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2009年、平和な東西ドイツ
始まりの飛行場
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――「総員、整列!気をつけ!」
早朝の気だるい起床、整頓、不味い朝食を終えて、基地入り口にあるポールに私達は集合した。毎朝の国旗掲揚並びに国歌演奏である。
――私は音楽隊では無いが、この基地の司令官の希望でトランペットを演奏している。今日も日課とかした演奏だ。この曲は好きであるが、朝は兎に角気だるくて仕方ない。私はこの基地一番の演奏者だと上官達は口ずさみに言う。それが本当なら、私をこんな辺境の空軍基地パイロットじゃなく、中央音楽隊に配置転換しているだろう。
しかし、空を飛べなくなるのは存外つまらないだろうし、「自由な翼」を失うのは死ぬより嫌な事だ。そう考えると、新人にMiG-29という比較的マシな機体を割当てした軍部に、より一層感謝しなければと染々と感じる。戦闘機パイロットは中々なれる職では無いから、左遷されないように気をつけたい。
今日の基地は快晴、絶好の飛行日和。なのに何故スケジュールが空いているのか。私は飛びたい!こんな日に地上にいるなんて勿体ないじゃないか!!嗚呼、ツイてない。本当にツイテナイ。ならば今日は機体をピカピカにさせてあげようか――だなんて。
どのみち、ドレスデン近辺は平和そのものだから、西との国境地帯よりは暇なのは必然だ。――まぁ燃料の節約と考えれば…だが今の財政はそこまで悪化してないから、そんな理由では私の「空を飛びたい」病は収まらない。
そんな事を考えながら、国歌演奏、国旗掲揚を終えて、解散となった。私は機体の整備に行こうと格納庫へ向かうと、ベルリンから来たであろうか上級将校の男とソ連空軍制服を来た女性がいた。
「フランツィスカ・アイヒホルン少尉、来たまえ!」
中佐の階級章を付けた男が私の名前を呼ぶので、駆け寄って敬礼した。
「フランツィスカ・アイヒホルン少尉、只今参りました!」
「よろしい、私は空軍第一情報部所属のマクシミリアン・イーゲル中佐だ。彼女は…」
「ソ連空軍所属、”ソロコプト”少佐よ。あなた方の言葉で百舌鳥の意味、コードネームでごめんなさいね。ソ連情報部からの命令なの。」
見上げる程の長身で自分よりも美人であるが、ミステリアスな印象なロシア人の彼女は申し訳なさそうに言う。
「アイヒホルン少尉、君に新しい任務を与える。新設の男女混成飛行隊の一員となって貰いたい。そして彼女は、アグレッサーとして同盟国のソ連から君たちの指導のため招待した。仲良く頼むよ。」
中佐は淡々と告げた。私はつい一年前に訓練生を修了したばかりの新人故に、心臓発作を引き起こしそうな衝撃に包まれた。
そして「スケジュール」が埋まった。
かの男女混成飛行隊は、最近訓練生で噂になっていた「対西側プロパガンダ部隊」として覚えている。西側は未だ女性パイロットが少なく、男性社会であるから男女職種均等制の素晴らしさを西側世界に広めるのが狙いと聞いている。つまり、第一線での任務になるし、予定されていた暇な同盟国側防空基地勤務では無いという事にもなる。
「慎んでお受けします!」
ああ、なんたる天命!なんたる光栄!
幼少から周りに女扱いされなかった程、自公認める生粋の空バカが努力して戦闘機パイロットになった甲斐があったという訳ですよ!
一度別れた後、歓喜を笑い声と共に踊って表現しながらMiG-29をピカピカに磨いて出撃準備をする、その姿を、あの”ソロコプト”少佐に見られていた。彼女は暫くの間、それを他者への”ネタ”にしていた事など――私は知る由もなかった。
早朝の気だるい起床、整頓、不味い朝食を終えて、基地入り口にあるポールに私達は集合した。毎朝の国旗掲揚並びに国歌演奏である。
――私は音楽隊では無いが、この基地の司令官の希望でトランペットを演奏している。今日も日課とかした演奏だ。この曲は好きであるが、朝は兎に角気だるくて仕方ない。私はこの基地一番の演奏者だと上官達は口ずさみに言う。それが本当なら、私をこんな辺境の空軍基地パイロットじゃなく、中央音楽隊に配置転換しているだろう。
しかし、空を飛べなくなるのは存外つまらないだろうし、「自由な翼」を失うのは死ぬより嫌な事だ。そう考えると、新人にMiG-29という比較的マシな機体を割当てした軍部に、より一層感謝しなければと染々と感じる。戦闘機パイロットは中々なれる職では無いから、左遷されないように気をつけたい。
今日の基地は快晴、絶好の飛行日和。なのに何故スケジュールが空いているのか。私は飛びたい!こんな日に地上にいるなんて勿体ないじゃないか!!嗚呼、ツイてない。本当にツイテナイ。ならば今日は機体をピカピカにさせてあげようか――だなんて。
どのみち、ドレスデン近辺は平和そのものだから、西との国境地帯よりは暇なのは必然だ。――まぁ燃料の節約と考えれば…だが今の財政はそこまで悪化してないから、そんな理由では私の「空を飛びたい」病は収まらない。
そんな事を考えながら、国歌演奏、国旗掲揚を終えて、解散となった。私は機体の整備に行こうと格納庫へ向かうと、ベルリンから来たであろうか上級将校の男とソ連空軍制服を来た女性がいた。
「フランツィスカ・アイヒホルン少尉、来たまえ!」
中佐の階級章を付けた男が私の名前を呼ぶので、駆け寄って敬礼した。
「フランツィスカ・アイヒホルン少尉、只今参りました!」
「よろしい、私は空軍第一情報部所属のマクシミリアン・イーゲル中佐だ。彼女は…」
「ソ連空軍所属、”ソロコプト”少佐よ。あなた方の言葉で百舌鳥の意味、コードネームでごめんなさいね。ソ連情報部からの命令なの。」
見上げる程の長身で自分よりも美人であるが、ミステリアスな印象なロシア人の彼女は申し訳なさそうに言う。
「アイヒホルン少尉、君に新しい任務を与える。新設の男女混成飛行隊の一員となって貰いたい。そして彼女は、アグレッサーとして同盟国のソ連から君たちの指導のため招待した。仲良く頼むよ。」
中佐は淡々と告げた。私はつい一年前に訓練生を修了したばかりの新人故に、心臓発作を引き起こしそうな衝撃に包まれた。
そして「スケジュール」が埋まった。
かの男女混成飛行隊は、最近訓練生で噂になっていた「対西側プロパガンダ部隊」として覚えている。西側は未だ女性パイロットが少なく、男性社会であるから男女職種均等制の素晴らしさを西側世界に広めるのが狙いと聞いている。つまり、第一線での任務になるし、予定されていた暇な同盟国側防空基地勤務では無いという事にもなる。
「慎んでお受けします!」
ああ、なんたる天命!なんたる光栄!
幼少から周りに女扱いされなかった程、自公認める生粋の空バカが努力して戦闘機パイロットになった甲斐があったという訳ですよ!
一度別れた後、歓喜を笑い声と共に踊って表現しながらMiG-29をピカピカに磨いて出撃準備をする、その姿を、あの”ソロコプト”少佐に見られていた。彼女は暫くの間、それを他者への”ネタ”にしていた事など――私は知る由もなかった。
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