27 / 27
第5章 叩き潰す相手は
やはり母は強い
しおりを挟む
館に戻ってきた。
未だ太陽はてっぺんにおり、お昼を済ましていない私は、自身の部屋で待つことにしよう。そう思った時だった――
「アンナァー! ちゃぁーん!」
後ろから牛が突撃してきたのか、と思うくらいの勢いで背に抱きついてきたのは、我が母''マリア''だった。
マリアは王家の5つの家系のうちの1つを継いできた者として、やはり忙しいらしく、3日に1回顔を合わせられるか、といった程に会うことがない。
「お、お母さん! 仕事大丈夫なの?」
「えぇ、大丈夫よ~。お父さんが一生懸命やっていると思うわ」
「あ~」
やはり母は強しというのはここでも同じなのか、お父さんはお母さんに逆らうことなく無我夢中に資料整理をしている。
「大きくなったわねぇ!」
「お、大きなったって、最後に会ったの1週間前くらいでしょ? 変わってないわよ」
「そんなことないわぁ、なにか成長した、そんな気がするの」
「なに、か」
何となく理解してしまう。
私は確かにここ数日で大きく変わったと思う。
でも、この短時間で、ひと目で見抜けるのはさすが母である。
「悩み事、あるのでしょう?」
「・・・うん」
「話してくれる?」
「・・・いや」
ここで甘えてしまうのは違う。そう思った。
これは私の問題で、未だ問題が鮮明に見えていない。
ランガが浮気をしている理由、ヴィンさんが変わった事、リスの救ってという発言。
しっかりと見据えてもいないのに助けを求めるのは、やはり違う。
だから――
「わたし、1人で解決、してみせるわ」
「・・・そう」
途切れ途切れになってしまったが、それでも私は再度決意した。
これからの目標は、状況をしっかり理解してそのうえで私がどのタイミングで動くか、それを考えないといけない。
「じゃ、ママはお父さんのお手伝いをしてくるからね」
「・・・うん、行ってらっしゃい」
「えぇ、行ってくるわねぇ~」
私は母を背に、自室に向かった。
アンナちゃんのあの真剣な顔、多分生まれて初めて見た。
アンナちゃんが生まれてから、今日まで真剣に見ることが少なかった。アンナちゃんはいい子だったから、私はあまりすることがなかった。
そんな子が、今日ものすごく思い詰めている顔をしていた。
だから、私はアンナちゃんに聞いた。
「話してくれる?」
でも、アンナちゃんはきっと自分で解決しようとするはず。だから、母として私ができることを。
「ふふふふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら、私は長い廊下を歩いていた。
でもね、アンナちゃん。
私は、私たちはね。あなたになにかあったら、ヴァルヘイム家全勢力をもって、アンナちゃんを傷つけたものを叩き潰す。
それはきっと我が子を守る親猫のようなのだろう。
「頑張りなさいよ、アンナちゃん」
未だ太陽はてっぺんにおり、お昼を済ましていない私は、自身の部屋で待つことにしよう。そう思った時だった――
「アンナァー! ちゃぁーん!」
後ろから牛が突撃してきたのか、と思うくらいの勢いで背に抱きついてきたのは、我が母''マリア''だった。
マリアは王家の5つの家系のうちの1つを継いできた者として、やはり忙しいらしく、3日に1回顔を合わせられるか、といった程に会うことがない。
「お、お母さん! 仕事大丈夫なの?」
「えぇ、大丈夫よ~。お父さんが一生懸命やっていると思うわ」
「あ~」
やはり母は強しというのはここでも同じなのか、お父さんはお母さんに逆らうことなく無我夢中に資料整理をしている。
「大きくなったわねぇ!」
「お、大きなったって、最後に会ったの1週間前くらいでしょ? 変わってないわよ」
「そんなことないわぁ、なにか成長した、そんな気がするの」
「なに、か」
何となく理解してしまう。
私は確かにここ数日で大きく変わったと思う。
でも、この短時間で、ひと目で見抜けるのはさすが母である。
「悩み事、あるのでしょう?」
「・・・うん」
「話してくれる?」
「・・・いや」
ここで甘えてしまうのは違う。そう思った。
これは私の問題で、未だ問題が鮮明に見えていない。
ランガが浮気をしている理由、ヴィンさんが変わった事、リスの救ってという発言。
しっかりと見据えてもいないのに助けを求めるのは、やはり違う。
だから――
「わたし、1人で解決、してみせるわ」
「・・・そう」
途切れ途切れになってしまったが、それでも私は再度決意した。
これからの目標は、状況をしっかり理解してそのうえで私がどのタイミングで動くか、それを考えないといけない。
「じゃ、ママはお父さんのお手伝いをしてくるからね」
「・・・うん、行ってらっしゃい」
「えぇ、行ってくるわねぇ~」
私は母を背に、自室に向かった。
アンナちゃんのあの真剣な顔、多分生まれて初めて見た。
アンナちゃんが生まれてから、今日まで真剣に見ることが少なかった。アンナちゃんはいい子だったから、私はあまりすることがなかった。
そんな子が、今日ものすごく思い詰めている顔をしていた。
だから、私はアンナちゃんに聞いた。
「話してくれる?」
