいや、コードネーム縛りは君の独断じゃないか。実際は上官命令じゃないのに、昔からホラ吹きは変わらないんだね、レナはさ。」
「このアショール男め、少しぐらい色付けて良いじゃない!カッコつかせてよ。」
これほど私的な理由で無線封鎖したい気持ちはない。しかし――
「中佐、アショールとは何でしょうか?」
「君はまだ知らなくていい。知るな。」
「あら、そこら辺未だにお堅い態度なのねぇ、マックス?」
「一応階級はこちらが上なのだから、最低限勤務中は君こそ慎んで頂きたい…」
中佐の苦笑混じりのダミ声とお構い無く笑う少佐の透き通った声が、私の胃を絞めつかせた。
――2009年、九月。世界はまだ穏やかだった。
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