でも、アンナちゃんはきっと自分で解決しようとするはず。だから、母として私ができることを。
「ふふふふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら、私は長い廊下を歩いていた。
でもね、アンナちゃん。
私は、私たちはね。あなたになにかあったら、ヴァルヘイム家全勢力をもって、アンナちゃんを傷つけたものを叩き潰す。
それはきっと我が子を守る親猫のようなのだろう。
「頑張りなさいよ、アンナちゃん」
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
【完】王妃の座を愛人に奪われたので娼婦になって出直します
112
恋愛
伯爵令嬢エレオノールは、皇太子ジョンと結婚した。
三年に及ぶ結婚生活では一度も床を共にせず、ジョンは愛人ココットにうつつを抜かす。
やがて王が亡くなり、ジョンに王冠が回ってくる。
するとエレオノールの王妃は剥奪され、ココットが王妃となる。
王宮からも伯爵家からも追い出されたエレオノールは、娼婦となる道を選ぶ。
何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
姉の忘れ形見を育てたいだけなのに、公爵閣下の執着が重いんですが!?~まっすぐ突き進み系令嬢の公爵家再建計画
及川えり
ファンタジー
突然届いた双子の姉からの手紙。
【これをあなたが読んでいるころにはわたしはもう死んでいることでしょう。わたしのことは探さないでね。双子を引き取ってもらえないかしら?】
姉の遺言通り双子を育てようと姉の嫁ぎ先へと突入する。
双子を顧みなかったという元夫のウィルバート公爵に何とか双子を引き取れるよう掛け合うが、話の流れからそのまま公爵家に滞在して双子を育てる羽目に。
だが、この公爵家、何かおかしい?
異常に気付いたハンナは公爵家に巣くう膿をとりのぞくべく、奮闘しはじめる。
一方ハンナを最初は適当にあしらっていたウィルバートだったが、ハンナの魅力に気付き始め……。
ハンナ・キャロライン・バーディナ 22歳
バーディナ伯爵家令嬢
✖️
ウィルバート・アドルファス・キングスフォード 26歳
キングスフォード公爵
ブックマーク登録、いいね❤️、エール📣たくさんいただきありがとうございます。
とても励みになります。
感想もいただけたら嬉しいです。
地味で結婚できないと言われた私が、婚約破棄の席で全員に勝った話
といとい
ファンタジー
「地味で結婚できない」と蔑まれてきた伯爵令嬢クラリス・アーデン。公の場で婚約者から一方的に婚約破棄を言い渡され、妹との比較で笑い者にされるが、クラリスは静かに反撃を始める――。周到に集めた証拠と知略を武器に、貴族社会の表と裏を暴き、見下してきた者たちを鮮やかに逆転。冷静さと気品で場を支配する姿に、やがて誰もが喝采を送る。痛快“ざまぁ”逆転劇!
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
いや、無理。 (本編完結)
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。
一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。
もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、
「わかってくれるだろう?ミーナ」
と手を差し伸べた。
だから私はこう答えた。
「いや、無理」
と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます!
これからも面白いと思って貰えるような作品作りを心掛けていきますので、どうかこれからも読んでいただけると幸いです。
最新話まで読ませて頂きました
続きが気になります😊
ランガの前世は隼人じゃないのか、と思う程どちらも不誠実…
アンナに幸せになって欲しいので、ランガを叩き潰してやって下さい!!
まずは最新話まで読んでいただき誠にありがとうございます!
ランガの前世が隼人では無いか、という点は後々明らかになっていきますが、誰もが予想だにしなかった展開を作り上げていこうと思っておりますので、これからもお読みいただけると幸いです。
本日、最新話まで拝読しました。
面白い。すでにそう感じている作品、でして。毎日の読書の楽しみが、一つ増えた、そう感じております。
ジニス様。
お仕事との両立は、本当に大変ですので(疲労などが蓄積しやすいので)。ご無理はなさらないでくださいね……っ。
返信が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。
最新話までの拝読誠にありがとうございます。
柚木様の毎日の読書の楽しみを増やせるような作品を今後を書き上げて行きますので、今後もよろしくお願いいたします。
仕事との両立ですが、できる限り無理はせず、毎日安定した投稿を心掛けていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。